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作者: まめのき

データが残っている中で一番古い作品です。非常に頭が悪くて嫌いじゃありません。

暑い、年々更新されていく猛暑にクーラー無しで果敢に挑んでいる

俺はもう限界かもしれない。

窓からは新鮮な空気ではなく、圧力すら感じる熱気の固まりと

蝉のけたたましい鳴き声が聞こえてくる。

もはや熱い空気を運ぶだけの存在となった扇風機の電源を落とす。

まともな稼ぎの無い俺では扇風機の消費電力すら惜しい。

何かをするという気になれるはずも無く、

もう何の染みなのかも分からない黒ずんだ畳の上で大の字となっている俺は

既に虫の息だった。

腹が減ったが金がない。

次の振り込み日までは遠い

あの時、パチンコに行かなければ今頃、パンとコーヒーに

締めの一服ぐらい出来ていただろうか。

汗が止まらない。

まるで畳に張り付いてしまったように感じる。

まだ汗が出ているうちは大丈夫かなと他人事のように思う。

ただ、蝉の声が気になる。

気になるを通りこしてもはや頭痛を感じる。

涼しげな木陰で聞く蝉の声には風情を感じ、岩に染みいるなんて

思うんだろうが。

環境も体調も最悪では、脳に直接、染み入ってくるようで頂けない。

打開しようにも汗を吸った服は重く立ち上がることが出来ない。

どうしてこうなった。

皆様の血税でパチンコに行った罰ですか?

なら仕方ないか。

このまま俺はこの畳の新しい染みになるんだろうか、

ならちゃんと分かるようにしっかり大の字になろう。

どうせろくでもない人生、人様に迷惑をかけることしかしていない。

死んだ方が世の為とはこのことだ。

ただ後悔がないかと言えば、ある。

一度でいい、一度いいからsexしたかった。

変にこだわらず、店に行けば良かった。

ゴミがプライドなんて持つから、童貞まま生を終えることになるんだ。

しかし五月蠅い、

人生の回顧ぐらい静かにさせろ、五月蠅いって字、蝉にした方がいい。

五月に蝉、うざいわぁ

蝉ってそういえば10年ぐらい土に潜ってるんだっけ

俺より酷いじゃないか、土の中で何やってんの

絶対何もしてないよね。そうだよね。

土の中って気持ちよさそうだなぁ、ヒンヤリとして

10年居たくなるようなところなんだろな。

少なくともこのボロアパートより100倍良い気がする。

蝉もわざわざこんな暑い時選んで出てこなくてもいいのに

俺なら、春にするね。むしろ一生、土から出ないかも

でもそれじゃ一人ボッチなのか

なんだ、蝉はいいなニート仲間が沢山いて

一緒に卒業しようねなんて言ってんのかな

俺にもそんな仲間や友達がいればなぁ

皆でお手て繋いで職安へ、皆同じだから恥ずかしくないよ。

お手て繋いでってことはないか先ずは一人出てくるんだもんね。

住み慣れた世界からも知らない世界に這い出して。

必死に木を登って、生まれ変わる。

なんか、蝉のこと尊敬してきた。

俺より全然凄いじゃん蝉。

蝉さんがあんなに鳴いてるのも子孫を残すための求愛行動なんだっけ

ちょっと前の俺なら必死かよって馬鹿にしていたけど

蝉リスペクト状態の俺は蝉ってマジ漢だと思ってしまう。

人の目なんか気にせず、大声でsexしたいですと叫ぶ。

土の中にいた10年と比べれば僅かしかない時間、

命を賭しての魂のシャウト。

これぞ男なのでは、変に着飾らない真の漢

沸騰した脳は蝉を男の頂点へと導いた。

俺も蝉さんみたいになれるかな。

俺も這い出る時ではないのか、

既に虫の息、守るものなんてない、命燃やす時

俺だって、死ぬ気になればシャウトできるのでは

sexできちゃうのでは

今まで重かった体が嘘のようだ。

これを人は活力と呼ぶのかもしれない。

あんなに五月蠅くうざかった蝉の声は今や同胞達の応援歌だ。

完全に染みってぜ、お前たちの叫びが。

立ち上がった勢いそのままに外に出る。

夏の暑さを、日差しを心地よいと思ったのはいついらいか

怖いものなんてない。

叫ぶぞ、俺も命の限り。


今日、学んだことは暑い時に考えたことなどろくでもないってことと

コンビニは涼しくて水分も置いててタウンワークもあって便利ってことです。

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