第14 これからの事・・・・
「一日目お疲れ様~~!!かんぱ~~~い」
とても元気な掛け声でグラスを手に持ち高々と上げる神子さん。
神子さんの横で少し呆れ気味に神子さんを見ている桜さん。
そう今僕は神子さんの提案で、池袋駅から歩いて数分のしゃぶしゃぶ屋さんに入ることになり今まさにコミケ一日目のお疲れ様会?をしているところだ。
正直なところ何故こんな夏にしゃぶしゃぶ?と思ったりもしたが、まぁそれは良しとしよう今日家に帰ってもご飯を作るのも嫌なくらいに疲労がたまっているのだから、それに桜さんと神子さんには聞きたいことが山ほどあるからこういう食事も悪くないだろう。
今回、起きたコミケでの事件について、そしてそれが元通りになった事、敵について、そして何より・・・・
「神子さん・・・今日あった事について聞きたいこともありますが・・・まず僕の身体にあなたの血が入ってるってどういうことですか?」
神子さんは予想してなかったいきなりの直球質問に、口に入れていた肉を喉に詰まらせた。
「んんんんんん!!!みんんみんん!!」
ドンドンドン!と机を叩きながら訴えている。
どうやら水と言ってるらしく桜さんが慌てて水を差しだしそれを一気に飲み干し一呼吸おいて喋り始めた。
「ぷはぁ!!あ~死ぬかと思った!!まぁ・・私神だから死ぬって事はありえないんだけれどね。でもいきなり直球過ぎない?もっと今日のコミケで楽しかった事とかなんか平和な話す話題とかないわけ?大リーガーもびっくりの直球よまったく!!!」と何故か怒られた。
いやそんなに慌てるとか思ってなかったから質問したのだが、これは相当危ない事を聞いてしまっているのか?と思いながら神子さんを見ているとおもむろに桜さんが喋り始めた。
「やっぱり気になるよね、急に天照様の血が体内に入ってるなんて言われたら・・私も最初言われたときはびっくりしたしそれに今回はあんないきなりで戦ってもらうことになったしね。」
うつむきながら話始めてくれた。
私も?と言う事は桜さんも天照の血が入ってるという事なのか?訳がわからなくなってきたぞ?つまりは何かきっかけがあって天照の血は自分の体内を今もかけめぐっているということになるがきっかけがわからない・・・アニメとかなら生まれる前とかそういう流れになるのだろうがいったいどういう事でこうなったんだ?
「まぁ・・・そのなんだ・・・賭くん・・君昔輸血なんかしてもらったことはないかい?」
としどろもどろに少し機嫌が直った神子さんが聞いてきた。
「輸血ですか??確かに数年前に車にひかれそうになった人を助けて手術を受けた時に確か輸血をしてもらいましたが・・・・まさか・・・・」
そう確かに自分は、数年前沖縄で男の人を助けて変わりに車ではねられてしまい、手術を受けたその時に輸血をして助かったが・・・確か!と意識が無くなる前にナースが言っていた言葉を思い出す。
「先生!!輸血届きました!!!ただ・・この血、血液型は合ってるんですが光ってるんです!!」
それを思い出しチラッと神子さんを見るとてへってかわいらしくポーズをとっていた。
あんたかああああああああああああああ!!!!あの光っていた血はあんたのかああああああ!!!いや確かにその血のおかげで助かりましたどうもありがとうございます。
なんですけれども!なんで神様の血普通に病院に届いてるのおかしくないか!!?と心でツッコミを入れながら神子さんをもう一度見ると、凄い汗を流しながら先程とは違い椅子なのに正座をして座っていた。
「神子さん??一体どういう事なのか説明してもらいましょうか?」
笑顔を作って話しかけてみたのだがその顔を見た瞬間の神子さんはもう蛇に睨まれた蛙みたいになってしまいえっとあの・・・と口をもごもごしている。
この人本当に日本の最高神なのか??と思いつつ机を軽くドンと叩くとびっくとなりようやく喋り始めた。
「あのですね・・その・・ほら・・献血ってわかるでしょ?池袋にもほらロッテリアの前のビルに献血ルームがあるの」
うん確かにあるね、献血ルーム毎日誰かが献血お願いしま~すって声かけているよね?わかるよでそれがどうしたのかな?と思いつつも静かに続きを聞き入る。
「献血ルームってほら・・・その献血したらジュース飲み放題だったり・・アイス1カップ貰えたり、お菓子もらえたりするじゃない・・・それ欲しさにその・・・献血しちゃいました」
舌を出して某キャラクター人形みたいに笑う。
つまりはこういうこと、この神子さんいや・・日本の最高神である天照大神は献血ルームにある無料で食べたり飲んだりできるシステムを知りそれ欲しさに!!献血をしていたという事だ。
呆れてものが言えなくて頭を抱えた、確かに命を救われたから感謝はするがまさかそんな事で自分の身体に神の血が混ざったというのはなんか複雑である。
更に、桜さんも血が混じっているという事はなんか怪我とかしたのかもと思ったが、そんなのは後回しで一番にふと頭に出て来たのは・・・桜さんも?
神子さんを見て質問をさらにすることにした。
「神子さん・・・桜さんもあなたの血が混じってるといううことは・・・あなた・・・献血いったい何回やったんですか?」と質問をするとうつむきながら手で数字を出しながら言った。
「えっと・・・七回・・・・・」
うん・・・もうダメだこの最高神・・・お菓子欲しさになんで神様の血ほいほいと献血にだしちゃってるの?
しかも話を聞いてると輸血しに行く場所も姿もそして血液型も変えていたそうだ、献血は大体2か月くらいをあけて一回できるのだがどうやら神様にはそれが適用しないっぽい、お菓子欲しさにそこまでする??
つまり、自分が住んでいた「沖縄」桜さんが住んでいた「東京」その他後五人も自分達と同じ感じで能力に目覚める人達が居るという事だ。
そして!!!その血を受け継いだ人が誰かというのはわからないそうなのだ、ただ自分や桜さん、神子いや天照が近くに近づけばなんとなくわかるそうだ。
その話をされて何となく謎が解けたのは、桜さんがどうしてコスプレに着替えたとも伝えてない俺をあんなにすぐに発見できたかという事だ、最初に会った時から桜さんはなんとなく僕に天照の血が流れているのに気づいていたんだろう。
額に指を当てながら聞いた話を冷静に整理していると神子さんが口を開く。
「まぁ・・本当はコミケで何も起こらなければ話さないで見守るようにしようと思っていたんだが、まさかあいつらが動き始めてるとは知らなくてね、さすがの私も桜も驚かされたよ、しかも心見を使い始めてるなんてあれは昔危険だからって時空の狭間に封印したはずだったんだけどね・・・あれを使えるってことは相手はあいつらで間違いないかもね・・」
「あいつらって・・確かアヌビスってやつが言っていた他にも居るって・・・」
神子は頷く。
「アヌビス、エジプト神話に出てくる冥界の神様とされているやつでね、数回だけ戦ったことがあるやつだよ、そしてネクタルあいつは神酒が具現化してできたやつでね、元は昔神が飲んでいたとされているお酒だよ、そしてルシュファーいや今はジェノサイドかあいつについてはよくわからないが本人が言ってるのだから人間の闇が生んだ化身だろう。」
僕を見ながら真剣に話してくる神子さん、先ほどまでとはすごい変わりようである。
「他にも名前だけ知っているのはコスモス、ロンギヌス、雷龍、くらいでねあとはわからないんだけどおそらくあいつらのボスは・・・マーリンだ」
そう言い終わると、水を一口飲む神子さん。
マーリン・・よくゲームやアニメとかにも出てくる名前に少し戸惑いを感じた、マーリンとはグレートブリテン島の未来について予言を行い、ブリテン王ユーサー・ペンドラゴンを導き、のちにかの有名なアーサー王に助言をしていたとされるブリテンを代表する魔術師の事で自分が好きなソードトリガーにも出てくる人物である。
そのマーリンが敵というのに驚きを隠せなかった。
「本当にマーリンが敵なんですか?だって大昔実在したとされる人物ですよね?そんな人が敵ってありえるんですか?それに寿命とかどうなるんですか!おかしいですよ」
もっともなことを口にすると隣で静かに聞いていた桜さんが口を開いた。
「賭くんマーリンについてはあくまでこちらの予想でしかないの、確かに昔実在した人物であることは確かなんだけど大魔術師と謳われていた人物だからもしかしたら人間ではなく神に近い存在だったのではないかとされているの。」
そう言うと少し申し訳なさそうな顔をする。
「あくまで予想だとしても、なんでボスがマーリンだと思うんですか!理由を教えてください!」
そう理由だ、なんでマーリンがボスかもしれないという根拠が生まれるのかそれがわからないなんで神子さんはマーリンがボスだと決めつけたんだ。
すると神子さんが一枚の紙を取り出して何かを書き始めた、そして書き終えると説明をはじめた。
「マーリンがボスかもしれないという予想の理由はまずこいつ、封印したはずの心見が復活していることあれは私たちが全力の神力を使って封印したの、人間に悪影響を与える危険なものだからってね、それが時空の狭間から復活されやつらに利用されているのが理由よ、マーリンクラスの魔術師なら狭間の封印をこじ開けるのも容易いと思うから」
なるほどと頷く、確かにそんな簡単に破られる様な封印ではなかったのだろう、それゆえにマーリンが怪しいと予想したわけか・・・しかしこれだけではマーリンと決めつけるのははやくないか?と思いながら聞いていると
「それだけでマーリンと決めつけるのはおかしくないかという顔しているね、確かにこれで決めつけるのは早いわよね、だから最後の一つがさっき君が着替えに行っている間に天界に連絡して確認がとれたの」
あの電話はそういうことをしていたんだとコミケでの事を思い出す。
「時空の狭間をこじ開けたのが魔術の類で、しかもそこに杖の一部が落ちていたそうなのそれを分析した結果マーリンが持っていた杖に類似した木だったそうなのよ、まぁ・・それを調べるために電話したせいで事の経緯を天界にいるお父様に報告したら怒鳴られたという落ちもあるんだけどね・・・桜の事も黙っていたからもう大目玉よ・・・」
とため息をついた。
なるほど・・確かにそこまで証拠があったりするのだったらマーリンの可能性があると予想ができなくもないなと納得させられた。
ちなみに怒られた理由は他にもあるそうで、桜さんと天照が使った結界を使った技あれは時空にも影響してくることなので本当はあまり使ってはダメらしいが二人は何度か奴らのイベント潰しに近い攻撃をそれではぐらかしていたそうだ。
今日あった出来事もそれなりに改ざんされ、心見に憑りつかれた男の人は熱中症で倒れたということになったり、夢だったと錯覚している人がほとんどだそうだがある意味洗脳みたいなものなので恐ろしいなと思った。
それが全部そのお父様という人にバレたのだからそりゃあ大目玉ですよね。
そう思いながら聞いていると桜さんが言った。
「賭くん、いきなりでいろいろ大変だったと思う迷惑もいっぱいかけちゃったけど・・・そのもしよかったらこれからも私たちと協力して戦ってくれないかな?お願いします」
そう言うと隣に居た神子さんも立ち上がり。
「いや・・・その私が献血行かなければ君に血が入ってこんな戦いに巻き込まれるという事はなかったわけなんだが、私からも頼む!君の力がこれからも必要になるだから、一緒にあと5人の血による覚醒者捜索とあいつらを倒すのに協力してくれないだろうか、もしかしたら奴らは二次元だけじゃなくこの世界も壊そうとしてくるかもしれない、巻き込んだのにむしがいいのもわかってるだが!この通りだ頼む。」
と頭を下げてお願いをして来た。
その二人の姿を見ながら今日あったいろいろな事を思い出す。
夢に描いたようなバトルをしたり、ピンチになったり助かったり、それにここまで話を聞いて僕みたいに血で覚醒する仲間があと5人それに敵がまだまだいるんだという事を頭の中で整理し、そして自分の中で考えをまとめた後僕は二人に向かって言ったんだ。
「わかりました。僕なんかが役に立てるかはわかりませんが、二次元とかいろんなものを守るためにこんな自分でよかったら・・こちらこそよろしくお願いします。」
ってね。
そういって笑顔を見せると、神子さんも桜さんも嬉しそうに手をだし3人で握手を交わしたんだ。
そう、これからが始まりなんだ。
この世界を守るため、そしてアニメ、漫画、その他二次元を守るため戦っていくんだ。
大事なものを守るために・・・・・




