野菜居酒屋GIGI おきゃわり、まらぁのめりゅもんっ!
野菜居酒屋GIGI 3作目!
「いらっしゃいませ! ダーリン!」
「店入るなり好感度マックスかよ、うざっ!」
「はいっ! あなたのウザですっ! 婚姻届は書いてきましたか?」
「書くかー!」
「ちっ。ほれ、メニュー」
「舌打ち! メニュー投げて寄越すな!」
「細かい男は嫌われますよー?」
「オレ? オレが悪いの!?」
「こちら今日のオススメです」
「無視かよ。なになに、【薄切り『メランツァーネ・ビステッカ・スペリオーレ』と『アマルフィの誘惑』ソースとたっぷり水牛モッツァレラチーズをつかったパルミジャーナ『スーパー京香』を散らせて】。料理名で覚醒ヒロイン死んでるよ!?」
「いえ、散ったのは純潔のほう」
「もっとダメじゃないっ!? あと、料理名長過ぎ!」
「最近、店長が「小説家になろう」のハイファンタジーに、はまってまして」
「それ関係あるの?」
「俺も長いタイトル付けてやるぜ!と言い出しまして、こんなことに」
「えぇ、謎の対抗意識ぃ……。そして全部が料理名に書かれているのにどんな料理かすら分からない……説明下さい」
「!」
「なにその、猿が人語をしゃべった!って表情」
「しょうがないですねー! あなたのウザが手取り足取り教えてあげますよ!」
「近い、くっつくな……」
「薄切りしたナスを揚げたものと、トマトソースとモッツァレラチーズを層にして焼いたイタリアの家庭料理ですね! 青ネギを散らしてるのは店長が好きだから!」
「急に早口。いらない店長情報。あー、簡単につまめる料理はある?」
「ピンチョスありますよ、これ!」
「ふむ……『キャロちゃん』のピン」
「はいっ!」
「……? 『キャロちゃん』」
「ハイッ! 2度も愛称で呼んでくれるなんて! 愛ですね? 愛!」
「……ドユコト?」
「私、キャロちゃんことキャロライン! 本名、宇座見キャロラインです!」
「キャロラインて! 下の名前もうざいとかっ!」
「そんな力強く呼ばれたら……」
「急にお腹押さえて……どうした?」
「……妊娠しました!」
「するかっ!」
「双子です!」
「なんでやっ! もういい! オーダー!」
「はいはーい!」
「【薄切り『メランツァーネ・ビステッカ・スペリオーレ』と『アマルフィの誘惑』ソースとたっぷり水牛モッツァレラチーズをつかったパルミジャーナ『スーパー京香』を散らせて】と『キャロちゃん』のピンチョス、あと赤ワイン」
「てんちょー! オーダー! ナスのヤツとピンチョ、イタッ!」
「雑に略したあげく噛むなーー!!」
「あー、大声だしたらお腹減った。お、来た来……えっ!?」
「おまたせ、ダーリンっ」
「な、な、なんでお腹膨らんでっ!?」
「? 臨月ですから?」
「は? え? はぁぁぁっ??」
「やだななぁ、冗談ですよー。キャロちゃんジョーク、てへっ」
「…………ほんと腹立つ」
「よいしょっと。『愛娘さくら』です、パパ」
「うわぁ、エプロンの中からスイカ出てきた。あと誰がパパかっ!」
「それと……『愛娘ひなた』です」
「2個目でた! どうなってるの!」
「……良い女には秘密が多いものよ?」
「んがぁぁぁ! 店員がウザイ! 酒も飯もうまいのに、店員が超ウザイよぉぉぉ!」
『◯◯』は実際にある野菜の品種名です。
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ピンチョスは小さく切ったパンに少量の食品を乗せた軽食です。
よくミニトマト、チーズ、オリーブなどが楊枝や串で刺して提供されます。
今回の『キャロちゃん』はミニトマトです。