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それぞれの夜

今年最後の更新!若干番外編みたいな話です!

次回は未定で一週間以内には投稿したいなという感じです!

 この世界で最も大きな力…権力を持つ者が住まうことのできる城…帝国の皇帝が住まうその場所ですべてを見下ろすことのできるはずの皇帝は肌寒さを感じながら窓辺で一人夜空を見上げていた。

さすがの帝国と言えど夜はやはり昼よりも静かで…人を心地よい眠りに誘う夜の闇がただ流れる。

それが当然の営みというものであり、当然の誰にでも訪れる日常だ。

しかしそれは…もう次の瞬間には消えてなくなるかもしれない…そんな脆い日常だった。


「…」


この先どうなるのか、どう行動すべきなのか…この世界をもうすぐ襲う「災厄」の話を聞いたその瞬間から皇帝がそのことについての思考を放棄したことはなく、ただ一時も休まることのない状態が続いていた。

当然それに音を上げるような皇帝ではない。

なぜならば彼女には長年背負ってきたものがあるから。

人の世界を支配するものとしての責任という名のそれが。


「…やるしかねぇか。あぁそうだ、やるしかないんだ」


誰に聞かせるつもりでもない独り言が夜の闇に溶けて消えていく。

皇帝は先日リリからもたらされた「選択」に答えを出していた。

あとはそれを実行するだけ…だがそれが本当に正しい答えなのかと何度も何度も自問自答を繰り返す。


そんな時だった。

夜の闇に潜むように、皇帝の背後から何かが迫ってきていた。

黒く、そして長い…無数の異形。

巨大な蛇のようにも見えるそれが音をたてずに皇帝に近づき…そして皇帝の身体を絡めとった。


「…何のつもりだ」


異常な状況に置かれたというのに皇帝は動揺を見せておらず、また無数の異形も皇帝に絡みつくだけでそれ以上の何かはしていない。

そして皇帝の半ば呆れているようなその問いかけに闇の中、無数の異形が放たれている場所から何者かが答えた。


「あっは。フォス様がなにやらお疲れのようでしたので、癒して差し上げようかと」


カラカラと車輪が回る音をたてながら、協会に使えるシスター服のようなものを身にまとった車椅子の女性が姿を見せた。


「いらん。とっとと戻せ」

「はぁい」


車椅子の女が手を叩くと無数の異形たちは女の背後に吸い込まれるようにして消えていき…数秒後には存在していたことすら感じさせずにきれいさっぱりといなくなった。


「それで何の用だ」

「先ほども言いましたよ?フォス様を癒して差し上げようと思いまして」


「いらねぇ。用がないなら部屋に戻れ」

「妻が用もなく旦那様のもとに来てはいけませんか?」


女はカラカラと器用に車椅子を動かして皇帝のもとまでたどり着き…服を押し上げるそのあまりに豊満な胸に皇帝を抱き寄せた。


「…この間まで用があってもいなくなってたやつの言葉とは思えねぇな」

「あら!もしかしてフォス様…ふてくされてます?私がいなくて寂しかったですか?だとすれば…あぁ!なんてかわいらしい事でしょう…!あっはぁ~…ダメです、ダメですよフォス様。大変な時ですからと我慢しているのに…はぁ…んん…私…昂ってきてしまいます…あっは!」


ムニムニと皇帝の頭で自らの胸を刺激し、艶やかに呼吸を乱していく女。

服装も相まって平然としていれば清楚でおしとやかさが服を着ているような見た目と雰囲気の女だが、今は性別問わず見るものを魅了し精を奪い取る…魔性と淫靡さを携えた悪魔のように見えた。

そうその女こそ、皇帝が唯一娶った存在にしてこの世界にもはや数体しか残っていない種族…悪魔。

そしてその悪魔を統べる淫蕩なる神だった。


「おいやめろ馬鹿野郎!離せこの駄肉女が!一人で勝手に妄想して逝っちまってるんじゃねぇよ!」

「あっは!いぃ!いいですフォス様ぁ…もっと罵ってくださいませ!この躾けのなってないふしだらな私をどうぞ躾けてくださいませ~…!!」


瞳をぎらつかせた女は車椅子に乗っていながらも皇帝でさえ振りほどけないほどの力をもってその身体を抑え込み、異常な手際の良さで皇帝の服を剥ぎ取った。

その日は「たまたま」下着をつけていなかったこともあり、皇帝はその素肌を完全にさらすことになり…そして…。


「あっは!」

「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


先ほどまで感じていた肌寒さはどこへと言わんばかりの熱に包まれ、城にはしばらく皇帝の絶叫が響き渡っていた。


──────────


「てめぇ…覚悟はできてるんだろうな」

「あっは!まだするつもりですか?いいですよフォス様…また以前みたいに何日お部屋に籠ってできるか試してみますかぁ~?あの子が生まれる前は5日行けましたけど…んん、今なら一週間でも大丈夫そうです…!!」


「死ね!!ボケカスが!」


語彙も何もない、純粋な罵倒を受けてもなお女は頬を赤らめながら大きなベッドの上で身をよじる。

その様子にもはや付き合うだけ無駄だと皇帝はシーツから抜け出して衣服を身にまとった。


「フォス様最近服を着るようになりましたね~イメチェンですか?」

「ちげぇわ。あのな我は自分の身体に何も恥ずべきものがねぇから脱いでんだ。でも今は先の戦いの傷が残ってる。だからむやみやたらと脱いでねぇだけだ」


「傷があるくらいなんですか~フォス様私がこんなのでも気にしないくせに~」


女がシーツの隙間から足をのぞかせる。

しかしその足は通常のそれとは明らかに違った。

脛の中ほど…そこから先が存在していなかったのだ。


「うるせぇ。それとこれとは話がちげぇんだよ。我のは我自身の油断でできた傷だ。そんなもんを皇帝たる我が堂々と晒しながら外を歩けるか」

「傷一つなくても普通は裸を晒しながら歩きはしないのですよ?」


「うるせぇ。そもそもお前もいつまでその足でいるつもりだ。自分で治せるのだからもう治せ。我はそれでいいと何度も言ってるだろうが」

「嫌です。だってそれだと私はどこにでも行けてしまいますでしょう?私はいつだってこの場所…フォス様の手の届く場所から外には出られない女でいたいのです。鳥籠の中の小鳥が…不幸だなんて誰が決めたのでしょう」


「ちっ…家出なんかしてなけりゃ少しは説得力があったかもな」

「あっは!それは言いっこなしですよぅ」


舌打ちをしながら皇帝はテーブルの上に置いてあった水を器ごと持ち上げて一気に飲み干し、それで少し落ち着いたのか一度だけ深呼吸をしてベッドの上で我が物顔で寝そべっている女に向かって静かに水を差しだす。


「あらありがとうございますフォス様」

「…それ飲んだら帰れよ。もう時間も遅い」


「帰れ?私の居場所はあなた様がいるここですよ?どこに帰れというんです?」

「お前あいつのところにいたんじゃねぇのか。急に出てきたらその…」


皇帝はあいつとぼかして口にしたが女にはそれが誰のことを指しているのか考えるまでもなくわかっていた。


「心配しなくてもアリスはもう私がわざわざ構ってあげなくても一人で何でもできますよ。私やあなた様からすれば赤ん坊のような年齢ですけれど…それでも子供というものは親の想像以上に成長をしているものです」

「…そうかよ」


「やっぱりフォス様って意外と子煩悩ですね?そういうところも素敵です」

「あ?誰が何だって?寝言は寝て言え」


「あっは!だってそうじゃないですか~なんやかんやフォス様はあの子が生まれてからずっとあの子のことで悩んでますし~何かにつけて私をあの子のところに行かせようとしたり、お城を丸々与えたり自分で接し方が分からないなりに頑張ってると思いますよ。親としての是非はともかくとしてですけど」

「…」


「でもあの子少し落ち込んでましたよ」

「なに?なにかあったのか…?」


思わずアリスへの心配を口にしてしまい、慌てて口を閉じた皇帝だったが女はそれをくすくすといたずらな笑みで笑った。


「あれですよ、フォス様があの子がこっそりとやってた「活動」に気が付いていると知ってしまったからですよ」

「あぁ…」


あれは失敗したと皇帝は顔を抑えて俯く。

アリスがやっていた活動…それは帝国の裏に根を伸ばしていた犯罪組織アラクネスートのことに他ならなかった。

皇帝はアリスがその活動を始めてからかなり早い段階でその動向を把握していた。

把握していて…何も口を出さなかった。

皇帝自身、はるか昔に奴隷の身分ながら当時の王の首を取り、地位を勝ち取った過去を持つがゆえにそんなものだろうと思っていたのが半分…もう半分は親らしいことをしていないという負い目から口出しをする権利はないというあきらめにも似た感情があったから。

ただアリスが行っていたそれは皇帝が思っていたような…帝国そのものに反旗を翻すようなものではなかった。

むしろその逆で究極的には帝国の理になるとも言える動きを見せていて、驚かされた。


「あの子なりのあなた様への示威行為の一つだったのでしょうね。まぁあなた様には筒抜けだったので何ともですが」

「…それでも十代そこらのガキにしてはよくやれてた、できすぎてるくらいだ。我が多少は裏から手を回したこともあったし、暇してたネフィリミーネに手を貸すように言ったのもあるが…それでもあいつは十分すぎるほどやれてた。現に我ら以外の外部に組織のボスであるあいつの存在は漏れていない」


「そうやって普段から褒めてあげればいいですのに。でも先日の話し合いであの子の友達もみんな呼びつけるものですから…とうとうあなた様にばれていることがばれてしまったというわけです。いろいろ頭がいっぱいになってその辺の事が頭から抜けてましたね?フォス様」

「あぁ…なんだその…結構落ち込んでたか?」


「そうですね~そこそこ沈んでたかもですね。でも大丈夫ですよ。何度も言いますがあの子はあなた様が思うよりも強く育っていますから…きっとまた立ち上がって元気にあなた様に挑戦してくれますよ」

「挑戦してほしいわけじゃないんだが…」


ただ…そう、ただ何事もなく暮らしていけるのならそれでいいと、皇帝は言葉を飲み込んだ。

やはりどうしても皇帝はアリスの出生の経緯から、まだどこか一歩踏み込めないでいる自分を自覚していた。


「でもフォス様。あなた様は認めないかもしれませんがリリさんからもたらされた「選択」に対してあなた様が出した答え…それはやっぱりあの子のことがあるから選んだのでしょう?あの人形の男性がリトルレッドから聞いたという未来…そこにアリスという名前の少女はいなかったというのを聞いて」

「…」


あの話し合いの後で皇帝は人形の男からとある話を聞かされていた。

話すかどうか悩んだのだけど…と前置きをされて聞かされたのは人形の男がリトルレッドと雑談を交わしていた折にふと話題に出た小さな疑問。

リトルレッドは過去に戻ってくるまで皇帝にアリスという一人娘がいることを知らなかったということだった。

当然リトルレッドのいた運命でたまたま知らなかった…というだけの話で終わる可能性もある。

だが魔王として勇者スノーホワイトに戦いを挑むことにしたリトルレッドはその未来で知りえる情報を片っ端から頭に詰め込み、ありとあらゆる準備を行ってきた。

皇帝を殺すと心に誓ったときも同様にだ。

なのにアリスという名前を知らないままで過去に戻った。

そしてその過去で皇帝にアリスという娘がいることを初めて知ったのだ。


リトルレッドが辿った運命は、結局変えようとしても同じ結末をたどった。

ただ偶然知らなかっただけならいい。

だがもし…リトルレッドがアリスの存在を知らなかった理由が、その時にはすでに死亡していたという理由なら?ならばアリスはこの後起こる「狼」によって命を落とした可能性が高い。

そう人形の男は考えていた。


「…お前…絶対にあいつには言うなよ」

「ええ、さすがにわきまえています。フォス様…もしことが起こるのなら私も──」


「うるせぇ、お前はあいつの傍にいろ。お前の仕事は我がいない間の家の管理…それとあいつの面倒だ」

「フォス様、今はそういうのだめなんですよ。亭主関白気取るのもほどほどにいたしませんと…女子供は前に出るななんて今時人のおじさまでさえ言いませんよ?」


「それこそ違うわ。そういうんじゃねぇ…曲がりなりにも皇帝なんて肩書しょってる我が…あー…言わなくてもわかるだろ?」

「わかりません」


皇帝は目をそらしたが女は皇帝から一瞬たりとも目をそらさず、穴が開くのではないかというほど見つめ続け…観念したのか皇帝は叫ぶように言い放つ。


「だから!…この我が…自分の女と…娘をてめぇより前に出すなんて真似ができるかって言ってんだ!女子供がどうこうじゃねぇ!皇帝の…いや、それがお前たちに対して責任がある我の…やらなくちゃいけないことってやつだ」

「あらまぁ…」


女が両手で口元を覆ってキョトンとした顔を見せ、皇帝としてはからかわれると思っていたのでその妙なリアクションに怪訝なものを感じた。


「なんだ…その反応は…」

「いえ、お腹の下のほうがキュンときました」


「結局それじゃねぇか!もう寝ろよお前!」

「まぁまぁそう怒らないでくださいな…でも改めてこの私…フォス様に惚れ直した思いです。さすが世界で一番かっこいい私の英雄様です…と、そこで相談なのですがそろそろ子供作りません?」


「作らねぇ」

「でもフォス様…アリスが生まれてから「次の身体」も作ってないではないですか。あなたの不死は正確には不死ではありません…次の身体を作っておかないと死んでしまえばそこでおしまいです」


何度も何度も転生を繰り返し、長き時を生きてきた皇帝。

しかしその転生の力は自らの血を継いでいる自我が芽生えていない赤子の身体にのみ可能という条件付きの力だ。

これまで「次の身体」に命が宿るということはなかったので皇帝としてもその行為に対して何か思うことはなかった。

しかしアリスという例外が生まれてしまったことで、その身体を作るということに対して二の足を踏むようになっていた。


「それでまたアリスみたいになったらどうする。いや…そもそも今までも我が気づかなかっただけでそうだったのかもしれない。あの時もあと一瞬気が付くのが遅れていればアリスを我は殺していた可能性もあった。今までもそうしてきたかもしれない。その可能性が生まれた時点でそうそう気軽にガキなんて作れるかよ。アリス一人にでさえここまで我の手には余っているのにだ。無為に不幸になる可能性のあるガキを…作れるかよ」


顔に暗い影を落とし、皇帝は俯く。

何度も何度も指摘されたし、自分でもわかっていたがどうすることもできなかったアリスに対する親として酷い態度。

自分の子供という存在に対する責任の重さ。

諦めているわけでも投げ出しているつもりもない…ただそれでも致命的なほど自分には親というものができないと思ったから。

もう二度とアリスのように自分のせいで辛い思いをする子供を作るわけにはいかない…それが皇帝の意志だった。


「…いやそこまで悩まなくても」

「悩めよ!なんでそんな軽いんだお前は…命というものに対してお前のほうが我よりも理解があったと思っていたがな」


なぜかこの件に関して悩むそぶりもなく、何でもないことのように言ってくる女に苛立ちを覚えた皇帝だったが、女は首を横に傾けて不思議そうな顔をするばかりだ。

なんだ…?何かがかみ合っていない。

そう思い始めたところで女が口を開く。


「でもリリさんもさすがに反省したと言ってましたし…大丈夫ではないですか」

「…なんでそこでリリの名前が出てくる?」


「え?」

「あ?」


なぜかこの場において全く関係ないであろう存在の名が飛び出してきて皇帝は困惑したが、女も全く同じような反応を返してきた。

皇帝の中で嫌な予感というものが明確に鎌首をもたげだして…。


「もしかしてフォス様…リリさんから聞いていないのですか…?」

「な、なにをだ…?」


「いえ、ですから…アリスはリリさんがどこからかか連れてきた魂で、それがフォス様の次の身体に入り込んでそれがアリスに…」

「あんのクソ野郎がぁあああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


ブチブチブチと脳の血管が一気にはじけ飛んだのが手に取るように分かった。

今までのすべてが、長い人生の中で最も深く思い悩んでいたと言っても過言でもない事柄が、結局リリのせいだと脳が理解したその瞬間に感情が絶叫となり口から飛び出した。


「フォス様…さすがに深夜ですから…」

「お、お前!いつから知ってた!?」


「え?いえ…私も知らされたのは最近ですけれど…あのリコリスちゃんが出入りするようになってからですかね?あ、人の時間ではそこまで最近でもないのでしょうか?」

「なんで言わなかった!?」


「知っているものとばかり思っていましたし…なによりそのあたりで私も家出をしましたので…」

「ぬぐぐっぐぐぐぐぐぐ…!あの野郎なんでそんな真似を!マジで許せねぇ!なんなんだアイツは!」


怒りに沸騰する中で、それでも冷静な自分もおり、皇帝はそれがやや八つ当たりでもあると思っていた。

結局アリスに接していたのは自分で…原因を作ったのはリリだとしてもその後に行動したのは自分なのだから。

酷い態度をとっていたのも…後悔も自責も何もかもアリスが生まれてからのすべてなのだから。


「だがしかし、それでアイツに対するこの怒りがなくなるか馬鹿野郎!ぜってぇ落とし前つけさせてやる…そうだおい!あのナイフをどこにやった!?」

「ナイフですか?」


「ああ!あの人形の男が持っていたナイフだ!ゴッドなんちゃらとか馬鹿みてぇな名前の!リリと戦っていた時にリトルレッドは使っていなかったが、あれならあのバカに一矢報いるくらいはできるんじゃねぇか!?」

「どうですかね~そんなものがリリさんに効くイメージはありませんが…それにあのナイフならここにはありませんよ?」


「あ!?なんでだよ!あの男から預かって…そうだたしか保管庫とかにぶち込んでただろ?!」

「ありましたけど、今はないですよ。先日かわいいひ孫が持っていきました」


「は…?ひ…まご…?エンカのことか…?なんで…?」


怒りに燃えていた皇帝の頭が一気に冷却され、普段ではありえないような素っ頓狂な声で女に聞き返した。


「いえフォス様が留守にしているときに「闇の気配を感じる…」とやってきましたのでひ孫ちゃんが遊びに来てくれたのだと思いまして…ほら血縁といえるのかは微妙なところですがそれでもやっぱりかわいいじゃないですか。なので一緒にお宝探しをしていたのですよ。そうしたらあのナイフを手に取って「これだ…魔の気配を帯びし刃…!これこそ我が手中に収まるにふさわしい!」となんかご機嫌だったので」


「そのまま渡したのか…?そんな適当な理由で…?闇の気配だか魔の気配だかわからん適当な感じで…?」

「だってあの子あんまり遊びに来てくれないから甘やかしたくなるじゃないですか~それにあの子も産まれにいろいろありましたし、ちゃんと望まれてるんだよって示してあげたいじゃないですか。おばあちゃんが孫に甘いだなんてそれこそ遥か古代から決まっていることなんです。なのでこれは不可抗力です」


「…」


皇帝はふらふらと歩きだし…ベッドの上に顔から崩れ落ちて動かなくなる。

叩きつけられ浴びせつけられ、叩きこまれて詰め込まれた情報が脳で処理できなくなり、ついにフリーズを起こしてしまったのだ。


「フォス様~そう落ち込まないでくださいよ~ベッドに入るのなら今日は冷えますしあったくなることしましょ~?フォス様~」


つんつんと女が何度も皇帝をつつくも微動だにせず…しかしそれはそれでいいと女は一切動かず反応もしない皇帝を相手に好き放題して一夜が明け…意識を取り戻した瞬間に皇帝は盛大に嘔吐するのだった。

アリ虐があるのなら、当然コウ虐もあります。

年の瀬ですが平常運転でした。

年明けも平常運転でいきたいです。

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[一言] 明けましておめでとうございますー コウちゃんさん…なまじ物理方面が強いばっかりにこんな目にまで遭わされて… 血管ブチブチで胃痛のみならず頭痛も入りますねこれは 嗚呼お労しや…
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