第2話 各々のセッショク
レベラはただ見ていた、その状況を。
自分と同じ顔を持つ何かが、自分に攻撃している。
透明な刀を何度も振っている。
それでも、当たらない。
俺が避けているから、否、明確には、
俺の身体が反応し、避けていると、言った方が正しいだろう。
身体は勝手に動いている。不思議な感覚だ。
まるで、子どもの頃に読んだ冒険小説のようだ。
その世界に入り込み、自分と物語の主人公を重ねながら興奮と熱狂を与えてくれたあの本のように。
そんな感慨に浸っているうちに、
俺の身体は、奴の顔面を蹴り飛ばしていた。
そして、そのまま吹っ飛んで消えた。
気付けばもう、俺の身体は俺のものになっていた。
身体が思い通りに動くことを確認したレベラが、
辺りを見回すと、部屋中の家具が壊れ、無茶苦茶になっていた。
「うわぁ……だいぶ散らかしてくれたな……」
片付けて綺麗にするべきか、
そもそも、ここに戻ってくるだろうか。
悩んだ末、レベラはこの部屋を後にした。
レベラは部屋を出た後、何気無く街を歩きながら、これからのことを考えていた。
「まずは、アイツらに会わねーとな」
今まで共に過ごしてきた、6人の仲間たち。
何処にいるかは分からない。しかし、生きていることは間違いない。きっと、何処かで会える。
そんなことを考えながら、街を歩いていた。
どうもおかしい。
街に視線が、多い。
隠れる視線は、街の隅々を見ている。
何か、あったのだろうか。監視されてるみたいだ。
誰かに見られている感覚は、気持ちの良いものじゃないな。
レベラは、入り組んだ路地裏に入った。
路地裏に入り、少し歩くと右から飛び出してきた青年とぶつかった。
「あっ!すみません!あの、急いでてって、見つけた!」
その青年は、慌てた様子で謝ってきた。
それと「見つけた」?
赤色の髪と、少女と見間違えるような
幼く整った顔立ちをしている。
「まぁ、落ち着けよ。俺は気にしてないから」
なんとなく、この青年に興味が湧いた。
「お前、何で急いでんだ?」
「え…あ、いや…ちょっと追われてまして…」
「誰に?」
「誰って、それは……あっ!ヤバい、あの僕のこと、絶対、
話さないでください」
そう言って、青年は適当なところに身を隠す。
その時、後ろから声をかけられた。
「おい、お前。この辺に赤い髪の男が来なかったか?」
「いや、見てませんけど…」
「そうか、分かった。ありがとう」
そのまま、そいつは去っていった。そいつは、銀色の鎧に腰
に剣、どう見ても兵士の1人。
「おい、もうどっか行ったぞ」
赤髪の青年に声をかける。
「本当ですか?ありがとうございます」
青年は身を隠すのをやめ、一安心していた。
「あ…あの!僕と一緒に来てもらえませんか?」
「は?何で俺が……」
「あなたじゃなきゃいけないんです!来てください!」
そのまま、俺を引っ張って、半強制的に連れていった。そしてさらに、入り組んだ路地裏に入っていく。
やっと、本編に入れそうです。
皆さんは散らかった部屋をそのままにするのはやめましょう。
今後とも宜しくお願いします^_^