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記憶のクローゼット

 私はその歌と合わせながら、目を瞑っていた。それから鼻歌で歌いだした。でも次第に、それがかえるちゃんじゃないとわかったとき、私はクローゼットに耳を当てて、暗闇の奥にある、記憶のクローゼットを叩く微かな声を訊いた。そいつは鼻をひくひくと運動し、脚の爪がカーペットの埃を掬い、次にむしるようにしてカーペットの繊維を浮かせる音が聞こえた。やつは私の近くまでやってきていた。おそらく今回は初めから私がどこにいたのか知ってのことだろう。鼻をひくひくさせたのはただ嗅ぐだけじゃない。私にモグラ男が近づいていることを教えるためでもあった。クローゼットで私が保とうとしている、立てないようにしているけどどうしても聴こえてしまう吐息や心拍数さえ聞こうとしていることだけはわかっていた。まばたきの音も。誰なんだとは訪ねたくなかった。本当にその誰かがモグラ男なら、私は食べられてしまうだろう。でももしかしたら、かえるちゃんが脅かそうとしているだけかもって考えた。私を見つけるまでを楽しんでいるってこともありうる。そしたら攻守交替で、今聴こえているよくわからない音色の鼻歌を最後まで聴くことが出来ないのはたまらなく嫌だった。私はその歌が好きだった。かえるちゃんが歌うのが。


 でもモグラ男が歌っているとするなら? 私はそんな自分を見たくない。

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