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二つの欠片1

年末ですごくバタバタしてるので更新が休み休みになります。

少しの間ユキノに何があったのかについての話になるので時間がある時に覗いてくれればと思います。

次回更新は明日から木曜くらいの間で投稿できればと思っています。

 帝国の裏側の闇…そこに溶け込むようにしてそびえたつ屋敷にて黒く質素な服に身を包んだ三人組がいた。

秘密結社アラクネスートの三人の幹部であるクイーン、カララ、アトラだ。

三人の様子はいつもとは違い、アトラに至っては床に正座しているというありさまで、クイーンとカララはそれぞれ違う表情をしながらもそんなアトラを見下ろしていた。


「さて…説明してもらいましょうかアトラ。何がどうなってあんなことになったのか」

「はいぃ…」


普段はほわほわしながらも我の強さは組織一と言ってもいいアトラだが、今は恐ろしいほどにしおらしく項垂れており、そんなアトラを見てカララはニマニマとした笑みを浮かべながらアトラの姿を上から下へとなめまわすように見ていた。


「ぷぷぷぷ~アトラやっちゃったね~、いつも偉そうにしてるくせに床に正座なんてさせられちゃって…今どんな気持ち?ねぇアトラ~」

「うぅ~」

「やめなさいカララ」


「え~?でもでもこんな状態になってるアトラなんて面白すぎていじらないなんてもったいないでしょ!ぷぷぷ~アトラ~どんな気持ちだって聞いてるんですけどぉ?私たちに迷惑かけた謝罪もまだ聞いてないなぁ~?」

「うぅ~まことに申し訳なくぅ~」


アトラは正座をしたまま腰を折り、土下座をする…寸前で立ち上がり、目にも止まらぬ速度でカララの腹部にブローを叩き込んだ後で土下座をした。

この間0.9秒の出来事だった。


「うぐぇ…おぇぇぇ…あ、あんたよくもぉ…」

「はぁ…遊ぶのはそこまでにしていいから説明して頂戴アトラ。昨日何があったのかを」

「はいぃ~」


そしてアトラは語りだす。

ユキノとアトラがカフェで食事をしてから繋がる一連の事件を。


──────


「頼み事って何…?何をさせようっていうの」


ユキノが警戒をあらわにし、少しだけ椅子を引く。

そんな様子に苦笑しつつもアトラは続きを話した。


「別に悪い話をしようというわけではないですよぉ~。お互いに利のある話と言いますかぁ」

「…信用できると思います?」


「友達じゃないですかぁ~」

「いやつい先日殺しに来てたよね」


「それはそちらも同じじゃないですかぁ。楽しかったですねぇ~うふふふふ~」

「あなたが楽しくても私は楽しくなんてない」


「えぇ~?楽しんでるように見えましたけどぉ?」

「…」


ユキノはアトラの言葉に何も言い返せなかった。

確かにあの瞬間、あの戦いの最中…彼女は楽しかったのだから。

命に爪を立てるその行為が何よりもユキノの中の幸福を刺激していたのだから。


「まぁそんな難しい顔をしないでください~今日は本当にそんなつもりではないのですぅ。何かを企んでいるとか戦いたいとかではなく本当に困ってることがあって相談を持ち掛けているだけなんですぅ~」

「何をさせたいのですか」


「あはっ引き受けてくれるのですかぁ?」

「話次第です」


この時、ユキノは時間を稼ぐつもりだった。

目の前にいるのは世界の裏側にいる秘密結社の構成員…この状況に誰かが気がついてくれるか、もしくは隙を見てそう遠くない図書塔まで走るつもりでいた。


(アマリリスさんにアトラさんの事を突き出せば…)

「一応言っておきますけどぉ、私をどこかに突き出そうとしてもあんまり意味はないですよぉ~」


「…どういう事かな」

「ん~詳しい事はさすがに仕事柄言えないのですけどぉ~天下の帝国でも「我々」の尻尾すらつかめていない状況というのを考えてみて欲しいという事ですぅ。ユキノさんが思うよりもはるかにこの国は強大で~そして我々はそんなのを相手取っているわけですぅ。だから軍人さんや騎士様に告げ口してもあんまり意味はないですよと~。それに何度も言いますが本当に他意はないですし、ユキノさんにも利がある話をするんですぅ。無理だと思うのなら断ってくれてもいいですしそれが理由で逆恨みするつもりもありません~信じてくださぁい」


「…わかった。とりあえず話して。でも変な話になったら無駄だとあなたが言っても私は誰かにこの話をするから」

「はぁい、構いませんよぉ~。とりあえず概要だけお話すると…ぶっちゃけ「欠片」の話です」


────────


ユキノがアトラに連れられてきたのは小さな集落のような場所だった。

そこら辺の木を切り倒し加工しましたと言わんばかりの柵で囲まれた広場にテントが並び立っているだけの質素な場所。

そこにユキノは少しだけ以前住んでいた村に似たものを感じ少しだけ懐かしく思った。


「ユキノさんこちらですぅ」


アトラは集落の中を迷いなく歩き、テントの中から顔をのぞかせている人々はアトラたちを気にも留めない。

そんな様子に異質な何かを感じ取りつつもユキノは黙ってただただアトラの後ろを歩いた。

やがて彼女の目には白く四角い建造物が飛び込んできた。

木々に囲まれ、テントが張り巡らされているその場所にあるにはあまりにミスマッチとしか言えないその建物であったがアトラはやはり気にせず進み、白い建物の巨大な扉を重くる牛居音をさせながら開いた。


「なにここ…」

「簡単に言えば隔離施設ですねぇ」


「隔離施設?」

「はいぃ~我々の活動は多岐にわたるのですけどぉその一つに欠片持ちと呼ばれる存在の確保がありまして~先日ランさんをお連れしていたのもその一環ですねぇ。まぁそれで皆がランさんの様に聞き分けが良ければ助かるのですけどぉ…ほら欠片持ちの方って性格的におかしな人が多いでしょお?」


きっと欠片持ちの人もアトラにだけは言われたくないだろうとユキノは思ったが口にはしなかった。

ユキノはアトラの説明を聞きながら真っ白な建物の中を進んでいく。


「それで確保したのはいいもののちょぉ~っと手に余るような人を隔離しておく施設が何か所かあるのですけどぉ~ここがその一つで、私の管轄している場所でもあるのですぅ~…そして相談したいというのが…」


ピタリとアトラが足を止め、壁を指差した。

最初壁のように見えたそれだが、実際は何層にも重ねられた分厚いガラス壁であり…アトラの指さす先、そこに一人の少女が死人のような顔色で眠らされていた。

即わからされる女カララ。


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― 新着の感想 ―
[一言] わからされることに定評のある女(登場回数2) >文学少女が血濡れで刃物を振り回しながらうふうふ笑っている なんだろう、なんか「強キャラだけど主人公の覚醒イベントでかませ犬になって退場する」…
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