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神子の父   作者: KURO
プロローグ
2/8

転生



地球で死んだ俺は異世界に転生した。


異世界転生などこれまで微塵も信じてなかった俺は激しく困惑した。


ここは何処で、どうして生きているのか。

そして見知らぬ世界で何故転生し、前世の記憶が残っているのか。


様々な疑問が残る。

そんな俺が最初に見たのは、満面の笑みを絶えず浮かべる二人の異世界人だった。


レオ・カーツヴォルト。

マレス・カーツヴォルト。

それが新しい両親の名前だ。


父親のレオは短く切りそろえた金髪に碧眼で若い青年だ。開口一番にやったー!と大声で叫ぶと逞しい腕で俺を抱き上げ、頬が垂れるんじゃないかというほどニヤケる。


母親のマレスはオレンジ色の艶やかな髪をした綺麗な女性で、レオの喜ぶ様を見て柔らかく微笑み、俺の頭を撫でると柔らかい唇でキスをする。


どうやら俺は赤ん坊として、この2人の元に生まれ変わったらしい。


レン・カーツヴォルト。

俺はそう名付けられた。


仲睦まじい両親にレンと参るくらいに連呼され、何度も抱きしめられる。


不思議といやじゃない。

むしろ心がぽかぽかと温まる。


これは、願いが通じたのか。

俺が両親ともっといたいと願ったから、何処かの神様が俺をこの世界に生まれ変わらせてくれたんだ。


名前が前世と同じなのも相俟って強く確信した。



------




十五年。

月日はそれほど経った。


時間が経つのは早いもので、その間に色んな情報が分かった。


この世界は完全なファンタジー異世界もの。


剣や魔法が存在し、人々はそれを基準として共に生きている。

魔法は一般的な家庭でも使える。簡単な詠唱一つを唱えればあら不思議。

水魔法で水を湧き、火魔法で火を焚く。

風呂の出来上がりだ。


初めて見た時は余りの不可思議な光景に口が開きっぱなしになったものだ。


その度に両親に笑われてしまったが。


フェーガリット大陸。

俺が住んでいるのは、その東の端っこらしい。ある時レオに頼んで世界地図を見せてもらったのだが、拙い大雑把な物だったのでよく分からなかった。


たぶん、この世界、地球の3倍は大きいと思う。


大陸は全部で五つ。

種族も主に五つ。


人族、

魔族、

獣人族、

森霊族、

竜人族、


というところだ。


主にと付け加えたのは、この世界でまだ未知の生き物がいるかもしれないとレオが教えられたからだ。


人族以外の種族は、ごく一部だが亜人という蔑称で呼ばれ人族に差別されていた。

そんな事をすれば人族が恨みを買い根絶やしにされるのでは?、とこれまたレオに訊くもガハハと大きく笑われそれは無いと断言された。


人族は五大陸で最大勢力を誇り、後の四種族が束にかかってきても逆に滅ぼしかねないそうだ。


人族強い!


そうやって、俺は疑問に思った事をすぐにレオやマレスに訊いた。

その都度、二人は丁寧にそして嬉しそうに教えてくれた。


息子が勉学に励む事がとても微笑ましい。何より素直に頼られることが一番嬉しいと言っていた。

マレスはご近所の奥様方に、レオは同僚の仕事仲間に俺のことを自慢しまくっていた。

家に来る客人は大抵が俺のことを知っていて、ほとんどが俺目的に見に来るもんだから恥ずかしいことこの上ない。


最後の方は幼くして知識がある俺を神童だなんて呼び出した時は、顔を真っ赤に染め上げたよ。


そんなこんなで、俺は冒険者になり家を出た。

15歳の時だ。


マレスやレオに冒険者になりたいなんて怒られるかもと思ったが、お前も大人になったのだな、と快く送り出してくれた。


簡潔に、冒険者ライフはとても楽しかった。


女の子とパーティーを組んだり、

ギルドでヒゲの濃いおっさんに絡まれたり、

黒竜を狩ったり、

エルフの美少女と仲良くなったり、

ギルドの抗争に巻き込まれたり、


と充実した毎日を過ごせた。


前半は凄く胸が跳ね上がるほど興奮した日々だった。特にエルフっ娘と更に獣耳っ娘とのウハウハだな。冒険で一緒に闘った後は、ベッドに潜り込んでくる美少女達と朝までウフフと。……しようとした所で人族の女の子に割り込まれたけど。


最後の方はしんどかった。

ギルド間での抗争。

何たって五大陸最強の種族。その人族の選りすぐった猛者共の衝突だ。あの時は天変地異が起こったのかと思ってチョービビった。屈強な男達の拳と拳のぶつかり合い!洗練かつ強力な魔法の撃ち合い!


冒険者の歴史に残る闘いを終結させたのは………まぁこれは今度話そう。


長い長い旅は3年に及び、多くの出会いが俺を成長させてくれた。


そんな俺に転機が訪れた。


ーー結婚だ。


リフィア・アルザス。

それが俺の奥さんの名前。


オレの嫁!


嬉しい限りだ。

リフィアはかつて冒険者になって初めてパーティーを組んだ人族の女の子だ。


そう、エルフっ娘や獣耳っ娘とイチャイチャラブラブしてる所に邪魔するリフィアは実は俺に好意を寄せていたのだ。


「私と付き合って下さい!」


告白されて付き合って今では夫婦。


人生何があるかわからないものだ。


リフィアとは冒険者だった頃と関係が劇的に変わったが、二人の間の空気と言うのかな。それは全然変わってない。ラブラブだ。


非常に素晴らしい。


そんなある日、俺達にとって待望の子供が出来たのだ!


やることやってれば出来るものも出来るわな。


東の端っこにあるレオとマレスの実家に帰り、家族全員で暮らしている。

両親は大喜びで、嫁を連れて帰った時の顔は状況が飲み込めないと言った表情で驚いてた。あのレンに彼女が出来た!まして子供も!?みたいなね。


いったいどんな風に思われてたか気になるところではあるが……、今が最高に幸せだ。


その分頑張ろうとも思える。

家族を支える大黒柱だ。

たくさん稼がないとな。


俺がリフィアも生まれてくる子供も守るんだ。


何があっても。



そして子供が生まれる日、


ーー悪夢は突然やってきた。



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