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二次元の力はこの手の中に!!!  作者: 神咲 勇気
第一章 世界はコミックマーケットから
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第13 何気なく感じる嬉しい平和

空から賭を抱えてようやく地上に降りた天照、少し離れた先から桜さんが手を振りながら駆け寄ってきてくれるのが見える。

「ふぅ」と軽く息を吐いて先程まで戦っていた空を見上げた後、ジェノサイドが落ちた方向を見た。

ジェノサイドは落ちた後からピクリとも動かない。

しかし今に思えばとても恐ろしい相手だった、もし少しでも思考する事をやめていたら確実にこうやってこの場に居れなかっただろう。


少し安堵する表情を見せた僕を見て天照はニコッと笑顔を見せてくれた。

そして、今まで気づかなかったのだが・・・えっ?自分今神様とはいえ女の人にお姫様だっこされてる!?慌てて顔が赤くなるのを感じた。


「天照さん!!おろして!あのその僕重いでしょ!!!おろして」


「ん??そんなに重くもないよ、それに君は今怪我しているからしばらくこのままでよくない?」


「大丈夫ですよ!!だからおろしてください!!」


あまりにも賭が頼むので天照はしぶしぶおろしてくれた。

優しさからってわかっているけれど、男としてやっぱり恥ずかしいものがあるんだよなと思いながらおろしてもらい、そのまま立とうとしたが力が入らずフラッと倒れそうになった所を桜さんが来て受け止めてくれた。

桜さんは優しく微笑みかけて「お疲れ様」と声をかけてくれて抱きしめてくれた。

少し怪我が痛かったが嬉しくもあった。


それを見て、羨ましいのかちゃかしたいだけなのか「お~い桜~私も抱きしめてくれ~」とせがむ天照だったが「ダメです!!」と桜さんに瞬殺された為少しふて腐れていたのには少し笑ってしまった。

桜さんにゆっくり座らせてもらいまた「ふぅ」と息をもらした。

本当にこの短時間でいろいろなことが起きすぎて自分の脳内キャパを超えすぎてわけがわからなかったが少し自分を落ち着かせようと周りを見てみる。


周りは地面が砕けたりし、瓦礫などが散らばっていた。

気にせず戦っていたが結構酷いありさまだな、よくこんな状態になるまで暴れたもんだよ、まぁそれほどあいつジェノサイドが強敵だったんだよなと、ジェノサイドの倒れている方向を見直したが、ん??あれ?確かにあそこに落ちて倒れてたはずだよな?と目もやられたかと目をパチパチ瞬きするが正常だったのであれは間違いない、倒れているはずの奴がいないのだ。


「ジェノサイドがいない!?」


と言うとえっ!?と天照も桜さんも周りを見渡したがジェノサイドの姿が見えない、それどころかアヌビスもネクタルも居なくなっていたのだ。


これはやばい!やばい!やばい!!隠れて攻撃をしかけてくるかもしれない緊張がまた走る、こちらはもうすでに満身創痍まんしんそういで動くことはできても戦うなんて事はできないだろう、つまり今攻撃を仕掛けられたら確実にアウトである。


そう思いながら、辺りを警戒しながら見ていると


「おおおい!!!どこ探してやがる!!!ここだよ!ここ!!」とアヌビスが大きな声で叫んできた。


空を見上げるとアヌビスとネクタルがジェノサイドを抱えて空中に立っていた。


「あんさん達、ほんまにようやりましたな、今回はあんさん達の戦いに免じて退散させてもらうで。そやけども、また時間を置いて挨拶に伺いますのでよろしうね、ほな」とネクタルが消える。


「はっ俺は今戦ってもいいんだが気が変わった・・おい!小僧!!」とアヌビスが指を指してきた。


「もっと強くなってみろ!!そん時の方が楽しい戦いが出来そうだしなぁ!!!といってもこのボロボロになったジェノサイドより俺も強くなんねえとなぁ・・・そん時は覚悟しとけ!!!天照も覚悟していろ!!両方叩きのめしてやる!!!」


といい後ろを向き消えようとしたが最後に「あっ・・・それとな、俺らの他に後6人くらい居ると思っていやがれ・・・じゃあな!!」と言ってジェノサイドを抱えながら消えていった。


緊張が解けて力が抜け横になる、とりあえず戦いはこれで一旦は終幕したわけだが、何?ジェノサイドやアヌビス、今回傍観して力を見れなかったがネクタル、その他後6人くらいあんな化け物がいるのか?しかも「くらい」って事はまだ他に居る可能性もあるんじゃないか、と思い天照をみるとそれに気づき素早く目をそらした。


反対に座っている桜さんを見ると同じく目線をそらして空を見上げていた、つまりこの2人は敵がどんだけいるか少しは知ってるという訳だ。

確かに、天照はアヌビスとネクタルについては知ってるような感じだったので、ある程度はまぁ知ってるのだろうけれど、これってアニメや漫画で言うこれからも戦わなくてはいけない感じゃないかとそう思いながら空を見上げた。


すると「さて!」と天照が声を出した後、手をポンと叩いた。


「とりあえずこの状況どうにかしないと今後のコミケや二次元に影響しちゃうから片づけしなきゃね」と笑顔でいう。


いやいや片づけって・・・こんなボロボロになった会場を元に戻すこと、ましてや戦いを見られたのだからどうやっても影響でるのではないのだろうかとふと思った。

すると、桜さんが立ち上がり手を上にかざした。


「天照様、準備は出来ていますよ。ですけど、これ絶対あとで怒られる可能性高いんですけどいいんですか?」


桜さんが言うと天照も立ち上がった。


「まぁ・・・大切な文化を守るためだししかたないでしょ!!それに、賭くんの事でいろいろバレて怒られるの確実だしね。よし!!じゃあはじめようか」


天照も手を上にかざした。

その言葉を聞きため息をつく桜さん。


僕の事で怒られる可能性??いったい何のことだろう?というか今からいったい何が始まるんだ?とまじまじと見ていると天照が言った。


「あっそうだ賭くんは少しの間目をつぶっていてもらえるかな?お願い!!」


手を合わせてお願いしてきた天照、いや神様からお願いされるってなんか変な気もするんだが言われて通りにしないとやばい気もするので頷き目を閉じた。


天照と桜さんはそれを確認したようで2人同時に呪文のようなものを唱え始めた。


「我ら、血の力、天の力、人の力、大地の力、夢を助ける多くのものに宿る力に天照大御神とその従者が願い申す、この場の傷を癒し、すべてを無かったことに!あるべき姿に戻したまえ!!「天照結界回復転生あまてらすけっかいかいふくてんせい!!!!」」


そう唱えるとビッグサイトを包んでいた桜さんの結界が光だしたのだろう辺りが凄く明るくなるのを感じてすぐに周りから騒がしい声が聞こえてきた。

もう開けていいのか?と思いながら目を開けると・・・そこには何事もなかったのように屋外展示場は直りコスプレイヤーさん達やカメラを持った人たちがコミケを楽しんでいた。

一体どうなってるんだ?さっきのは夢だったのか?と一瞬思ったが服は治っていたが、身体のあちこちが痛いのが夢ではない証拠だった。

隣を見ると桜さんが支えてくれていた。


「何が起こったかわからないって顔してるね賭くん、今の術についても聞きたいことは沢山あると思うけれど訳はあとで話すから今は屋外展示場から離れましょうか。」


桜さんから提案された。

確かに、今すぐにでも何が起こってこうなったのか聞きたいところではあったが、多分ここで話したらまずい事なんだろうと思い頷きエントランスの方まで行く事にした。


屋外展示場を通り抜け、中にあるエスカレーターを降りるのだけでも身体がしんどくてもうやばかったのだが、動けないほどではないので頑張って歩きエントランスに着くとそこには最初にブースで会った時の姿をした天照がATM近くのベンチに座って待っていた。


「あっあまてら・・」そう言おうとすると天照は凄い怖い顔で睨んだ。


おっと?なんかこのまま呼んだらやばいのではないか?と自分の中にある感のようなものが察したので「かっかみこさ~~ん」と声をかけると天照はさっきとは違う表情を一瞬で作り笑顔で手を振ってくれた。


なるほど・・あの姿の時はあくまで天照神子あまてらすかみこ、であって天照大御神あまてらすおおみかみではないわけなんだなとわかった。

とりあえず、神子さんの指示でコスプレを着替えることにした、確かに時間としてはいい時間だった。

なにせいつの間にか時計を見ると16時近くになっていたのだ。

優にも言われたが


「更衣室やクロークはコミケが終わる時間ギリギリになると混雑して大変な事になる!!だからギリギリではなく少し早めにいけよな」


そう念押しされったっけと思いながら2人を待たせたらいけないと更衣室へ急いだ。


更衣室へ登るエスカレーターに乗りながら外を見回す、そこにはまだ沢山の人達がコミケを楽しんでいる姿が見えた。

先程まで、本当に自分は戦っていたのか?あれは本当は夢だったんではないかと不思議に思うくらい平和な光景でそれを見て少し嬉しく思えたのだ。


自分があの時、勇気を出して少しでも頑張ったから今アニメや漫画、二次元が大好きな人達が集まるこの自分が夢見た場所が皆の笑顔で輝いてるんだなと、まぁそのあと天照と桜さんが何かしたのもあるんだけど、と考えながらもエスカレーターを登りながらその景色を噛みしめた。


クロークに行きに元を受け取り更衣室に行くと、まだ人はまばらで着替えてる人も少なく着替えるのは比較的早くできたが、身体が痛くてどこかぎこちなかったのを周りに居る人達から心配されたのは少し恥ずかしかったが、なんとかメイクもしっかり落として更衣室を後にすることが出来たのだ。


エスカレーターを降りエントランスに戻ると、神子さんと桜さんが見え神子さんはスマホで何か電話をしていたが、自分が来るのが見えたらしく話を終わらせて切るのが見えた。


「お待たせしてすみません!」


そう言って近づくと2人はベンチから立ち上がった。


「ううん!全然待ってないから大丈夫だよ。それに賭くんが着替えにいってる間に神子さん大変みたいだったから・・・」


桜さんがチラッと神子さんの方を見ると少し疲れた顔をした神子さんがため息をついた。


「さて、とりあえずここで話をするのも大変だからビッグサイト出ようか。神子さんどこにいきますか?」と桜さんが顔色を覗い(うかが)ながら話かける。


「そうね、じゃあ池袋に行きましょうか、あそこならいろんなお店もあるから」


気を取り直した神子さんが言うので桜さんも自分も同意した。

急なことだったので優には「用事ができたから先に帰る」とスマホでメッセージを送ると「まっまさか!?女とか!?」と直ぐに返信がきたがそこらへんははぐらかして了承を得た。


そしてビッグサイトを出て、3人揃ってりんかい線がある国際展示場前に向かって歩き出す、モノレールでも帰れるが池袋に行くならりんかい線が早いと神子さんが言うのでそうすることにした。


駅に向かう途中、ふと後ろを振り返ると朝見たビッグサイトとは違う景色に彩られたビッグサイトを見ていろいろあった一日目を感じた。

これの祭りがあと二日もあるんだなぁとたちどまっていると「おいていくよ~」と声がしてビッグサイトを背にして駅へと向かったのであった。

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