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第五話 幼馴染み

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。


新年早々申し訳ないのですが、来週は忙しくて執筆ができそうになく、投稿できないと思います。勿論、頑張ってできるだけ投稿しようとはしますが、恐らく無理だと思います。というわけで次回は1月18日です。ごめんなさい。

日の光を受けて控え目に、しかしはっきりと輝く紺色の髪。その髪は腰まで伸びており、透き通るような白さの肌とのコントラストが髪の美しさを際立たせている。


髪だけでなく、その顔も美しい。小さな顔に先にも述べた白い肌、お人形さんのような整った並び。眠たげにも気怠げにも見える半開きの目は、それはそれで魅惑的だ。


瞳は綺麗な水色で、最初はそれが冷たいような印象を与えるが、少女が持つどこかおっとりしたような雰囲気がその印象をかき消し、静かな広い湖面のように穏やかな印象へと変わっていく。・・・彼女のおっとりした性格を知ってる僕だからこそそう思うのかもしれないけど。


表情があまり変化せず、口数も多くはないが、とても優しく、とても可愛らしい子だ。


この子の名前はルルアリア=マクラーゲン。今僕が住んでいる町、マクラム王国王都の中で、五本の指に入るほどの大貴族であるマクラーゲン家の一人娘だ。


対する僕の生まれたカルタ家は、今から遥か昔に祖先のマグヌス=カルタが大公をなし、褒美として王様からいただいた貴族の位にすがりついている、没落しかけのなんちゃって貴族。


両家の位の差はあまりにも大きく、本来なら、僕はルル(ルルアリアのことを僕はルルと呼んでいる)とはお近づきになることなんてできないはずなのだが、カルタ家とマクラーゲン家は代々仲が良かったため、幸運なことに僕はルルの幼馴染みとなることができたのだった。


それが他の貴族達には面白くないらしく、「なんでてめぇなんかがあのマクラーゲン家と仲良いんだよ立場弁えろよクソが」的な内容を貴族らしく遠回しにつらつら書かれた手紙が毎日何通も届くんだけど・・・まあそれはどうでもいいか。


「!・・・タルマっ」


僕がルルに気付いてすぐくらいに、ルルも僕のことに気付いた。そしてステテテテッっと僕の方へと走ってきてぎゅーっと抱きついてくる。


「ルル、おはよう。こんな朝早くからどうしたの?」


僕は優しくルルを抱き止める。前世では一切無かった女の子との接触だけど、ルルはまだ小さく、言ってしまえば幼女で、それに僕はロリコンじゃないから別になんとも思わない。この世界では何回もルルには抱きつかれてるしね。


「・・・おはよ。誰よりも早く言いたかった」


そう言って僕から離れ、スカートのポケットをごそごそやるルル。そして可愛くラッピングされた箱を取り出して、僕に差し出してきた。


「・・・誕生日、おめでと」

「ありがとう」


僕はニコッと笑って箱を受け取る。いやぁ、嬉しいなぁ。プレゼントは毎年もらってるし、今年ももらえるんだろうなぁとは思ってたけど、やっぱり嬉しいものだ。プレゼントをもらえることが当たり前に感じて慣れちゃって、プレゼントをもらっても嬉しく思わないようには成りたくないね・・・この嬉しさは快楽に入らないよね?快楽耐性鍛えても嬉しく思えるよね?ちょっと不安だなあ・・・


「開けていい?」


そんな不安を表には出さず、ルルに訊ねる。コクッとルルが頷いて了承してくれたので、早速箱の包みをほどく。箱を開けると、そこには『ルル(はぁと)タルマ』の刺繍が入ったリストバンドが入っていた。


そっと箱を閉じる僕。ルルにジト目を向けてみる。ルルも無表情で此方を見つめてくる。じっと見つめ合う二人。ルルの顔が近づいてきた「まてまてまて」慌てて押し返す。どこか残念そうな顔で離れるルル。僕はため息を吐いた。


ルルはよくこうやって僕にアプローチしてくる。特に惚れられる様な何かをした覚えはないのだけれど、なんでこんなに懐かれたのだろうか。僕的にはルルの気持ちは嬉しいけど、ルルはまだ小さいし、ルルの気持ちも勘違いということも大いに有り得るので、あと10年ほど待って、その気持ちが本当なのか分かってから来て欲しいものだ。もし、10年待って本当に僕のことが好きなら、僕も真剣に考えようと思う。


・・・後、あるのかどうかは分からないけど、今、ルルに手を出すと恐らく、いや確実に「ロリコン」の称号を得てしまうだろう。それは絶対に避けなければならない事態だ。別にロリコンが悪いとは僕は思わないけど、社会は非情だ。その人の人柄なんて気にも止めず、ただロリコンというだけで排除する。「ロリコン」になってしまえば、僕はこの社会で生きていけなくなるだろう。それは嫌だ。


そんなことをこんこんと説いたこともあったけど「・・・この気持ちは本物」と聞く耳を持たなかった。分かってもらおうと繰り返し言うと、信じてくれない、などと拗ねられてしまうほどだ。もしかしたら本当なのかもしれないけど、それでも僕はルルの気持ちに応えるわけにはいかない。


「・・・・・・」


僕はルルにジト目を向けつつ、無言で箱を返そうとする。


「!?・・・裏っ」

「裏?」


ルルが慌てた様に(やはり表情はほとんど変わっていない)言ってきた。そういえば裏まで気にしてなかった。というか表にあるものが衝撃的すぎて気にする余裕が無かった。


もう一度箱を開けてみる。さっきは言及しなかったけど、実はこの箱もおかしい。蓋は少し固く分厚くて、開けようとするとゆっくりと開く。箱の中は柔らかいクッションが敷き詰められており、クッションの中心部には少し大きめの切れ目がある。その切れ目のリストバンドが刺さっているのだ。箱自体もしっかりとした構造になっていて、乱暴に扱ってもちょっとやそっとじゃ傷付かず、内部に衝撃が伝わらないようになっている・・・まあ、ぶっちゃけて言うと婚約指輪を入れておくような箱だ。結婚してくれっということだろうか。勿論気付かない振りをするけど。


リストバンドを箱から取り出し、裏返してみる。するとそこにはカルタ家の家紋が刺繍されてあった。チラッとルルの方を見てみると、ルルは腰に手を当てて胸を反らしていた。顔もどこか得意気だ。僕が勝手にそう思ってるだけかもひれないけど。


ルルがドヤッとしてくるから認めたくはらないけど、これは嬉しい。家紋が入っているだけなんだけど、それを身に付けることで家族の皆がいつも側にいてくれている感じがして落ち着く。材質がいいのかリストバンドよ肌触りも良く、吸水性も良さそうだ。そうなんだけど・・・


「裏がなぁ・・・」

「!?」


僕の呟きに衝撃を受けたような顔(だと僕は思う。相変わらずほとんど表情は変わってない)をするルル。どうしても『ルル(はぁと)タルマ』と入れたいけど、僕が嫌がるだろうから、表だってするのではなく、裏側ならギリギリセーフだとでも思っていたのだろう。まぁ、ルルよ気持ちは嬉しいし、裏側なら腕に着けたら他人からは見えないだろうから、別にいい、かな?折角僕の為に作ってくれたんだし・・・


「はぁ、まあいいか。ありがとね、ルル」


僕はため息を吐きつつも、ルルにお礼を言って頭を撫でる。ルルはてっきり押し返されるとでも思っていたのか、一瞬キョトンとした顔(やはり表情ry)をしたかと思うと、


「・・・うんっ」


小さく微笑んだ。


その顔を見て、僕の胸は小さく高鳴る。ルルの顔の表情は滅多に変わらないが、とても大きな感情を抱いた時少しだこ変わるのだ。そして、ルルが最大級に嬉しい時に浮かべるこの微笑が、もう、とてつもなく可愛いのだ。もうロリコンでもいいか、と思ってしまうほどに。


その僕の内心を知ってか知らずか、いや、確実に知っているのだろうが、この微笑を浮かべた後はさりげなくボディタッチしてくるのだ。正直、理性がヤバい。ボディタッチの仕方も本当にさりげなく、保護欲を掻き立てられるような仕草で、最高にいじらしいのだ。全てを投げ捨てて抱き締めたくなる。だがそれをするも称号「ロリコン」が突撃してくる。それはダメだ。だから僕はいつも逃げている。幸い、毎日鍛えてるおかげで逃げ切れるので、未だ「ロリコン」の称号は手に入れていない。


そして今回も又、ゆらりと自然な感じでルルが近づいてきた。あまりにも自然で、初見の人ならまんまと捕まるであろうが、絶対来ると思って構えていた僕は違う。これまた自然な動きでスルッと避け、ルルには一切触れずにルルから身体を遠ざける。そしてダッと走りだした。


「・・・あっ」

「じゃ、また後でねー!」


そして残念そうなルルを置いて、僕は自分の家へと逃げるのであった。

ハーレム一人目として幼馴染み+主人公大好きっ子を出してみたんですけど、このままじゃルル一強になってハーレムじゃなくなりそう・・・

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