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承前 知ったかぶりのリドルストーリー 4
「じゃ、ナース誑してきなよ」
「お前の好みを押し付けるな」
「えー、万人の好みじゃない?」
「万人の女性の前でそう公言できる度胸があるなら認めてやる」
「や、男のよ?」
「更に難易度が上がったな。男の、を強調して女性限定会場でスピーチしてこい」
「じゃ、女医さん」
「チャレンジャーと呼んでやろう」
「お前好みに良心で選んだのに」
「他の全員が悪意の存在と言う気か」
「黙ってるだけの分別はありますよ? 唯、罹ってる産科医なら、所謂善意の嘘でも成立するかな、と。こういうのなら、受けれるんだろ?」
「医者が嘘を吐いている時点でアウトだろう」
「そ? 他人の為に吐く嘘もあるよってことじゃなかった? あなたは癌ではありませんって常套句じゃないの? 現在この国だって、癌に負けるにしたって出産リスクは零じゃない。っつーか、癌のリスク要因でもあるし、マタニティブルーって迷信じゃなくて、免疫下げる為って説もある。で、医療訴訟は起こしませんって唆すか逆に起こすとか脅してって、駄目か、これはお前好みじゃないから、えーと? 爺ぃの悪口は良いんだったな、じゃ、爺ぃが騙くらかす。奈何に妻が神経質な質か気に病んで身体を壊し易いか。とにかく無事に出産させてくれと懇願する。お医者さんは成程まずは母子共無事に出産出生に漕ぎ着けるのが第一と母親の余念を無くす方向で母胎管理をする。こういう欺瞞なら好きだろ?」
「欺瞞というところにお前の信念が透けて見えるがな。俺も、まぁ、あっさり了とはし難いが」
「あれ?」
「それでも医師の信念は解る。プロだからな」
「信念ときましたか。プロなればこその職業倫理に抵触しない?」
「外部から持ち込まれた部分には。まぁ、人其々だろうが、専門家が一点集中するのを一概には非難できないだろう? お前が言った通り、リスクが零じゃない問題に日々直面している人にとっては、そのリスクは遠い世界の話じゃない。大抵の人なら万が一なんて無視して生活する方が楽、というか、無視して遣り過ごさなきゃ、却って生き辛い。さもないと、強迫観念症に成っちまうとかな。だが、万が一の死亡事案を一日万件抱えている人なら一日にひとりの死者と対峙する。他の一切を無視して、その問題解決に努めようとしても可怪しくないし、他視点を忘れていることだけを理由に非難するのも可怪しくないか? それだけ集中しなければならない問題なら特に、と、違うな、くだらないことだってそうだ。如何せ味の違いが解らないだろうから、俺は醤油の仕込みが一年だろうと十年だろうと如何でも良い。が、日単位、時間、いや秒単位の違いに精魂傾ける人達がいたから旨いもんが喰える。あと、山葵田での水温の一度違いにぴりぴりしてくれる人とか」
「飛んだけど?」
「俺は新鮮な鯛なら刺身か寿司だ。醤油と山葵は欠かせない」
「カリフォルニアロールは?」
「邪道と言いたい気持ちもあるが、良い例だ。俺的には、そんなところに創意工夫を傾けるより他に脳味噌の使い方があるだろうと言ってしまいたくなるが、食に一点集中どころか包丁の秒角度に一点集中して脳味噌その他、人生賭けてくれる人達がいるから食文化は豊かになったし、他の文化も右に同じで、要するに、人類社会が豊かになった」
「モザイクのピクセル数に拘る奴等がいるから、エロ文化は豊かになった」
「下ネタ厳禁」
「女いないよ? それでも綺麗に纏めよう。分業万歳」
「俺も先廻りして言っておくが、細部だけを見るのが良いとは言ってない。全体視も勿論必須だが、それだって、細部を纏めてくれる他者の視点が無ければ不可能だ。ルネッサンスの万能の人だって他者の業績に負っていただろうし、現在に至っては――おい、下ネタ厳禁と何度言わせる」
「勝手に言ってる責任を俺に取れって?」
「先廻りして封じただけだ。何で一番目がレじゃなくてビの口の形になる」
「意訳? ビンチ村の――」
「嘘吐くな」
「真実を如何ぞ」
「……」
「良かったね?」
「何処がだよ」
「口の穢れって実感できただろ?」
「サンを頭に付けての筆頭スラングなら今お前に向けて言ってやっても良いが、下には行きたくねえんだよ。如何せ俺は楽観主義者だよ。下降史観じゃなく循環史観でもなく上昇史観者だ。世の中良くなってきたって見方をしていて良くなっていくって見ているんだよ。何が悪い。ぶつかるぶつかると思ってそっちばっかり見てりゃ、木にぶつかるんだよ」
「悪くはないけどね、スキーの怪我、その所為だったんだ?」
「誰がそんな初心者だ」
「でも、怪我したろ?」
「そういや、お前、あのナースとは如何なった」
「……俺が聞こえの良い嘘嫌いになって何が悪い」
「悪くはない、とは言い切れないな。そういう振られ方だったってことか?」
「やっぱり同じ職の人の方が解り合えるって何処が同じだ、言葉は正確に使え」
「同じじゃないのか、つまり、看護師じゃなくて医者? で、ナースと言うお前の方が非難される可きであって、同じ医療従事者だ」
「非難は受ける。けどさ、嘘じゃないだろ? 嘘ってのは、高級車とチャリを秤に掛けたことを職業違いに言い換えたことを言う。時代はエコとシェアとリサイクルだろ?」
「今に拘るなら高級車だって今はエコ仕様だろう? エコ仕様SUVなんてもの迄あるのが今の時代だ。しかし、何で拘っているんだ? 価値観が全然違う女と続きやしないだろう?」
「俺にだって見栄とかプライドとかあるんだよ」
「が、シェアか?」
「そ」
「でも、プレートで一発でレンタカーって解るだろう?」
「プライドは其処には於いてない。俺より稼いでるなんて悪徳医者に決まってる」
「決まっていない。が、お前、確かに稼ぎは良いよなぁ」
「だろ?」
「しかし貯金は無い」
「悪いか」
「良くもない」
「良いんだよ。俺はマネーフローで経済に貢献してる自負がある」
「箪笥貯金じゃなきゃ巡り巡って貯蓄は投資に廻る分、口座残高が高い奴の方がフローの貢献度だって高いだろうが。お前、動産にも不動産にも投資してないだろう? お前の金目のものっていったら、あの自転車か? それにしたって全然だ」
「や、あれ、元手は正に手に依って」
「部品にしたって、ああいうの、それなりにするんだろう?」
「其処は勝負に拘る連中に手揉みして」
「微妙にちょくちょくちょこちょこ変わっている気がしたのは」
「事故物件リサイクルは手間暇が」
「……メット着けて乗れ」
「実は俺も空中分解しないかひやひやしてる」
「せめて地上分解に留まるよう祈りは上げてやろう」
「だから甘いって。もうちょっと意趣返し、粘らないと」
「下に流されるのは俺のプライドが許さないんだよ。序で先廻りしとくが」
「序で?」
「突込むのを封じる為じゃないんだよ。共有地の悲劇、とは少し違うか、まぁ、でも、その方向で難癖付けるつもりだっただろう?」
「確かに難癖」
「真当な反論じゃないのか? 漁師が近視眼的に生業に入魂しているから世界の海から魚が干上がっていくという」
「ちゃんと先廻りしたじゃないのよ。ビンチ村のレオナルドさんが活躍できたのだって、世界が豊かになったお陰。自分で喰う鰻自分で釣り上げてたら大砲作ってる暇ねーよ、況んや今に於いては、だろ?」
「時代考証は正確に。鰻が御馳走だったのはローマ時代だ」
「大局を見よう」
「大所高所が見られるのも――」
「下、嫌いなんじゃ?」
「大小は良いんだ。それに意識の問題であて、職分じゃない。職業に貴賤無し、で、問題があるとすれば、他視点を完全に無視することだ。折角分業で社会が豊かになって、科学者や活動家を養えるようになって、この儘じゃ魚がいなくなるって観点を、大した苦も無く、魚を釣ることに専心している人達だって持てるようになった。なのに丸々無視するのが拙いと言いたいんだ。医師に話を戻せば、医療観点から癌宣告を選ばないことだけを採って責めるのはお角違いと言いたいんだよ。唯、その医師が、自分の専門以外の観点を知っていながら丸っと無視しているなら、話が違うという」
「謹聴しました」
「難癖は?」
「封じ込められました」
「本当か?」
「ほんと疑い深くなってんね。ちゃんと用心深くずらしただろ? 共有地の悲劇であっさり終わらせていたら突込めたのに」
「経済学に叱られ――ないな」
「大学者の御高説じゃなかった?」
「反論する、共有地の喜劇というのも確かある」
「つまり失敗」
「逆だろう?」
「喜劇ってさ、こけつまろびつの、他人失敗嘲うのが定番じゃない?」
「下にいくなと言った。それに御高説って代物にも異議申し立てができるのが学問の良いところだ」
「アカハラ無き素晴らしき世界」
「お前の世界観は悪意に満ち過ぎている」
「経済学者のそれの悪名高さと競える度量はありませんって。欲得尽くしで何が悪いよってのの弁護だってしてくれる人達だし?」
「マルクス崇拝者は手強いぞ」
「そうなんだ?」
「見えざる手だろう?」
「や、共有地の悲劇」
「悪いから悲劇なんだろうが」
「欲があるから防げるって説じゃなかった?」
「待て。意訳の域を越えている。誤解釈だ」
「ヒトって自分には甘いから、他人の欲でもって牽制し合おうという」
「違う」
「そ?」
「一言で片づけるな。何だってそんな可怪しな解釈、いや、元の説が違うのか?」
「みんなで共有しなきゃ荒れちゃうよ」
「真逆だ」
「へぇ」
「だから何だってそんな珍解釈をする」
「だからヒトって自分には甘いから」
「自己に厳しく他人に優しくという格言を知らんのか」
「格言ってより小言だろ? 諺ならまず反語もある」
「つまり」
「甘い奴ばかりだから説教されんじゃない?」
「性善説を植え付けてやりたいな」
「接ぎ木で育つものなら俺も賛成」
「性善説はそっちに近い。まぁ、でもそういうことだろう? 自分の牛だけは共有地の牧草を喰わせてやっちまおうって魂胆で全員が」
「牛なんだ?」
「羊かもしれん」
「羊毛に包まって――」
「暑い連想は却下する」
「俺、牛で連想するのって、インドなんだよな。道路でごろ寝って一度してみたい」
「一度どころじゃないんだが」
「覚えないよ?」
「何度も言う。意識皆無のお前を道端に捨てずに運んでやっている俺に礼を言え。一体誰の酒癖が悪いんだ」
「……誠に……有難うございます」
「宜しい。誤解の方は?」
「誤解だったって今知ったとこなんだからちょっと時間を」
「路上の爆睡もな」
「誠に申し訳ありません。や、カウンターで寝オチって――」
「だったら放っておけるんだよ」
「うん、そっちはきっちり覚えが、って、優しくなくない?」
「人間関係の基には互恵がある」
「成程、釣り合いは取れている、かな? 俺の持ち出しって気もするけど」
「何処がだよ」
「完璧寝てる俺と違って、いくらかは記憶あるんだろ? 明瞭な記憶の方でも良いけどね。嫌なこと聞いてあげよっか? 完璧酔った状態知ってて、二度目に付き合ってくれる奴、数えてみ?」
「数えられるが」
「成程、其処迄は記憶保持してんだ、凄いね」
「……其処?」
「うん」
「……確かに意識がぶっとんでいると言われても可怪しくない状態に何度か陥ったことはあるらしいが、確かに記憶も曖昧だが、だが、お前がいたって記憶も無いぞ」
「逃げ足には定評が」
「お前が金欠なのはその所為か」
「見たことないんだろ? 俺、お金好きよ? やるなら、最低選手で、一番は胴元じゃない?」
「話を戻そう。下で競う醜さは身に付けたくない」
「心は醜くても土地は綺麗」
「健全なる身体に健全なる心を宿らせろ。それが?」
「足の引張り合い?」
「戻ってねえよ」
「妬み嫉みって心の下位争いで複勝狙えるんじゃない? で、自分には甘くを加えて三連複買ってたの」
「喩えももう過去話だが」
「えぇっと、だからさ、自分だけの土地なら甘い見通し通しちゃうじゃない。牧地だったっけ? 俺ってば管理巧いから、羊に牧草根こそぎ喰わせてやっても、すぐ次のすくすく育てられるし大丈夫、とか、この羊売り払った金で返せるからって借金の形にするとか、自信満々計画にストップ掛ける奴いないだろ? でも、共有してんのなら、悲観論者やら口喧し屋がいると思うんだよね。特に、それが一人抜け駆けしようとする魂胆での作業なら、絶対って程放っておかれない。眼ぎらぎら光らせてさ、一人良い目見させてなるものかってみんなで見張ってるんじゃないか、って、そういう誤解を」
「別の説ならそういうのもある」
「やっぱり?」
「行動経済学だな。裏切り者には敏感だとか」
「嫌そうだ」
「人の元来の性がそうであるからといって言い訳にはしたくねえよ。遺伝子設計でいうなら、本能を押さえ込める理性だって遺伝子の賜だ」
「コンドームとか」
「下ネタ厳禁」
「解禁しない? 使わんかったの?」
「……見通しが甘いのだって利点はあるんだ」
「それで――」
「使った。ラーメン屋を見ろ」
「随分マニアックな――」
「下に行くな。アカデミー、上の世界を目指せ」
「結構その世界も泥々と――」
「元はそうだったんだ。理想を目指して何が悪い」
「専心したって悪くない。けど、地上世界の口出しまるっと無視すんのも奈何なものかってんじゃなかった?」
「今は細部を詰めるときだろう」
「失敗したって言わないのに。製造物責任法回避の為でもさ、完璧避妊は無理ですよって謳ってるじゃない」
「失敗じゃねぇんだよ」
「使ったのに?」
「できたっていい奴としか端からしないんだよっ」
「製造物責任回避はしない男前ってとこ?」
「表に出ろ」
「何で外に拘んの」
「狭ぇーんだよ、此処。気が済まん」
「ラーメン喰うのに広さ、必要?」
「俺は見ろと言った」
「見たって腹は膨れない。あ――」
「安心しろ、嫌味だったら既にそのうっかりも無ぇーよ」
「有難う?」
「喰い物屋じゃなくても良いんだよ。アカデミーと同じだ、水商売も語源に遡れという例として出したんだ」
「知らんって」
「水物。イコール直ぐに潰れる」
「等号は拙いんじゃ?」
「七八九割か? 正確な数値は俺も知らんが、やたらと潰れるのは、人類皆と言って良いぐらいには知っているだろう? なのに、ラーメン屋は日々出店する。何故か」
「元手の問題?」
「ラーメン屋ならな。起業家の共通因子なら、見通しの甘さだ。失敗例に日々接していながら自分は成功すると信じている」
「やっぱりヒトは仲間にも甘い」
「如何せ自信過剰だよ」
「自信家は良いぜ、って良い例挙げといて? 根拠無き自信家がいるからこそ社会は廻る。発展する」
「無いと迄言うか」
「間違えた。無ければ作る、それが人間」
「如何してそう悪意に満ちた見方をする」
「環境因子じゃない? 大体悪って決め付けるもんでもなくない? 欲あればこそ、って話じゃなかった? 環境保護なんてそうじゃない?」
「逆だと言っている」
「でした。誤解だったっけ? でも、俺、あれも共有地の悲劇で読み解いてたんだよ」
「裏切り者には容赦無く?」
「近い。けど、その前。地球はみんなの財産です」
「まぁ……」
「だろ? だからさ、宇宙船地球号のクルー全員の持ち物で、つまりは俺のもの。俺に断り無く勝手に魚を採るな、森林切り拓くな等々々。俺だって所有者でもあるんだから、口挟む権利はあるんだあって、こんな感じ?」
「同意を求めるな。俺は活動家を敵に廻す度胸は無い」
「俺はもっと無い。所有欲の保護者じゃないよ」
「環境保護も何がしからの欲から出た行為だというのは認めても良い。お前だと、慈善の心そのものだって欲と言いそうだからな。が、所有欲は認め難い」
「そりゃね、全部とは言い難い。でもさ、完璧他人のもんと思ってたら、ああも堂々と論陣張れるかなっても思うんだよね。正義は我に在り。お前に言わせりゃ言い訳は我に在り? 生き物だってさ、ペットショップで購入しただけじゃ百パーセントの所有権は得られない。我等と進化を共にしてきた世界遺産であって人類皆で保護す可き資産であってイコール俺のもの、で、俺の眼を盗んで勝手に虐待するな。ジブンのもんをキズモノにするとは何事じゃ、ワレ、とかとか」
「等号の使い方に間違いがある」
「じゃ、子供でいこう。子供はひとりひとりが全人類の未来への輝ける希望、至宝です。親と雖も一人勝手に甘やかしてはなりません」
「極めるなら其処も虐待禁止だろうが。お前は一番大事な所有者を忘れている。本人だろう。モノ言えぬ生き物や無生物に代わって主張をしている」
「エージェントってほんとでしゃばりで」
「そう思う奴は利用しなければ良い。そう思うこともできないモノも存在しているからエージェントがいるのであって、飽く迄も、所有権は本人に在る」
「自分の命は自分だけのもの」
「だろう」
「それじゃ淋しいよ?」
「演技の出し処も間違えているぞ」
「や、此処が涙の見せ処でしょう。人質捕った立て籠もり犯が、こいつら殺して俺も死ぬと自棄のやんぱちで」
「飛んだが」
「そ。殺気立つ場面一転ほろり涙のクローズアップ。親御さんが泣いてるぞ、とハンドマイクで語り掛ける刑事部長」
「それが」
「お好きな人情話よ? 植民地だって完全独立万万歳って意気込み好きだけど、中々宗主国と手が切れない。まぁ、切らせてくれないってのもあるだろうけどね。罪悪感からの援助とか、それも、俺のもんって感覚が抜けてないんじゃって俺は疑っちゃうって心の下下部分から昇って上崇めると、や、これも下? とにかく、ヒトとヒトの間なら、完璧切れてたら、それでもう飛び降りたくなっちゃわない? 母上様、鯛のお刺身おいしゅうございました。父上様云々かんぬんで、先立つ不幸をお許し下さいってさ、俺の命は俺だけのものって思ってたら書けないよ。妻子が泣いてるぞ、に、A子B子許してくれってのも右に同じ」
「A子?」
「お好きなお名前を。定番は妻子。恋人でも可」
「恋人は拙いだろうが。二股だ」
「だからあぶれる奴も出る。しまった、ひとりぼっちで眼が翳む。哀しくて自暴自棄起こして強盗に入りたくなってきた」
「もっと哀しくなる顛末が鮮明に眼に見える」
「説得者に志願してくれない?」
「何ならコスプレ店寄ってナース娘同伴で駆け付けてやっても良い。が、警察ならまず身内を呼ぶだろう? お前の場合……」
「爺ぃかよ。死に目に爺ぃの中継じゃ……清く正しく生きる気力が湧いてきた」
「そんなに嫌か?」
「あれを好きと言ったら俺の人格が疑われる」
お読みくださり有難うございます。
束の間且あなたの貴重なお時間の、暇潰しにでも成れたら幸いです。
承後 知ったかぶりのリドルストーリー 6