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翌日、避難訓練が始まった。
私は部長の指示に従い、火災報知器の前に立った。「強く押す」と書いてある丸い透明なボタン。普段押せないボタンが遂に押せるようになる。ドキドキが止まらなかった。
そして、ついにボタンを人差し指で強くプッシュした。
ジリリリリリリリ!
火災報知機の音が鳴る。即座に「火事だぁー!」と叫んだが、その時だった。
体に妙な浮遊感を感じた。気が付けば、私の周りを青白い光が取り囲んでいた。そして、私の体はその青白い光に包み込まれるかのようにして、その場から消えたのだった。
目を覚ますと、私は知らない空間にいた。砂のような感触。どうやら私は砂の上にうつ伏せに倒れていたようだ。そのまま起き上がると、辺りは一面砂。よく分からないが、私は砂漠地帯に飛ばされてしまったようだ。空は青く晴れている。何だか清々しい。
ボタンを押したら変な世界に飛ばされたーーそんなパターンかな?
そんなことを考えるのもいいが、まずは適当に歩こう。どこを見渡しても砂の地平線しかない。遠くの方にぽつぽつ小さなピラミッドのような三角錐の物が点在しているだけだ。
その時、妙な地響きを感じた。そして、背後から何かが迫る音。私は思わず振り返った。すると、そこには巨大な体躯の恐ろしい魔物が背後から迫ってきていた!
「ひぃーーーーーーーーーーっ!」
私は咄嗟に逃げ出した。巨大な恐竜のような魔物が私を襲おうとしているのだ。
どんなに速く走っても追い付かれる! そして、運動能力の低い私は、早くも限界を迎えようとしていた。そんな時だった。
突如紫色のビームが魔物に当たった。その時、魔物はまるで感電したかのように全身痺れた様子を見せた。そして、体は黒焦げになり、やがて黒い燃えカスのようになり地面に崩れ落ちた。
誰かが助けてくれた? そう思い、私は視界奥にいる三人の人物に目を凝らした。三人とも女性? 彼女らとは百メートルほど離れていたが、三人の姿は視認できる。
私は思わず駆け足で三人の所に近付いた。三人の女性達も、私の方に近付いてくる。私は広大な砂漠の中、転移後の世界で初めて人間(?)に出会ったのだった。




