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ロゼッタさんの魔法で私は現実世界に戻ってきた。例の火災報知機の前だ。
ジリリリリリリリリリリリリリ!
火災報知機の音がオフィスの廊下全体にけたたましく響き渡っている。
「か、火事だぁー!!」
私は咄嗟に叫んで、オフィスのメンバーに火災を知らせた。
避難訓練は無事に終わった。私の知らせ役としての活躍に上司から称賛されたりもした。好奇心でやっただけなのだが、ちょっぴり嬉しかった。
それにしてもあの体験は何だったのだろうか。火災報知機のボタンを押したところ、突然異世界に転移された――どう考えても理が分からない。このことはレイジや他の人に話しても信じてもらえないだろう。それに、下手に口外するとまずい気がする。この体験は私の胸中に仕舞っておこう。
避難訓練の日以降も、私は例の火災報知機の前を通過するが、私の非常ボタンを押したい欲は消失していた。押したらろくなことにならないと思う。当たり前の話だが、何かある時以外は押さない――そう誓ったのだった。
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