コレクション
興味を抱き、追い続けると知らないうちにとんでもない数のものが集まってくる。
ホラー好きな僕に集まってきた、不思議な話たち。
「お前、誰じゃぁ?」
庭が夕暮れに染まる頃、幼なじみは誰もいない納屋の軒先に大声で話し掛ける。
「出ていけぇ、ここは僕の家じゃあ!」
何度も何度も同じ事を怒鳴り続け、そのうち彼の目には涙が浮かび始めた。
「どないしたのぉ?大丈夫…大丈夫」
騒ぎを聞き駆け付けたのは幼なじみの祖母だった。
抱き上げられた彼は祖母の胸に顔を埋め、わんわんと庭に響くように大泣きした。
これは僕がまだ幼稚園に入ったばかりの頃の幼い記憶。
この兄弟のように育った友には何かしらの、いわゆる"霊感"というものが備わっているのだと感じた一番古い記憶だ。
人いうのは不思議なもので、そんな些細な出来事がきっかけである事に興味を持ち、それが趣味になり、その趣味が半ば人生を掛けての謂わば研究になっていくのである。
僕もその一人だ。
身近に、いわゆる「見える人」がいたのがきっかけで、その分野に興味を持ち、いまではその幼なじみの話しだけには留まらずあらゆる人物から「不可思議な体験」を聞くのが生業といってもいいほどになった。
ここに記すのは、僕がコレクションと呼んでいるものの一部である。