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パスポートとクレジットカードがあればなんとかなるのは異世界でも同じなのか【連載版】  作者: 陽乃優一
第1章 パスポートとクレジットカードがあればなんとかなるのは異世界でも同じなのか
2/10

第2話 言葉が全く通じない場合の傾向と対策

すみません、とある映画の旅行ネタをいきなりパクりました。いやあ、映画館で何度も観たなあ…。

「はあ…歩く歩道が欲しい…」

「ここは空港じゃないぞー。あと、それを言うなら動く歩道だ」


 だだっ広い草原のせいか、すぐそこにあるかのように見える街になかなかたどり着けない。

 日の傾きにまるで合ってない腕時計を見る限り、気絶復活から1時間以上は経っているはず。

 なんだろう、獣の遠吠えのようなものが聞こえてきた。暗くなってきたし、早く移動せねば。


「おーい、もうすぐ門に着くぞー」

「入国審査?いぇーす、さいとすぃーいんぐー」

「そんなに疲れてるわけでもないだろ、お前」


 夜が近いせいか、某空港と違って門には誰も並んでいない。もう行列はノーセンキューだ。

 が、すぐに、少しでも並んでいてくれたらいろいろと『観察』できたのに、と後悔した。


「◯△◯…?××△◯!?」


 門番の言葉が全くわからなかった。異世界モノ必須テンプレを早々に打ち砕かれた。

 ど、どうすればいいんだ?さっぱりわからん。


「入国審査なんだからパスポート出せばいいんじゃない?『同じ役割を果たす』らしいし」

「入『国』かどうかはともかく、言葉が通じないなら文字も当然ダメなんじゃ」

「いいから、やってみよ?神様を信じてー」


 お前、天使っぽい人にいつ帰れるんだって詰め寄った挙句、気絶してたじゃないか。

 とはいえ、他にできることといえばあとはカード類しかない。まずはパスポートを試すか。

 顔写真のあるページを開いて見せればいいかな?え、違う?こっちのページ?


「…△××○、□□、○○△□!」


 あっさり通してくれた。ホントにどういう仕組みなんだよ。

 と思いながら進んだら、もうひとりの門番が手を出して待ち構えていた。まだ何かあるのか?


「今度は通行料?入国税ってやつ。地球でもある国で取られたことあったし」

「だとしても、こっちのお金なんて持ってないぞ」

「んー、じゃあ、カード見せるしかないんじゃない?日本のお金が代わりになるとも思えないし」


 という妹の提案を受け、俺はクレジットカードを渡してみる。

 受け取った門番は、水晶の板のようなものを取り出し、カードを乗せる。え、セットできるの?

 更に手招きされて、この位置に手を乗せろというジェスチャーをする門番。ここかな?


「これ…もしかして、魔法?」


 板が淡く光り、手とカードを包み込む。何か文字らしきものも浮かび上がっている。

 はっきりとした意思みたいなものをこの光に感じる。なんというか、新鮮な感覚だ。

 数秒ほどで光は消え、ちょっと板を操作してからカードが戻され、通っていいぞという手振り。


「いえすいえーす、さいとしーいーんぐっ」


 このタイミングでエセ英語かますかお前は。いや、カードの方が審査っぽかったけど。

 結局、妹はキャッシュカードを渡した以外は、俺と同じ手順で門をくぐり抜けた。



「どうもよくわからないなあ。水晶板のアレは署名みたいなものだったのか?」


 門から街中に続く道を歩きながら、疑問に思ったことを妹に投げかけてみる。


「むしろ、指紋登録みたいな?顔写真の代わりに魔力パターンがうんたらかんたら」

「魔法みたいだったしなあ、あの光。でもそうすると、最初のパスポートは?」

「なんだろうねえ。こんなことなら、ラノベたくさん持ってくれば良かった」


 ラノベがガイドブックかい。でも、今回に限ってはほとんどアテにならないぞ。

 そういう意味では、日本から外国に行く方がよっぽどハードモードだよな。

 やっぱり、観察していくしかなさそうだ。ついでに、魔法も覚えたいところではある。


「ファイアーボール!とか適当に叫べばできちゃうんじゃない?」

「おいばかやめろ」


 幸い、焼け野原にはならなかった。なってたまるか。

短編を御覧の方は既にお分かりですが、この作品で魔法はあまり期待しないで下さい。あるにはあるのでタグ設定してますが。

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