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廻って、バランス  作者: 沙羅ラライ
第一章
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第8話 その正体


感じた殺意の先にいたのは、金髪の少年。

髪が長く、後ろで縛っている。手にレイピア、服装は華やかな礼装という感じだ。


「アリス王国の騎士、それも剣聖と呼ばれる実力者。

ルイス・リードブレル……!」


オルタはそう言った瞬間、椅子が音を立てて倒れた。

ルイスは、誇らしげな表情でこちらを見ている。


剣聖、そう呼ばれていても2対1。

俺の事を知らなくとも、オルタの事は知っているだろう。

相手にとって絶望的な状況であることに変わりない。

誇らしげ表情は変わる事なく続けている。

一体、何処にそんな余裕があるのか。


レベラがそんな事を考えていると、ルイスがレベラに対し、一瞬で距離を詰め、突きを繰り出す。


レベラが後ろへ退がると、オルタが腰から抜いた剣でレイピアの突きを、弾く。


オルタが弾いた瞬間にできた隙に、剣を振り下ろす。

ルイスに当たる寸前、ルイスの身体が歪んだように見えた。剣はルイスの身体を通り抜けた。

否、剣を避けるように身体が歪み続けたのだ。


その後、オルタが加えて、攻撃をする。

全ての攻撃が歪んで、当たらない。


「何となく理解した。お前、能力(スキル)持ちだな?」


能力(スキル)ーー

魔法の類いとは、全く別物の魔法に近い現象を起こすもの。魔法より高い性能を、持つ事が多い。

 

「そう、僕は神に祝福された身。たが、これ以上話す必要はない。任務を遂行する」


ルイスは、俺を狙っているようだったが、俺より前で構えていたオルタに対し、素早い突きを連続で繰り出した。


「神に祝福?じゃ俺の周りのヤツらは祝福されてるヤツ多いな。祝福されてるなんてお前の勘違いじゃねぇのか?」


確かに能力(スキル)持ちは、時折、神に祝福されている。と言われることがある。それほど、珍しいものだった。

しかし、レベラの周りに能力(スキル)持ちが多いことも事実だった。


それを知った上でのレベラの挑発に、ルイスが一瞬、悔しそうな顔をしたが、オルタを敵にして、挑発に乗る余裕は無かった。


「レベラさん、ここは任せてください。あなたを狙っている。逃げた方が良い!」


ルイスの猛攻に対応しながらも、俺に逃げるよう指示した。場違いにもその対応力に関心してしまう。


「おう、任せた」


オルタに聞きたいことは聞くことが出来なかったが、友人と再会できたことにレベラは少し満足していた。


レベラは窓から飛び降り、敷地内の大きな庭を縦断した。


「アリス王国のヤツらが城の中まで来てる。

急がねぇと!」


最悪の場合、すぐに戦争が起こるほどに事態は進行している。


信用していいのか分からないアイツらに頼まれた、『戦争を止めてほしい』という願いに俺は応えたいと思っていた。

信用しなくとも、行動を共にし見極めたい。

そんな思いもあった。

切実な願いに俺は疑いたくなかったんだろう。


そんな事を考えながら、ドロップたちの待つ、宿へと全力で向かっていた。

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