似非健康半袖少年の話。
私は小学二年生の終わりから小学六年生まで、知らない人も知っている『似非健康半袖少年』であった。子供は風の子だからよく外で遊べというが、さすがに冬が到来すれば着込んで寒さをやり過ごす。冬に駆け回ることといえば、雪が降った時ぐらいである。
しかし、私ははばかるも年中半袖であった。鼻水垂らし、寒気に身体を震えさせながらも半袖であった。石川先生などには「俺も半袖で行こうか?」などと同情されて、そこで石川先生の真意を知ったりもしたのだが、別に家に長袖の洋服がないわけではなかった。理由はさだかではないが、私は半袖だったのである。
なにゆえ、そんな無益なことを吐露するのかというと、小学校の卒業アルバムの集合写真を見てみたのだが、季節に隔てなく私だけ半袖であった。それがついつい面白くて書いてしまったのだが、この半袖の裏には薄い布生地に不釣合いなほどのエピソードが込められているのである。
それは私が小学五年生の頃のことで、すでにクラスでは私が似非健康半袖少年だと知る者も少なくはなかった。
「おい、俺とお前さあ。どっちが長く半袖でいられるか勝負しようぜ」
そう持ちかけてきたのは少年野球部に身を置く健康半袖少年の『ひっくー』であった。
彼も私と同じく半袖愛好家であったが、私のように晩年半袖野郎に成り下がるような人間でなかったし、とても容姿が格好良かった。
「いえいえ、わたくしと勝負だなんてとんでもございません」まがいの発言をして勝負を逃げ出そうとした記憶がある。なぜならば、万が一私が勝負に勝ってひっくーの顔の泥を塗るようなことをすれば、ひっくーファンにのたうちまわされるからである。
さて、ここで共感求む話といいますのが、極限的にどうでもよいことなのですが、私の友達には何かしら格好良い人間が集まってくるのです。今作品に出てきた中だけで『トレイン』『まさ吉』『しおっち』『上田君』『ひっくー』などなど、みんな容姿がいいです。
もしかしたら「こいつの作品にはよくイケメンが出てくるな」と思った人間がいるかもしれないので、無理やりつなげてみた。
共感求ム。