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バースデー  作者: K
19/27

19

一樹は、30分遅れて、店に着いた。


居酒屋の個室を借り切って、集まった人数は、30人近くにもなっていた。

桃組以外に、同級生や、後輩たちまでいた。

顔を見ても、名前のわからない奴もいるし、雰囲気が随分変わっていたり、体型が変わっているものまでいた。


いくつかのグループに分かれて、昔話に花を咲かせていた。


行く前に、ラインを確認したら、最後の方に、遊史のアイコンで、行くと返事されてあった。

ぐるりと見渡すと、遊史はいた。

愛花が、さっそく隣にへばりついている。


しかし、遊史は、あとから来た一樹の姿を見つけると、べたつく愛花をさっさと置いてきぼりにして、一樹の隣に移動してきた。


「来たな。」

そう言って、ホッとしたように笑う遊史は、きっと、一樹を心配していたのだろう。

軽く乾杯したあとは、何もしゃべらなかった。

黙っていても、遊史の声は聞こえる。


今まで通りの俺達でいよう…

言葉はいらなかった。


そこへ、

「元気だったか?」

陵介が、話しているグループから抜けてきた。

「全然、元気。」

「そうか。」

何故、急に来なくなったか、陵介も心配していただろうが、彼も、問いつめたりはしなかった。

長くつきあうと、そういうのを察してくれるのが嬉しい。

 

そして、もう一つ、気が付いたことがあった。

既婚者組のグル―プで話を弾ませている綾乃が、何故か、綺麗になっていた。

元々、美人タイプではあったが、ここ数年は、くすんだ印象を受けていた。

その綾乃が、何故か蕾が咲いたように、華やかに笑ってる。

その視線に気が付いた陵介が、にやりと笑った。


「女は、変わるよね。俺もびっくり。」

そして、何事もないようにビールを飲んでいる遊史に、目線を移す。

「誰が変えたんだろうね。」

一樹が遊史を振り返ると、正直な遊史は、ピクリと反応する。

ああ…

そういうことか。


そこへ、野太い声が響いた。

「おーい、バツイチ!!」

淳吾だった。

何年かぶりで会う。会社のトラブルで左遷されてから、一度も会っていなかった。

「お前、バツイチになったんだってな。」

遊史に向かって、大声で叫ぶので、周りも、皆、遊史に注目する。

一樹が言い返そうとすると

「俺もだ、俺もだ。」

と、淳吾が、やはり野太い声で笑いながら言った。

「ついでに、ここにいる桃子もだ。バツイチ連合作ろうぜ、来いよ。」

「この、くそ淳吾、大声で言うんじゃないわよ!!」

桃子が、淳吾の大声に憤慨してる。

遊史は、一樹の顔を見て、苦笑しながら、飲んでいるビールを持って立ち上がった。

「連合に参加してくる。」

「おー。」


遊史が淳吾と桃子の傍に行くのを見た陵介は、小さい声で一樹にチクる。

「ちなみに、桃子は、裁判ざたになって、つい最近、やっと離婚できたんだと。」

「離婚率、高いな。」

「そんな時代なんだろ。」

一樹は、桃子につっこまれている遊史と、テーブルを挟んで既婚組と話をしている綾乃が、チラリと視線を合わすところを見た。


少し、胸が痛かった。


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