第10 最大の闇は目前に
沈黙がはしる・・・・
それは当然の事だろう、天照、アヌビス、双方の最大とも言える技が今目の前で、一瞬で二つ同時に消されてしまったのだから。
いや、消されたのではなく一つの技に吸収されたのだろう、「ダークホール」漆黒のフードを身に纏った最後の1人が放った技によって。
アニメや漫画でよくある展開だからわかる、この男ここに居る誰よりも危険で危ないってことが肌にもひしひしと伝わってくる。
「なんでだぁ・・・なんで止めやがるうううう!!!」
アヌビスが凄い声で叫ぶ。
「もう少しでそこの忌々しい神を!!潰せたんだ!!!なんで止めやがる!!!!」
漆黒のフードから見せる隙間から紅蓮に染まった眼光を鋭く放ちながらアヌビスに向かって言う。
「だまれ」
それはとても静かで落ち着いた声だがとてもどす黒く一瞬で周りが押しつぶされそうな圧を放った。
アヌビスが震えてる、自分の少し離れた所にいるネクタルも震えている。
かという自分も震えて動けない、そしてその声に当てられ考えることをやめてしまった事でアーサーの変身が解けてしまっていた。
天照は、静かに見守りながら動かない。
漆黒のフードを身に纏った者が天照の方を向く
「日本の神天照よ、さすがのお力感服いたしました。ですが、やりすぎですなもし双方の技がぶつかったらこのビッグサイトもただではすまなかったと思いますが・・・」
と静かに天照に問いかける。
「ああ・・私もやり過ぎたと感じるが、だが私が考えもなしにやりはしない。守るための力は他にもあるのでな。まぁそこの馬鹿は、何も考えなく撃ったのだろうがな。」
とアヌビスを見ながら言う。
「てめえええええ!!!」
アヌビスが吠える、フードをかぶった者は紅蓮に染まった眼でアヌビスを睨む。
びくっとなり黙るアヌビス。
「アヌビス、お前は目的を間違えるな、我々が破壊したいのは二次元だ。ここを破壊してしまったらいろいろな者に干渉してしまう。そのことを忘れるな。」
そう言い放つとアヌビスは後方にさがった。
ここを破壊してしまったら?と言うことはこいつらは街など、このビッグサイトを破壊する気はないってことなのだろうか?会話を聞きながら考えようとするが思考が回らない。
すると、天照が喋り始めた。
「貴様は・・・何者だ?私はお前を知らない、エジプト神話で冥界の神とされているアヌビス。ギリシア神話の神酒と言われていたが神だったネクタル。この者たちは知っている、だが貴様を知らない!!お前は何者だ!!!」
天照が声をあげて問う。
フードをかぶった者はフードを脱ぎ捨てて姿を現した。
「わが名はジェノサイド!!!!すべてを破壊し秩序を生み出すもの!!!人間が生み出した者だ!」
紅蓮に染まった眼光を鋭く放ち赤く立ち上がった髪、赤と黒が混ざった鎧、そして黒いマントを身に纏っていた。
「人間が生み出した者だと!!!馬鹿な!!!そんな事があってなるものか、何かを生み出すのは神々の力が無くては出来ないはずだ!!なのに、人間が生み出しただと!世迷言を言うな!」
天照が叫ぶ、それはそうだ生き物はすべて神々が生み出したとされているのだから天照が怒るのは当然なのだろう。
「あああぁ・・悲しいか天照、だが事実だ!!私は人間どもが生み出した神を超えた存在だ!だが、この身体は元は堕天使を利用させてもらっているがなそこまで言えば誰の身体を使わせてもらったかお前ならわかるだろう?」
ニヤリと笑いながら天照を見る。
「堕天使を利用だと・・・・まさか貴様の身体ルシュファーのものか!!!!」
天照が言うと、ジェノサイドは高笑いして答えた。
「その通りだ!!!ルシュファーだ!!!この身体は堕天使ルシュファーの物だ!奴を御するのは実に簡単だったぞ、奴は更なる力を得ようとして人間の悪の心、闇の部分を取り込もうとしただがな、それがいけなかったその闇の中にいる我に気づかなかったのだからな。」
「つまり・・人々の悪意の感情そのものがあなたという訳ね。だから人が生み出した存在と名乗った」
「そう。その通りだ我はルシュファーを取り込みその力を自分の物にした!更に人間が生む悪の感情によって常に力が保たれる・・・最高だ・・あぁあだが、悲しいことがある二次元創作物、アニメや漫画などは人々に希望を与える。人間は必要だ・・だが希望は必要ない絶望のみで満たされればよいのだ」
ジェノサイドが暗いそしてどす黒い声で言うと大気が震えた。
「だから、あなたは心見を使って悪の感情を増幅させ人々を絶望させようとしてるって事・・そしてそれをイベントで起こせば人々の目は集中し排除しよとする」
「その通り、さすが日本の最高神に位置する天照大御神、理解するのが早くて助かる。人間も御しやすい一つの悪が生まれればそれを集団で排除しようとするのだからな。」
確かにそうだ、人間は守りたいと思ったら何でも悪にして集団で叩こうとするものだ、昔で言うなら魔女狩りみたいに自分たちにとって悪いもの、不安になるものを消し去りたいというものだ。
数年前、いや今でもアニメや漫画を見ていただけというだけでマスコミや警察はそのせいにして排除しようとするのは少なくないのだ。
つまり、ジェノサイドと名乗るこの男はそれを利用していることは確実だ。
「いや・・しかし、困ったものですね二次元好きな神が居る、それが日本の最高神となればいつか立ちはだかってくるとは思っていましたからね。そして、対応が早かった、このビッグサイトでこんなに暴れても周囲は静かだ、まさか先に結界をはっているとはね。」
ジェノサイドが指を指すと今まで気づかなかったというか見えていなかった透明な壁がビッグサイトを包んでいた。
「ここまでになるとは思っていなかったけどね、戦いが始まった瞬間に結界を張ったのよ。さすがにこんな大騒ぎするのを知られたらコミケ事態無くなるし、それにアニメや漫画も影響すると思ったからね。周りからはいつも通りのコミケ会場に見えるという訳。」
手をパチパチと叩くジェノサイド。
「さすがです。ですがそうされては困るのでね、解いてもらえませんかね?」
「いやだといったら?」
天照がそう言うとジェノサイドは考え込み何かひらめいたのか手のひらを賭に向ける。
「彼を消すというのはどうですか?あの子の力は覚醒したばかりで安定しないが!これから脅威になる、だからこの場で消す断ったらそうします。」
天照は固まる、今日会ったばかりのしかも覚醒させてしまった子を犠牲にしてここを切り抜ける?それはダメ、でも結界は・・・
天照はすごい考え込んでいたが、ジェノサイドが言う。
「遅いですね。答えてもらいますよ天照。どちらを選びますか!彼の命か結界を外すか!!さあ!!」
天照の口が動く。
「どっちも守る!!!!」
そう言い放った。
「そうですか・・・残念です。」
ジェノサイドの手のひらに光の球体が現れ賭に向かって放たれた。
その瞬間に天照は瞬間移動しようとするがジェノサイドに止められる。
「行かせませんよ。瞬間移動できるのは知っていますからね、それにあの球体はあなた方の技を圧縮したエネルギー体あの子が消えるのはあなたのせい、絶望してください。」
「なんですって!?くっどきなさい!!!邪魔!!!」
計算外だったことに戸惑う。
天照は振り切ろうとするがジェノサイドはそれを阻止してくる。
えっとこれ絶対絶命ってやつですか?なに?少し聞こえたけどさっきの天照の技とアヌビスの技を圧縮した物みたいな事言ってたけどそれ防御しようがなくない?
一気に思考がめぐる、いつもの想像で遊んでいるわけではなく今目の前に来ている絶望は間違いなく現実なのだ、自分に降りかかっているのだ。
ポケットに入れていたカードを見るがすぐに永遠の想像、でダウンロードできそうな想像ができない。
「くそおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
賭が地面に手を突いた。
あと少しで賭に攻撃が届くその寸前目の前に人が現れた。
「防ぎ様がないなら!!!!!ぶん殴る!!!!!」
と言い放って拳でエネルギー体をぶん殴り空へ打ち返した。
「ちっ!!!」
ジェノサイドは舌打ちをして避けた。
「大丈夫!?賭くん!!!」
その声には聞き覚えがあった。
周りの土煙が晴れて目の前を見るとそこに立っていたのは桜さんだった。




