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case6.家族の食卓戦争

珍しいレシピが売られていると噂のブラン商会。

ブラン会長に相棒の妖精、そして養子の双子の四人家族。

そんな家族の食卓の出来事。



「「あ……」」


食卓に並べられた大皿料理でたった一切れの魚が残った。

別名”遠慮の塊”だ。



「一切れ余ったね…」

「そうね…」


ブラン会長が口を切り、妖精も同意する。



「た、食べて良いよ?」


ブラン会長は知っている。

妖精は魚の切り身が大好きだ。



「あたしはお腹いっぱいよ?」


妖精も知っている。

この川魚はブラン会長も好きなことを。


何故二人が譲り合っているのか?

それは子供たちの前で好物を”りあえず”、

相手が譲ってくれるのを待っているのだ。


大切なのはタイミング。

あと一押し、どちらかが譲ったところで固辞するのではなく、相手に感謝しつつ切り身を貰う。

過ぎた遠慮は失礼になるからだ。


「…………」

「…………」


同じことを考える二人に沈黙が走る。


――次に口を開いたら負ける。


それを理解しているブラン会長は笑顔で先を促す。

妖精も決して乗ることはなく、同じく笑顔で流す。


無言の中、幾千もの思考の刃を交わす。

相手から目を逸らさず、圧をかけ続ける。

一分が一時間にも感じられた。

そんな張り詰めた空気を破ったのは子供たちの一言だった。



「「食べていーい?」」


子供たちが無垢な笑顔でブラン会長に訪ねる。

こうなると会長が取れる選択肢は一つだけだ。



「もちろんだよ~」


妖精も明らかな作り笑顔で「どうぞ」と譲る。

互いに牽制しあった結果、好物を食べられなかった会長と妖精。

そして子供たちの次の行動に二人は衝撃を受けた。



「「半分こにしよ~」」


子供たちが切り身を二つに分けて仲良く頬張った。

会長たちは失念していた。

分け合えばここまで腹の探り合いをしなくて済んだことを。



「とりあえず…僕たちの心は汚れていたんだね…」

「えぇ、同意するわ…」


大人になるとは…汚れてしまうことなのかもしれない。

純粋無垢な子供たちを見て保護者たちはそう痛感した。

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