表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バースデー  作者: K
21/27

21

二次会は、断った。

用事があったわけじゃない。

陵介と遊史が誘ってくれたけど、二人とも無理強いはしなかった。

一樹の気持ちを考えてくれたのだと思う。

桃子につかまりそうになったが、皆が、バラバラと居酒屋から出てきたときに、そっと集団から抜けた。


「あれ?一樹は?」

 桃子の大きな声が聞こえたが、

「桃子、二次会の予約とれた。めちゃくちゃ懐かしいぜ、どこだと思う?」

 陵介が、桃子を引き留めたようだった。

 歓声を後ろに聞きながら、一樹は、裏道に入った。


 繁華街を抜け、電灯の少ない暗い道を、一樹は、何故か、好んで歩いた。

 落ち込んではいない。

 遊史と綾乃の関係に気が付いた時は、胸がチクリとしたが、遊史のことは、ふっきれたんだと思う。多分。

 頭では、整理できている。

 あと少し、感情の一部が残っている。

 時間をかけて、上手く、流してやればいい。

 こうやって、暗い道を歩いているうちに、少しずつ、この道に、落としていければいい。

 俺の未練。


 次に会う時は、もっと大丈夫だ。

 遊史は、俺の親友になっている。

 誰よりも遊史のことをわかっている、ただの親友になっている。

 もう、恋の対象ではない。


 心の中で、語りかけた。恋をしてた一樹に。


 どのくらい歩いたのだろう。


 ふと気が付くと、目の前に明かりが見えた。

 暗い道の中で、蛍光色でぼんやり浮かぶのは、喫茶店だった。

 時計を見ると、10時過ぎている。

 あれから、1時間くらい、歩いてたんだと気づく。


 さすがに、少し疲れたか。

 ちょっと寄ってみようかと思う。

 ドアには0penの札がかかっている。

 まだ、客を受け入れることできるのか。

 あたりは、しんという音が聞こえそうなほど、静かだった。


 ドアを開けると、カランカランという古風な鐘の音がした。

「いらっしゃいませ。」

 カウンターの中に、40代くらいの美人ママが一人。

 縦に並ぶ4人座りの席の手前には、サラリーマンとOL風のカップル。奥の席は、学生っぽい男が一人。軽食ではなく、きちんとした食事メニューが並んでる。


 こんな時間に、食事か…。


 そう思った時だった。


 カップルの手前に座っていたスーツ姿の男の背中が、乱視になったかのように、二重にダブって見えた。

 思わず、瞬いた時、

 一瞬で世界が変わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ