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うっかり日曜日は秀悟とデートなどしてしまったが、実は今週はテスト週間だった。
8日の金曜日で全教科終了。
やっばーい、今回も赤点かな……
咲はいつも成績上位者だ。
いつも高田さんって人が一番で満点。……あり得ない。
二番が生徒会長の沢田くん。
三番が生徒会副会長の志波くん。
で、その次が咲。
(うちの学校は特別な理由がない限り成績順に生徒会役員を決めていく)
上の三人は常に不動で、咲はテスト前になると鬼のようにスパートをかける。
だけどいつも四位。
小学校のころからどうしても志波くんに勝てないって悔しがってた。
11日の月曜日、結果が帰ってきた。
今回のテストもやっぱり咲は四位だった。
そして私は……やっぱり赤点だった。
追試受けて合格しないと夏休みは補修になっちゃう……どうしよう。
「絵美、テストどうだった?」
秀悟はクラスメイトに付き合ってることがばれるのなんてお構いなしで教室でも私に話しかけてくる。
……結構秀悟のこと好きな女子多いのに……
「うーん、悪かった。予想内ではあったけど」
「ふーん。じゃあさ見せるから見せて? はい」
秀悟が自分の成績表を渡してくるから、私も自分のを渡した。
なになに、34番??
かなり良いじゃん!!うちの学校一学年400人ぐらいいるのに……。
「すごいっ、秀悟って頭良いんだね!!」
日曜日だっていっしょに遊んでたのに!!
「……絵美はやばいね……追試じゃん、これ」
「ひどい、わかってるんだからホントのこと言わないでよ」
「ごめんごめん。わかんないとこあったら俺教えるし。追試がんばれ」
「もぉいーよ、秀悟になんて聞かなくても私には咲がいるしっ」
「……あんなでも?」
秀悟の視線の先にはまた志波くんに勝てなくて机に突っ伏して落ち込んでる咲の姿が。
周辺だけめちゃくちゃ雰囲気が悪い。
「だいじょーぶ!!明日には復活するから!!」
あれももうすでにいつものこと。
咲は立ち直りが早いから、明日にはもう元気だろう。
「そうだ、悪いけど今日から俺部活でさ、いっしょに帰れないんだ」
そういえば、秀悟は部活に入っていたはず。
先週いっしょに帰れたのはテスト週間だったからだったのか。
「うんわかった。秀悟ってたしかバスケ部だよね? 頑張っ!!」
「そうそう、バスケ部。まぁ今日は久しぶりだし基礎練だと思うけど頑張るよ」
そんな会話をしてHRが終わり私は1人家路についた。
次の日。
やっと長かった一日が終わって帰り道。
今日も秀悟は部活だし咲は生徒会なので1人で帰る。
私も何か部活入ろうかなぁ……でも家事があるし。
そんなことを考えながら歩いていたら今日は体育館の前に人が集まっていた。
何だろうと思って、近づいてみると、これからバスケ部がチーム内二つに分かれて練習試合をするらしかった。
もちろんその選手のなかには秀悟の姿が見える。
少し興味があったから、私も見ることにして前のほうを陣取った。
ゲ-ム中の秀悟はなんだかいつもの、私の知ってる秀悟とは全く別人だ。
目つきが鋭く、冷静に周りをみてパスを回し、汗をかきながらコートの中を走りまわる。
真剣さが伝わってくる。だけど同時にすごい楽しそうだった。
秀悟がシュートをしたとき、いきなり周りにいた女の子達から歓声があがった。
気づかなかったんだけど、彼女達の中にはどうも秀悟のファンがいるみたい。
秀悟は私の彼氏なのにっ……期限付きだけど。
そう思うとなんだかおもしろくなくて試合は途中だけど家に帰った。
なんでおもしろくなく思ったんだかわかんないけど、秀悟の彼女だってことを自分で認識してることに驚いた。
だって、ねぇ……友達みたいなものじゃないの……?
つきあい始めて二週間。
私は秀悟のこと……どう思ってるんだろう??
好きだけど……それは友達として?それとも恋人として……?
まずい。そんなことになってはいけない。
だって……恋愛なんて私はしたくないんだもん。
……明日からは少し秀悟と距離を置こう。