第7話 友人との再会。
王の部屋を出て、廊下を歩いた後、適当な部屋に入り、レベラはオルタに本題であるドロップたちの件について話そうとしていた。
「ハァ…王様、面倒くさー…」
溜息混じりでレベラが先ほどの出来事について愚痴を言う。
「しょうがないよ。王は君たちのことを気に入っているんだから」
それに対してオルタはニコニコ話す。
「そういえば、彼らは無事かい?会って頼みたいことがあるのだが」
『彼ら』オルタが口にした、その言葉が示すのはレベラの仲間たちのことだ。
その問いにレベラはテーブルの上に出された紅茶を一口飲んだ後、答える。
「俺も会えてねぇんだよ。目が覚めてから、まだ一日も経ってないからな」
その言葉にオルタは不思議そうにしている。
「目が覚めた……?それは一体どういうことだい?」
レベラは、自分の今の状況やここに来た理由などについて詳しく話した。
その内容をどう受け止めたかは分からないが、オルタも真剣に耳を傾けた。
「なるほど。一つ気になるんだけど、どうして君は『目が覚めた』と言い切っているんだい?実際に寝ていたか、なんて君には分からないはずだと思うんだ」
「なんでだろうな、俺にも分からん。ただ何となく、そう思っただけだ。仮に寝ていないとすると俺は何してたんだ?」
その質問にオルタは少し間を空けた後に言う。
「例えば、未来の世界に来た、とかね」
そう言ったオルタは、なんだか楽しそうな雰囲気だった。
「お前、そういうの好きだな。前にも未来がどうとか言ってたな」
「そうかな…」
本人に自覚は無いみたいだ。
しかし、時折オルタは過去や未来といった言葉を使って子どもの様に話すことがある。
「ちなみに、僕が君に最後に会ったのは、君がアリスとの戦いに参加する前夜。その後、連絡が途絶えたから、当然死んでしまったと判断するしかなかった」
「は?」
その言葉を聞いて驚いた。
俺がアリス国との戦いに参加していた?
それをドロップたちは知っているのだろうか。
「要するに俺は、その戦争の最中、なんらかの理由で眠りについた。もしくは未来へ飛んだ。そういうことか?」
「そうなるね。一応確認するけど、本当に何も覚えてないのかい?」
「あぁ、全くもって覚えていない」
「そうか……」
残念そうにしている。何故だろう。
何も覚えていない俺に出来ることは何も無いみたいだ。
「それから、ここからが本題なんだが、アリス国の姫がこの国にーー」
それは音も無く、背後から殺意を向けた。
気づいた瞬間、オルタの方に飛び退き、
振り返る。
オルタも立ち上がり、構えていた。
レベラが座っていた椅子が、レベラが立ち上がり移動した反動により、バランスを崩して倒れようとしていた。地面に触れる瞬間、それが戦いの始まりの合図となった。