母上の視点
~母上side~
五話ぐらい前から登場していなかったユキタカの母です。
いつも息子が迷惑をかけていますね。
今はこの屋敷の地下にあるサブコンピューターで息子が何をやっているか
執事のスティーブと一緒に監視中です。
「でっ、スティーブ、ユキタカは何を今しようとしているのかしら?」
「正直私には皆目見当が付きませんな。分かっているのは彼が食糧生産用のコロニーを
ラグランジュポイントから衛星軌道上に下したと言う事だけですから。」
こっちは動きがないと言う事かしら?要監視なのは変わらないけど…
それ以外に気になるのは…
「ところで戦況はどうなっているのかしら?うちの夫が乗っているユ
ラ…『ユリアヌスで御座います』そうそうユリアヌスはどうしているの?」
あの人は昔からゴキブリ並みにしぶとかったから『酷いよ!?』大丈夫だと
思うけど…
「ここからは計測する余地はないと言い切りたい所ですが、コロニーに
設置されているカメラから見られるようです。流石にここでは
画像までは見られませんが。」
「ユキタカはそこまで考慮してコロニーを動かしていたのかしら?」
「案外本当に父上が心配でコロニーを動かしたのかもしれませんね」
その意見としては母親としては肯定したい所だけどユキタカに限ってそれはないと
断言出来る気がするのは彼の自業自得かしら。
全く天才肌の息子を二人も持つとこんなに苦労するなんて思ってもいなかったわ…
彼の兄のライアは十五歳ぐらい
なのに既に人誑しの才能を開花させようとしているし、
弟はいろいろな意味でダメな感じに仕上がってきている。
ライアは比較的安心できるんだけど、
彼の怖いところはあの病的なまでの朴念仁さ加減ね
直さないといつか女性関係で刺されるわよ?
ユキタカに至ってはどんどん変態化しているから片時も目が離せないし…
彼は自分のことは普通だと思い込んでいるけど外からみると
かなり重度の変態っぽいわ。
基本的に彼はどんな物にも好奇心を示してそれを満たすためならなんでもする。
一時機はいろいろなものを解体しようとして大変だったんだから
そういう時本当に嬉しそうなのよね…
逆に興味が無いことに対してはろくすっぽ目を向けないし…
人の名前を覚えることに対しては壊滅的ね
なかなかスティーブの名前を覚えなかったし
そして時々誰も今まで想像もしなかったことを思いつくときがあるわね
…主に軍事関係で(もうこの時点でアウトね)
今回もそう、八歳児が屋敷にあるメインコンピューターを使って
コロニーを動かすことを思いつく方がおかしいのよ?
「奥様!坊ちゃまの方で動きがあります!」
「何!」
「移動中仕舞っていた偏向板を予備も含めて全機展開しています!」
「なんとなく何をしようとしているのか分かってきた気がするわ…」
全くとんでもないものを思いついたわね!だから変態なのよ!『母上酷い!?』
「彼は展開した偏向板で太陽光を集めて海賊船に照射するつもりよ!」
主人公は変態っぽいらしいです