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【新作】最強のエルフ救い  作者: 籠の中
第1章 転生人生万歳!!
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#005 ガチ鬼畜師匠

「そういえば杖の使い方教えてなかったわね」


言いつつ、地面から杖を抜いた。


「一応はわかるけど、さっきみたいなのはどうすればいいのかわからない」

「うんうん、そうよね」


言いつつ、杖をくるくる回してみせる。


「こんな風にするとかっこいいわよ…ってのは冗談でね、杖には色々な使い方があるの。そのまま殴れば打撲系の攻撃になるし、握ったまま魔法を使えば通常時に比べて威力を上げることができる。けど、それだけじゃないのよ」


ガッ、と地面に杖を突き刺す。


「こんな風に地面に刺した状態で、水晶に手を触れてごらん」

「こう?」


トールは見よう見まねで地面に突き刺し、水晶に触れた。

瞬間、周りの景色が脳に移される。

脳内でイメージするよりも、はるかに精度が高く。木の葉の一枚一枚、皺まで全てが。


「す、すげぇ…」

「魔素ってすごい細かい粒子なのよ。それが岩や木に付着していてねーーまあつまり魔素を認識している状態なのよ。魔素がくっついているから見ることができる。だからーー」


魔石を割る音が聞こえた。

瞬間、見える景色が広くさらに細かくなっていく。


「魔素が増えれば増えるほど良いってわけ。まあこれは適性の程度で変わってくるけどね。そのまま、魔法を使ってみて」


言われるがまま、炎の球をイメージする。

よりはるかに、格段にイメージしやすい。

風景のイメージにリソースを割かなくていいからだ。


そして、魔力を集めようとした時、はたと気がついた。

お母さんは魔法を使う時、あたりから魔素を集めていた。


同じ道理なら、これも。


魔素を杖に収縮するように操作し、そして、放つ。


瞬間、轟音と共に激突した岩が溶けた。

地面は通ったところを示すようにえぐれ、プスプスと煙を上げていた。


威力も大きさも熱量も段違いだった。

魔力に変換してないおかげか、魔力が抜けた感覚もない。


「これは…すごいわね…」

「いや、お母さんの方がすごいよ」


そういうと、かぶりを振って。


「今、全部魔素で魔法使ったでしょ」

「え、うん」


そういうと、はぁ…と溜息をついた。


「あのね、一級魔法使いでも、せいぜい賄えるのは全体の三割とかなのよ」

「え!?冗談だよね?」

「冗談でもなんでもないわよ」


笑いながらそう言った。

対してトールはあんぐりと口を開けたままだった。


「自分で自分に驚いてどうするのよ」

「いや…だって…」

「ほんと、規格外ね…」


うん、と大きく頷いて。


「決めた。トールを一流に仕立て上げるわ」

「え?」

「え?じゃないわよ。やるからにはとことんやるわよ」


トールの意思を聞く訳がなく。

気付かぬうちに特訓することが決定してした。


これが鬼教官が誕生した瞬間だった。


ーーーーーーーーーー


鍛錬開始からだいぶ時が経った。

一ヶ月くらいだろうか。週5日のペースで森に潜っている。


そのせいでアリアにも全然会えていない。

まあ、その分効果は素晴らしいのだが…。


鍛錬がえげつないほどキツイのだ。


「ほら!休まない!」


ーー今日はオークの集落に来ています。


数百とオークが集まっている集落。もう村だ街だと言い張った方が良いレベルで大量にいる。


オーク、ゴブリンなどはどんな種族と交尾しても血が混ざることがなく、オークやゴブリンが産まれる。

そのため繁殖力がとても高く、早いうちに討伐しないといけないのだが。


「こんなに多いなんて聞いてないって!」


叫びながら魔法を連射していく。

脳が擦り切れ、溶けていくほどにイメージを膨らませていく。


「誰かが討伐しないと沢山の人が死ぬのよ!頑張りなさい!」

「わかってる!けど!これは多すぎだって!」


少しは助けてくれると思うじゃん?

違うんだよなあ…一切助けてくれないんだよなあ…。


「ほら!頑張れ頑張れ!」


お母さんは家に着くといつものように優しい。

しかし、鍛錬となると本当に鬼になるのだ。


「ああ!もう!」


全てを焼き払ってやる。

杖を手でクルクル回して、ダンッ!と地にぶっ刺す。


腰にある魔石をある分だけばら撒いて足で砕き、そして、魔力を全力で体に巡らせる。


水晶に手を置き、意識を集中する。

範囲は広く、威力は強く。

なにもかも残らない、ドロドロに溶けた地面をイメージ。


魔力を注ぎ、魔素をも巻き込んで。

キャパオーバーなんて知らねえ。最大火力で。


プルプルと震え始めたタイミングで発動させる。


轟音は響かなかった。

代わりに聞こえるのは断末魔にプシューと全てが溶ける音。


辺り一帯の魔素が消えると共に、全てが消えた。

オークの命も建物もなにもかも。


《レベルアップしました95→103》


杖を地面から抜いて、クルクル回してビシッとキャッチする。

キメ顔をしてみたが、飛んできたのは打撃だった。


「ぁいたぁ…」


頭二つに割れそうなほどの痛み。

さらに飛んでくるのは怒号だった。


「馬鹿!魔石が回収できないでしょうが!こんなに魔素を食い荒らして!あと面倒だからって横着しない!」

「大規模の方がかっこいいじゃん…」

「魔法使いである以上、冷酷で合理的でないといけないのよ!こんな戦い方したら損しかしないじゃない!」


ボロボロだった。

確かに魔石は使い果たし、新たな魔石も獲得できない。

さらに言えば、今地面がグツグツと音を立てるほど高温なので立ち寄ることすらできない。


「ごめんなさい…」

「謝ってる暇があったら次行くわよ!」

「ぁぁぁぁぁぁあ…」


首根っこ掴まれて、グイグイ引き摺られていく。

どんなに筋力が上がっても逆らえなかった。



ーーーーーーーーーーーーーー


「次はオーガよ」


連れてこられたのは鬼族(オーガ)の集落だった。

30匹ぐらいだろうか。オークに比べれば数は少ない…が。


「1匹1匹の強さがオークの10体分ぐらいだったよね」

「ええ。ステータス上ではそうだけど、知性も人に劣らずっていうレベルだからあまり侮らない方がいいわよ」


曰く、ステータスを何倍にもした上に理性を失った人間。

曰く、10体で村一つ滅ぼせる程の強さ。


「わかった」


やはり使用するのは火属性の魔法か。

一番威力が強く、手慣れている。


「じゃあ、行っておいで」

「うん!」


杖は一々地面に突き刺すのも面倒なので浮かせておく。

周りをぷかぷか浮遊している。


「さて、やるか」


律儀に門をくぐって外壁の中へ入る。

衛兵的存在が近づいてきたので、杖に手を置いて狙いを定める。狙うは眉間。


炎の放出を細めに威力を一つに纏めて、発射。

シャー芯程度の細さの熱線が眉間を貫き、握りこぶし大の穴が頭部に。ドシン、と大きな音を立てて地面に倒れた。


胸部に腕を突き刺して、魔石を探り当てる。

ぎゅっと握って周りの肉から引き剥がす。

霧散していったのを確認すると、魔石を腰につけた麻袋にしまう。


「さて、さっさと終わらせるぞ」


目標はオークの殲滅。

1匹残らず駆逐してやる。


魔力もある、魔素もある。コンディションは十分。


「でも、一々探すのは面倒だな…」


個人的には手早く済ませてしまいたい。

そうだ、と呟きしまったばかりの魔石を取り出した。


地面に落として、踏み潰す。

粉々になったのを確認すると、杖に手を置いた。


探知としてもこれは使えるのだ。


「あ、いた」


前方50メートル先。建物内部。

魔素があるところならなんでも見えるのだ。


狙いを定めて、先の魔法を発動させる。

数秒後、その巨体は崩れ落ちるように床に倒れた。


「いけるな、これ」


それからは早かった。

姿を認識した瞬間、寸分違わず眉間を撃ち抜いていく。

音もなく、一瞬で。


30数匹いたオーガの1匹とて仲間が殺されたことに気付かなく、ものの数分で殲滅されてしまった。

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