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夕方って書いたものの何時から夕方なのかわからなくて三時ぐらいから公園で待つことにした。
なんで時間を書かなかったか。
それは呼び出すのに時間指定って偉そうだなーって思ってなんだけど自分の馬鹿さ加減にはほとほとあきれる。
だって呼び出される方も何時に行けばいいか悩むようなきが……。
日差しが強い。だけど秀悟が来てくれることを願って待つしかない。
5時過ぎ、携帯が鳴った。
『絵美?公園に着いたんだけど……どこにいるの?』
よく考えたらここの公園は広いのに場所も書いてなかった。
「えっと、時計があるところの下のベンチ」
『わかった。ちょっと待ってて』
「あ、切らないでそのまま聞いて」
多分会ったら緊張してまともに話せない気がするから。
「あのね、今日呼んだのは私が思ってること全部聞いて欲しかったからなの。勝手かもしれないけど私は秀悟と別れたくない。秀悟のこと好きかどうかなんてわからないけど」
電話の向こうは静かだった。秀悟は何も言わない。
やっぱりあきれちゃうよね……こんなの。だけど素直になれって咲に言われた。
思ってること全部伝えなきゃ今日来てもらった意味がない。
「好きってこと自体いまいちどういうことかわからない。咲のことは好きだけど、それとは違うし。でも秀悟といるとどきどきしたり、安心したりする。なんだか前よりも話すとき何言っていいかわからなくて焦っちゃうし。あと、秀悟が笑ってくれたりすると嬉しくなる。いっしょにいたいって思う……」
「俺は絵美が好きだよ」
電話からも後ろからも声がした。
振り向いたら秀悟が立っていて、ふいに抱きしめられた。
「秀悟……」
「絵美、さっきの全部本当?」
「……うん」
「じゃぁなんで俺のこと避けてたの?」
「……恥ずかしくて、あんなこと思ってるって悟られたくなかったから」
短い間の沈黙をはさんで秀悟が口をひらいた。
「……なぁ絵美、確かめようか、絵美が俺のこと好きなのか」
「え?」
言葉を返す前にキスされた。ただ一瞬振れただけ。
驚いて秀悟を見上げる。
「嫌だった?」
私は首を振る。
「ほら、簡単だ。絵美は俺のことが好きなんだよ」
そういって秀悟はいつものように甘く微笑んだ。
こうして秀悟の腕の中にいるだけで、秀悟が笑うだけで幸せだって思う。
これが好きだってことなのかな。秀悟が好きって言ってくれて凄く嬉しい。
だったら伝えないといけない。
いつか気持ちは変わるかもしれない。
だけど今は未来のことより秀悟のことを大切に思うから。
秀悟の顔を見上げて、目を見て言うんだ。
「うん、わかったみたい。私も秀悟が好きだよ、大好き」
これで一応完結。
その後と番外編もあります。