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プロローグ

読んでいただきありがとうございます。前作同様、楽しんで頂けたら幸いです。

 春は、別れもあれば出会いもある。そして新しい生活へ踏み出す第一歩だ。


 シャトルーズ軍人学校もまた新入生を迎える季節だが、本来桜花爛漫な入学式となるところを今年は陽気がよかったのであいにく葉桜が目立っている。

 校内に溢れる真新しいモスグリーンの軍服に身を包んだ彼等に、懐かしい眼差しを送る男がいた。

 彼の名はアレックス・ミュラー、27歳で階級は少佐である。

 均整の取れた長身と精悍な顔立ちは周囲の目を引く存在だが、無造作に上げた栗色の前髪から覗く鋭いグレーの瞳は近寄りがたい雰囲気を醸している。

「仏頂面はやめてよ。入学式くらい笑顔でいたら?」

 長い赤毛を一つに束ねたビアンカ・バルバートが呆れた顔をしていた。

 ワイシャツのボタンが弾けんばかりの豊満なバストにくびれたウエストは、異性だけでなく同性も憧れる迫力あるプロポーションの持ち主である。

「あなたのお陰で、今年の受験倍率は過去最高ですって。ご感想は?」

「役に立てて光栄だ」

「彼女達も新しい部隊で頑張っているみたいね」

 

 『彼女達』とは、つい二週間前までアレックスが担当していた四人の訓練生である。

 IQ140の才女ソフィア・ギンフスキー、射撃が得意なナガミネ・リコ、情報屋のチェリー・ブライアント、そして身体能力が優れていたカーリン=リヒタード・ランジェニエール。

 一見、優秀な班に見えるがあまりにも得意分野が偏り過ぎて、扱いにくいと何人もの教官がさじを投げた。

 そこへ臨時任務としてアレックスが抜擢されて、落ちこぼれと噂された班が卒業試験で準優勝するほどの急成長を遂げたのである。


 その手腕が買われて教官職を留任すると、彼の評判を聞きつけて受験者が殺到したということだ。

「悪戦苦闘の毎日だそうだ」

「心配?」

「ああ。大切な教え子だからな」

「一番大切なカノジョは元気?」

 悪戯っぽく笑って尋ねるビアンカに、わずかに頬を緩ませて答える。

 ビアンカが示す『カノジョ』とは、今朝モーニングコールを頼んできた元教え子のカーリンだった。


 


 

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