第4話 ドロップの話
自分とこの世界に一年もの差がある。
驚きはしたがそれより呆れた。そんな事、目覚めてすぐ確認すべき事だった。いや、よく考えれば目覚めてから、俺の身に起きた事は意味の分からないものが多かった。考える暇など無かった…
「あの!話の続き、いいですか?」
「お、おう。そうだな、頼む」
ドロップが話を再開する。
「それで、シルギアとの戦いは互いに多くの犠牲を出し、終了しました。特にアリス国の被害は大きく、国内に攻め込まれたことにより、今も復興作業が続いています。
そして、アリスとシルギアはもう一度停戦状態になりました」
ドロップの話の最中、常にフィリムは俯いていた。それもそのはず、自国の戦争の話。
きっと辛い事が多かっただろう…
その後の話を要約すると、こうだ。
停戦とはいえ、またいつか同じ戦いが繰り返されるのならば、戦争を終わらせてしまえばいい。
だが、アリス国の王はそうはいかず、娘であるフィリムが説得しても戦うことをやめようとしない。
ならばとフィリムは、敵国に説得しせめて、話し合いの場を用意しようという訳だ。
「無理だな」
それが率直な俺の感想。
「ならば、どうすれば良いのですか!?」
フィリムは必死になって聞いてくる。
「それより、そこからどうして俺を頼ることにしたのか、説明してもらいたい」
「それは、シルギアに影の護衛役がいると聞いて、調べたところそれが貴方!レベラ・シェムハザだった訳です!」
「そんな情報、どこで手に入れたんだよ」
「それはこちらも生きるため必死ですから、
死に物狂いで探しました!一応、お金はありますから!」
「敵国の人間だぞ、殺されるこもしれない…」「それについては!貴方はこの国よりも自分の利益を優先する方だと聞いたからです!」
またも食い気味で話すドロップにレベラは呆れていた。
しかし、なんとなく分かってきた。
「お前らが追われていたのは、自分の国から逃げ出してきたっていう事だな?」
「えぇ、そうです!いやー大変でした!それがですねー…」
「それより、協力していただけますか?」
なにやら、話し始めたドロップを無視して
フィリムが問いかけてくる。
今更だが綺麗な瞳だ、青く輝かせ必死に訴えている。
「自分の利益のために俺は行動するらしいからな、報酬次第じゃ協力してやる」
そんな風に頼まれると断れるわけがない。
フィリムはとても安堵した表情をしている。
それと同時に誰も聞いていなかったドロップの話が終了した。