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case4.仁義なき方言

とある名家の和室。

狐耳の男女が親しげに談笑をする。

二人は遠いながら血縁関係にあり歳も近く仲も良い。


「おや、さかむけですね」


狐耳の男が女に向かって指の皮が剝けていることを指摘する。


「さかむけ? ささくれではございませんか?」


「いやいや、さかむけであってるですよ?」


和やかな空気がピリッと張り詰める。

狐耳の男は殆どのことは笑って話を流す。

しかし、女に対してだけは何故か譲らない。



「言葉を間違えるのはよろしくございませんよ?」


女も譲らない。

彼女も普段はここまで辛辣な物言いはしない。

二人の空気はどんどんと悪くなる。



「こんにちは~」


間の悪いことに二人と懇意にしているブラン商会の会長が部屋にやって来た。

会長は狐耳の男に商会の後見人になってもらっている。

会長は狐耳の女に商売の口利きをしてもらっている。


「これ、ささくれでございますよね?」

「これ、さかむけですよね?」


二人がほぼ同時に会長へ問いかける。

会長は察した、答えを間違えれば面倒なことになる。

そして脳をフル回転させ答えを導き出した。


「さ、さかつめです…」


二人の顔が険しくなる。

会長は選択を誤った。

迫る男女の顔から目を背け神に祈った。



――助けて…



二人の顔が鼻先数センチにところで祈りは届いた。



「いい加減になさい!」


会長を救った声の主は狐耳の男女の姉。

狐耳の女の実姉であり、狐耳の男も畏怖する存在。



「お客様に対して失礼ではございませんか?」


「しかし姉様、言葉とは…」


「そんなことはどうでもよろしい」


ぴしゃりと斬り捨て、二人の不毛な争いは幕を閉じた。

その後は和やかな空気に戻ったが、小心者の会長の心臓は未だ早鐘を打っていた。

しかし、どうしても興味を抑えられず会長は狐耳の男女に問いかける。


「どうして言葉一つで言い争ってたんですか?」


「なんとなく?」

「地域の言葉の贔屓でございますね」


ケラケラと笑う二人を見て、

一時でも怖い思いをした会長の心は独りささくれていった。

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