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I don't know  作者: 河内音子
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私にはわからないの。

人を好きになる、愛とか恋とかそういう気持ち……。


I don’t know


放課後、私は一人教室で友達の岡本咲を待っていた。

そこにたまたまやってきたのがクラスメイトの木本秀悟だった。

今思うと彼がタイミングよく現れたのは咲の差し金だったのかもしれない。


「あれっ、小池ひとりでなにしてんの?」

教室で携帯をいじっていたら急に声がして、顔を上げれば出入り口のところに木本君が立っていた。

「何って咲を待ってるんだよ。咲、日直でさぁ日誌出しに行ったから」

「あ、じゃあもしかして今少し時間ある?ちょっと話があるんだけど。」

そう言ってこっちに近づいてくる。

放課後の教室、二人きり。

「何?? 改まってする話なんだ?」

私は自分では鈍い方ではないと思う。

私の予想が正しければ、この状況、話の内容って……

「あの、さ、小池のこと好きなんだけど、俺とつきあわない?」

……やっぱり。

私はそんなにもてないほうではない。(と思う)

結構告白されたりするけど、私は周りからどう思われているのかな。

どうして私のことなんてあんまり知らないのに好きだなんていえるの?

「ごめん、木本君は友達だけどあんまり仲良くないし、急につきあおうって言われても考えられない。ホントごめん」

無難に返しておけばこいつも振られてくれるだろう。

私は誰ともつきあう気はないし、彼氏がほしいと思ったこともない。

告白してくる人の気持ちなんてさっぱりわからない。

「……そういわれると思ってた。でも小池に好きな人がいるわけじゃないってのも知ってる。だからさぁ、提案があるんだけど……」

なんだ??何言い出すんだこいつは……

「俺とさ、期間限定でつきあってみない?? 損はさせないからさ」

「はぁ?」

「だーかーらっ、期間つけて俺とつきあえって言ったんだよ。そうだな、期間は1ヶ月。俺ちょうど1ヶ月後の今日誕生日だし」

「な、ちょっとなんで私が木本君とつきあわなきゃいけないのよっ、誕生日だとかも私とは関係ないし。それにあなたとつきあって私にいったい何のメリットがあるっていうの?」

「メリットって……あえて言うなら俺の愛が」

「いらない」

すかさず即答。

「私はあなたを別に特別に好きじゃない。一方的なものって重いだけなんじゃない?どうかと思うんだけど」

「そう?んーメリットねぇ……じゃあつきあってる間は俺のことぱしりにしていいし、いっしょにいるときは何でもおごってやるし、何でも好きなもの貢いでやろうか?」

「そんなメリットならいらないよ。別にお金に困ってるわけではないし自分のことは自分でできる。まして欲しいものなんて何もないし」

こいつ本気でこんなこと言ってるのかな?

だとしたらどうしようもない。

私はそんなこと望んでる女に見えるのか……

「・・・・・小池のいうメリットって何? 何か利益がないとおまえは友達にならないの? 岡本もクラスのみんなも?」

「だって友達っていうのと、つきあうっていうのは違うでしょ、あなたが私を好きでも私はあなたを好きじゃないんだよ? いいの? それで……」

いいわけない。

どんなに思っても振り向いてもらえないこともある。

それがつらいことだっていうのはさんざん見てきたから知っているもの。

「俺はいいよ、それで。今俺のこと好きじゃなくても1ヶ月の間に絶対おまえは俺のことを好きになるよ」

木本君は自信ありそうに、だけどやさしく笑った。

「恋愛なんてしない。いつも小池が言ってることだよな……でも、“できない”の間違いだろ? おまえ見てるとそんな感じがする。俺結構前からおまえに片思いなんだよねぇ、俺が納得するためにもお試しでいいからつきあってよ。どう? 俺は長い片思いに終止符が打てるし、おまえは初恋が経験できるかもよ? これでもメリットがないっていえる?」

恋愛なんて一時の気の迷いだ。

そう思ってる私と、そんな私のことが好きだって言う彼。

どっちが負けるのか試してみたくなった。

「……いいよ、期間付きの彼女になってあげる。だけど、私は木本君のこと好きにならないよ。私は恋愛なんてものしない。確かに今までしたこともないけど、したいと思ったこともない。映画とか本とかではすばらしいものみたいに言ってるけど胡散臭いし、あんなの一時の気の迷いで、いつまでも同じ気持ちでいることなんてないんだから。1ヶ月後も私のこと好きかなんてわからないでしょ?せいぜい短い間私を楽しませてよね」

「わかった。俺は好きだよ、小池のこと。1ヶ月で証明してやるよ、俺の思いが一時の気の迷いじゃないってこと。……じゃ、これからひとまず短い間だけどよろしくな、絵美」

「うん、まぁよろしくね……秀悟」


こうして私に初めての彼氏ができた。なんか口車に乗せられただけな気もするけど。

あの後携帯に咲から『告白シーンみたいなので、お邪魔しないように先に帰りまーす☆明日詳しく話聞かせてよね(^m^)v』なんてメールが届いていた。

誰を待ってたせいでこんなことになったと思ってるんだ、全く。

それで秀悟といっしょに帰った。

彼とあんなに話をしたのって初めてだったけど、もともとおもしろくていい人だから(ちょっと俺様だってことが今日わかったけど)そこそこ楽しかった。

これなら1ヶ月くらいなんとかなりそうだ。


作者の処女作、現役女子高生の頃に書いたものです。

拙い文章ですが、もはや修正をする勇気もない。

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