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6-1

―― 6 ――


 再び、MIKEの店内。

 話を一通り聞いた後、リクはライアンに尋ねた。

「ホーリーシェパードを再生産して、ケルベロスを退治する事は出来ないんですか? 」

「それは不可能なんデス。実体化したARは、不思議な事に、全てのコピーデータが消えてしまうという特徴があるのデス。さらに一度実体化してしまった物を再プログラミングしようとしても、同じシステムでは二度と作る事が出来ないのデス。おそらく、プログラムが実体として誕生した瞬間に、そのプログラムは唯一無二の存在になってしまうのではないかと思うのデス」

 実はバボとネネのデータも実体化後消えていた。しかし、リクは「茶トラ」と「ボンベイ」を再プログラミングしようと思った事は一度もなかった。なぜなら、そんな物を作ったら、きっと彼らが拗ねるだろうと思ったからだ。特にネネは「私がいるのに酷い――」と大騒ぎしそうだ。

(まあ、結果として無駄なことをしなくて良かった訳か――)

 リクはそう思いながらも、二匹が唯一無二である――、その事は、なんだか少し嬉しい気がした。


「俺は何を協力すればいいんです? 」

 改めてリクはライアンに尋ねた。

「はっきり言って、防犯AR犬が失敗に終わり、それを再現できない今、私どもの会社だけで次の新たな対策を講じるのは時間がかかりすぎるのデス。そこで優れた知識と技術を持つユーに、なんとか短期間での新しい防犯AR開発の為に協力してもらいたいのデス」

「新しい防犯AR……」

「実際の所、実体化したARに防犯ARがどれだけ対抗できるのかはわかりマセン――。しかも、一度ホーリーシェパードで失敗をしてイマス。次も失敗しないとは限りマセン。しかし、我々には他に思いつく方法が無いのデス。こうしている間にもケルベロスは暴れているかもしれマセン――」

「うーん――なるほど――」

 ライアンの話を頭の中で整理しようと、腕組みをして少し考え込むリク。

 その時、リクのスマホに着信が入った。確認するとバボからだ。

「ちょっと失礼――」とリクは電話に出た。


『もしもし! リク! 大変だ!! 』

 バボの声は慌てている。

「どうした? あれ? お前、確か今日は……」生放送の仕事じゃなかったか?と言いかけて、ライアンがいるのを思い出してリクは言葉を止めた。

『化け物だ! 化け物が出たんだよ! 』

「ええ?! なんだって! 化け物だって?! 」

 思わずリクは聞き返す。その言葉が耳に入ったライアンはメガネの下でピクリと眉を動かした。


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