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遊史がつぶれている。
こんな遊史を見るのは久しぶりだ。
「どうしたのよ? ピッチ、早かったのは確かだけど…」
愛花が、不満そうに、酔いつぶれている遊史を見る。
遅れてきた遊史に、どんどん飲ませたのは、愛花のくせに。
一樹は、苦々しい思いで、愛花を睨んだ。
遅れてきて、空きっ腹だったはずだ。それなのに、愛花が無理に勧めたとしても、無茶飲みする遊史じゃない。
何か、おかしかった。
「この程度でつぶれるほど、弱かったっけ?」
自分の相手をしてくれる人がいなくなって、愛花が口をとがらかす。
「何か、あったのか?」
大晴が、陵介に問うと、陵介は、一度、ため息をついて、遊史の方を見ながら言った。
「離婚したんだ。」
「え?」
陵介の言い方が、サラリとしすぎて、理解が追い付かなかった。
ピクリと反応したのは、大学時代に遊史とつきあっていた綾乃。
綾乃と話していた七海も、目を丸くして、陵介を見、遊史を見た。
愛花は、綾乃の反応を、確かめるように見ている。
「原因は何なの?」
七海は、既婚者だ。今日集まっているメンバー7人の中で、結婚しているのは、この七海と遊史だけだった。皆とは立場の違う別の意味で気になるんだろう。
「色々、重なったらしいんだけどな。奥さん、不妊治療してたらしい。」
「嘘でしょう?」
大声をあげたのは、愛花だった。唇が楽しそうに歪んでる。
面白がってるんだ。遊史の離婚も、綾乃の反応も。
嫌な女だ。
一樹は、心の中で毒づいた。