ロスト・メモリーズ ~再会~
記憶にあったのは、「赤色」の髪。
そして、笑いあう「仲間」たち。
みんなで立ち寄ったとある町。
そこには、神様と呼ばれる何かがいて、
その神様に年に一度生贄を捧げるらしい。
そして、今年の生贄に選ばれたのは、
桜色の髪をした、小さな少女だった。
Chapter 3 ロスト・メモリーズ ~再会~
「・・・はっ!」
懐かしい夢を見た。
「あの人」と、「仲間」たちの夢。
・・・これも、俺の記憶の一部なのか?
「・・・フォカ?」
はっと、我に返る。
・・・そうだ、今俺たちは「アスタリア」に来たんだ。
・・・ラティの「家族」を見つけるために。
それで、着いたときもう暗いからって、宿に泊まって・・・。
さすがに女のラティと一緒の部屋はまずいと思って、分かれて・・・。
それで、部屋に入った瞬間、疲れが溜まってたのかそのまま・・・。
「・・・今、何時だ?」
「まだ夜ですよ。」
隣で寝ていたカロルが上にある時計を指す。
時計は、3時を示していた。
「・・・なぁ、カロル・・・。」
俺は、夢のことをカロルに話そうとした。
「・・・自分たちは・・・一度ラティに会ってるみたいですね。」
・・・あぁ、そうか。カロルには何も言わなくても分かるのか。
「・・・ラティ、ここに連れてきてよかったのかって・・・思って・・・。」
あの夢が、失われた記憶だとしたら、ラティは・・・。
・・・ふと、背中に重みを感じた。
「・・・カロル?」
カロルが、背中にもたれかかっていた。
「・・・大丈夫です。ラティは、僕らが守ってあげればいいんですよ。」
絶対に生贄になんてさせない。
そう思うカロルの気持ちが、伝わってくる。
「・・・そうだな。・・・早く、『家族』に会わせてやらないとな。」
俺らが「仲間」に会いたいと思っているように、
ラティも・・・「家族」に会いたがってる。
早く、会わせてやりたい。
それに・・・さっきから、頭痛が治まらない。
さっきの夢といい・・・記憶が・・・戻ってきてるのか?
・・・この街で、全部分かるのか。
ラティの記憶も、俺らの記憶も・・・。
ここで・・・全部・・・分かるのか・・・?
「・・・フォカ。心配しなくても大丈夫ですよ。」
いつの間にか、隣に寄り添うように座っていたカロルが、優しく言う。
・・・顔色を伺うように、俺の顔を覗き込む。
「・・・これできっと、『あの人』が自分たちの記憶を消した理由が分かるかもしれないんですよ?」
分かってる。頭では分かってるんだ。
「・・・でも。」
「・・・これは、僕らだけの問題じゃなくなったんです。あの子の・・・ラティの記憶にも関係あるかもしれないんです。」
真剣な目でこっちを見るカロル。
・・・あぁ、強いな、カロルは。
まっすぐに見つめる藍色の目は、あの時と同じ・・・あの目だ。
「・・・カロルは怖くないのか?」
・・・正直、記憶を取り戻すのが怖い。
「あの人」が消した記憶・・・消さなければいけなかった記憶・・・
きっと、思い出したくない・・・悲しい記憶なんだ。
「俺は・・・怖いんだよ。」
「・・・フォカは・・・。」
目を離して、肩に寄りかかるカロル。
・・・俺、今どんな顔してた?
カロルの表情は、少し・・・悲しそうだった。
「・・・『あの人』に会いたくないんですか?」
・・・会いたいに決まってるさ。
「あの人」は俺らの命の恩人で、尊敬する人で・・・大切な人だろ?
「・・・会いたいよ。」
「・・・なら、取り戻しましょ?自分たちの記憶。」
きっと、辛い記憶だけじゃありませんよと、カロルは小さく呟いた。
・・・ほんとに、お前ってやつは・・・。
「・・・そうだな。ラティの記憶と一緒に・・・な。」
あの夢に・・・俺の記憶に桜色・・・いや、あれは絶対ラティだ。
ということは、少なくとも記憶の一部は、
ラティが関係している。
つまり、失った記憶は・・・。
「・・・ラティの『家族』と俺らの『仲間』。二つが関係している、何か。」
一体、何があったというんだ。
どうして、記憶を消さなきゃいけなかったんだ。
「・・・なぁ、『リーダー』。」
小さく、ぼそりと呟いた。
・・・あれ、そういや・・・
「・・・カロル?」
さっきから声が聞こえない。
・・・ふと、横を見る。
「・・・なんだよ。寝てたのか。」
俺の肩ですやすやと眠るカロル。
・・・そっと額に手を当てる。
「・・・少し熱あるな・・・悪ぃなカロル、起こしちまって。」
ただえさえ、カロルにとって地上を歩くのは辛いこと。
ラティを早く「家族」に会わせたくて、無理したな。
・・・たく、ほかの人のために自分を犠牲にするなとあれほど・・・。
・・・しかたねぇか。それがカロルだもんな。
・・・俺はカロルの頭を優しくなでてやった。
「おやすみ、カロル。・・・俺の大切な『片割れ』。」
カロルをカロルのベッドに寝かせ、もう一度、頭をなでる。
・・・ちゃんと寝たのを確認して、俺も自分のベッドに入った。
「・・・はにゃ?朝かな?」
・・・朝日がまぶしい。
うーんと背伸びをし、はっと周りを見回す。
「・・・あぁ、宿に泊まったんでした。」
見慣れない景色に動揺するも、昨日のことを思い出して安堵した。
昨日、ついに僕たちは森を抜け、「家族」の一人がいるという「アスタリア」に到着したのだ。
でも、その時はもう夜遅くて・・・今日は宿に泊まって、明日探そうってなって・・・。
「・・・あ!あの二人は別の部屋でしたね。」
僕は別に気にしなかったんですが、フォカさんに
「バカか!男二人の部屋に女入れられねぇだろ!」
って怒られましたwww
さて、それなら二人と合流しなければ!
さっさと支度を済ませ、部屋を出る。
「あっ!おはようございます。ラティさん。」
向こうはもうすでに起きていたらしい。
「あっ!カロルさん!おはようございます。」
「・・・ラティさん・・・。」
挨拶した途端、いきなりフードをかぶせられた。
「うわ!?なんですか!?」
「・・・ここはもう街中なんですよ?ばれたらどうするんですか!?」
そうでした。僕は色髪。
ばれたら捕まってしまうかもしれない。
「・・・あっ。ごめんなさい。」
「・・・あんまり心配かけないでくださいよ?」
不安そうにするカロルさん。
・・・森を抜けているとき、誰もいないからとフードを取っていたんです。
二人にはもうばれてますし・・・。
この人なら見せてもいいという・・・信頼の意味も込めていたのですが・・・。
そうでした。ここは「アスタリア」。
そこまで大きくはないが、都市と呼ばれている。
物も人も多い。
気をつけなければ・・・。
「おーい。」
「あっ。フォカ!こっちです!」
手を振るカロルさんの目線の先にいたのはフォカさん。
あっ、そいえば、いませんでしたね。
「チェックアウトしてきた。・・・よし、行くか!」
「・・・それなんですけど、フォカ?」
首をかしげながらカロルさんは言った。
「・・・どこにいるんでしょうか?その子。」
「「・・・あ。」」
そいえば、あの蛇使いの黒フードの子は「翡翠髪の少女」がいるとしかいってなかった。
「・・・してやられたな。これは街中探さなきゃいけないやつじゃねぇか!」
・・・先ほど話したように、ここは都市と呼ばれてる場所。
大都市とまではいかないが、かなり広い。
・・・しかも、探しているのは「色髪」の子。
隠れているとしたら、探すのはもっと難しくなる。
「・・・とりあえず、街を歩いてみるか。」
「・・・そうですね。行きましょう、ラティさん。」
「あっ、はい!」
とりあえず、三人で探索することにした。
ここ、「アスタリア」は別名、「星の都」と呼ばれている。
その名の通り、夜には満天の星空が眺められ、運がよければ流星群とかも見れるらしい。
自然に囲まれた土地に、赤レンガの建物が並ぶ、ちょっと古風な感じの街。
・・・パンフレットの写真を見ての感想ですが。
奥にある一番高い建物は「王都」と呼ばれるお城。
つまり、この街の偉い人が住んでいる場所。
その下に「城下町」?が広がっている。
「・・・『王都』にいたらなにかしら情報入ってくるだろうから、おそらく『城下町』にいると思うんだけどな。」
そういって城下町を探索する僕たち。
いろんなお店やお家が並んでいる。
迷子になりそうだ。
辺りを見渡しながら探索していると・・・。
「離してください!」
人の叫び声が聞こえた。
「!?」
聞き覚えがある、この声。
フォカさんでも、カロルさんでもない・・・。
誰?
『姉さん!僕、空飛べるようになったんだよ!』
「よかったね!***。」
『うん!』
・・・気がついたら、僕はその方向に走っていた。
この声は・・・。
「!?ラティ!?」
「どこ行くんですか!?」
後ろの二人の声も気にしないで走っていく。
この先に・・・いるんだ。
僕の・・・大切な・・・。
声を頼りにたどり着いた先にいたのは、
「!?あなたたちは!」
「ん?誰だ、お前?」
・・・「黒い集団」
そして、そのうちの一人が押さえつけていたのは
「・・・うそ・・・姉・・・さん?」
翡翠髪の・・・あぁ。この子だ。
「・・・離せ。」
「!?」
自分の声とは思えない、低い声が出た。
あぁ、僕は今、怒っているんだ。
どうして?・・・大切な「弟」が泣いているから。
・・・そうか、あの子は僕の「弟」なんだ。
・・・僕の・・・「家族」なんだ。
「・・・っ!こいつは渡せねぇな!やれ!」
「黒い集団」が襲い掛かってくる。
こないだの時より多い!軽く20人はいる!
「(前と同じ技は・・・?だめだ!植物がない!)」
こないだは「星の加護」というものを使って倒した(倒してはいないか)。
その時は、木に触れて何か「光」を集めて攻撃したはず。
でも、そばには木どころか、雑草すら生えてない。
「黒い集団」はすぐそこまで迫っている。
やられる!
そう思ったときだった。
「・・・少し下がれ、ラティ。」
上から声が聞こえた。
この声って・・・。
僕は逃げるように走った。
「ふっ!逃がすかぁ!」
走ってくる「黒い集団」。
「すべてを吹き飛ばせ!『ハイ・ウィンド』!」
突如、突風が巻き起こる。
「うわぁ!」「なっ、なんだ!」
驚きを隠せない「黒い集団」。
「・・・たく、しゃあねぇやつだな。あんたも。」
「やっぱり!フォカさん!」
上にいたのは両翼で羽ばたく、フォカさん。
「ハァ・・・やっと追いつきました。」
「!カロルさんも!」
走ってきたのであろう、息を切らしているカロルさん。
声聴いた瞬間、走り出しちゃったから・・・。
「だっ大丈夫ですか!」
「だ、大丈夫「なわけねぇだろ!日陰で休んでろ!カロル!」あっ、ごめんなさい、フォカ。」
フォカさんに怒鳴られ、仕方なく日陰に入るカロルさん。
・・・少し、ふらふらしている・・・。
・・・もしかして、無理させてしまったかな?
暑いの、苦手って言ってたし・・・。
今すっごいサンサン太陽だし・・・。
「・・・ご、ごめんなさい。」
カロルさんのもとに駆け寄る。
「謝ることはないですよ。おかげで見つかったじゃないですか?」
翡翠髪の・・・僕の「弟」を指差す。
「・・・ったく、いきなり走り出したから何かあったのか?って思って来てみたら・・・これだよ。」
しかたねぇな。と言いつつ、もう一度両翼を振り下ろす。
「すべてを切り裂け!『かまいたち』!」
あの時と同じ・・・いや、こないだより多いかもれない。
無数の風の刃が「黒い集団」を次々と切り裂いていく。
「うわぁ!」「こいつ、こないだのやつか!」
あたり一面、血で真っ赤に染まっていく。
「・・・あの、フォカさん・・・。」
心配になって話しかける。
「・・・心配するな。翡翠の女には当たらないようにしてる。」
ただ、一緒にいるやつが倒せねぇなと呟いている。
・・・あれ?
「・・・フォカさん?」
「あ?今度は何だよ!?」
「・・・あの子、男の子です。」
「・・・は?」
「・・・え?」
「・・・うそぉ!?」
三人三様の返事ですねwww
まぁ、髪長いですし、顔も可愛いので間違えるのも無理はないと思うんですけど・・・。
「・・・でも、あいつは確か『翡翠髪の少女』って・・・。」
「・・・僕の記憶が正しければ弟です。その子。」
・・・しばしの沈黙。
「・・・君も同類なの?」
口を開いたのは意外にも最後に残っていた「黒い集団」の一人だった。
「ん?同類ってどうゆうことかな?」
じりじりと、彼に近づいていくフォカさん。
あれ?デジャブ?
「え!?えっとぉ・・・。」
おそらく言ってはいけないことだったのであろう。
かなり焦っている。
「あ!こうすりゃいいのか!」
そう言って、フォカさんは右翼をほいっといいながら振り上げた。
強くはないが、風が吹いた。
そして、その風は、彼のフードを取った。
「!?」
全員が目を疑った。
「・・・マジかよ・・・。」
「嘘・・・あなたも・・・。」
「・・・同類って、そういうことだったの?」
こちらも三人三様の反応。驚くのも無理はない。
「・・・紫色の・・・髪。」
風になびく長い紫色の髪。
そう、彼も「色髪」だったのだ。
「・・・マジか・・・色髪が・・・三人も?」
「色髪」は珍しいといわれていたはず。
なのに、何で?
「・・・お前さ。」
フォカさんが、口を開いた。
「・・・男・・・だよな?」
・・・おーいwww
「まずそこからですか!?」
いろいろ聞きたいことがあるのは分かる。
なぜ、それを最初に聞いたの、フォカさん!?
確かに、長い髪に可愛い顔してますけど!?
「・・・男ですよ!まったく・・・『あの人』と同じこと聞かないでくださいよ!」
・・・え?「あの人」って・・・。
「『あの人』って、俺のこと?」
突然、上から声が聞こえた。
正しくは屋根の上。
「いっ・・・あっ、あなたは!」
「・・・お前!あん時の!」
そこにいたのは、前に会った黒フードの人。
「はいはーい。みんな動かないでね?」
・・・黒フードということは、この子の仲間?
「!!てめぇ!こないだはよくも・・・。」
「はいはい、動かない。大事な『相棒』がどうなってもいいの?」
よく見ると、カロルさんの首にいぞそやの電気蛇が巻き付いている。
その歯はカロルさんの首に刺さっていた。
「いっ・・・。」
「・・・チッ。今度は何の用だよ!?」
「というかさ・・・。」
フォカさんの言葉を気にせず、ジロジロとカロルさんを見る。
「な、なんですか?」
「ぶっ、人のこと言えねぇwww」
突然笑い出す蛇使いの黒フードの人。
「えっ?こいつも可愛いじゃんwwwというか何?デスラくん、フード取っちゃったのぉ?あっ!取られたのかwwwばっかじゃねぇのwwwしかも、翡翠の子いつの間にか別のフードの子のところいるしwwwこれって逃げられたんじゃねwwwマジかよwww怒られるの俺なんだけどwwwなに?わざとなの?俺に怒られたいの?マジで?おいおい、もう少しリーダー気遣えってwww」
長い長い文章お疲れ様ですwww
というか笑いすぎじゃありませんか?
「・・・帰ってください、ワイトさん。」
「うわっ!冷たいよ、デスラくん!」
・・・ナニこれ?
「・・・あんさぁ・・・。」
あっ。フォカさん・・・?
「あ・・・おこなの?」
「おこに決まってんだろ!このクソ蛇野郎!」
「うわ!ひどっ!」
あーあ、これはおこですねwww
「とりあえず、カロルに巻きついてる蛇離せ!」
・・・あっ、あのー?
「えぇ?離したら絶対『かまいたち』してくるんじゃん!」
「当たり前だろ?お前だけはぜってぇ許さねぇよ!」
・・・。
「えぇ?まじっすかぁ?・・・電気蛇大量に呼ぶぞ!」
「フン!全部吹き飛ばしてくれるわ!」
あーあ。大変なことになってますねwww
血まみれの中に大量の電気蛇うじゃうじゃいるわ、
風はびゅんびゅん飛ぶわ。
・・・喧嘩始まっちゃったよwww
「・・・姉さん・・・だよね?」
あっ、忘れてた。
そいえば、あの言い合いの隙にこっち来てたんだっけ?
・・・僕の大切な「弟」。
「・・・『ルメス』・・・でいいんですよね?」
「・・・そうだよ・・・姉さん。」
・・・あれ?間違ってないよね?
というか、泣いてる!?
「っ、姉さぁーん!」
「うわぁ!?」
ものすごい勢いで抱きついてくるルメス。
・・・僕より、大きい・・・。
「会たかっら!今までどこいってたんですかぁ!」
僕の胸で泣くルメス。
・・・伝えなきゃ。
「・・・ルメス、よく聞いて?」
背中をなだめるようにしてなでて、静かに言った。
「・・・僕ね、記憶がないの。覚えてるのは『家族』がいたことだけでね?」
「・・・何いってるの?姉さん。」
え?
予想外の反応に少し戸惑う。
「記憶ないのは元からでしょ?」
・・・え?
「は!?ちょっと待て!?どうゆうことだよ!?」
「それって・・・どういう意味ですか!?」
僕が記憶ないのは・・・昔から・・・?
呆然としている僕を見て、はっとした顔をしてルメスが言った。
「・・・詳しいことは家で話そう、とりあえず、帰「なぁにしてるのかな?二人とも?」!?」
だっ、誰!?
「・・・あっ、ノアルさん。」
「あぁあ!ごめんなさい!ノアルさん!」
ノアルさんと呼ばれたこと人に謝るワイトさん。
この二人のお仲間さんかな?
「デスラ君が『あいつら』と『翡翠髪』探しに行ったっきり帰ってこないから、呼びに行ってくれって頼んだだけなんだけどなぁ・・・。」
・・・あっ、これは?
「そしたら、デスラ君はフード取ってるし、ワイトさんはボロボロだし?」
どういうことかな?これは?と笑顔(フードで顔は見えないがおそらく笑ってる)で二人を見るノアルさん。
あっ。おこですねwww
「「ご、ごめんなさい!」」
・・・この人すごいなwww
というか、残りの三人唖然としてるしwww
「さてさて、面倒事も片付いたことだし・・・。」
そういって、こちらを見るノアルさん。
・・・待てよ!?黒フードってことは!?
「・・・行こうか、ルメス君?」
ですよね!
うんって言っちゃだめだからね!この人たち悪い人だからね!?
「・・・茶番だったんですか。てっきり本当に裏切ったかと思いましたよ。」
・・・え?どゆこと?
「・・・ルメス?この人たちと知り合いなの?」
恐る恐る聞く。
まさか、敵の味方してるとかじゃないですよね!?
「うん。だってこの人たち、僕らの『仲間』ですもの!」
・・・言い方からして、あっちの味方ではなさそうですね・・・。よかった。
「じゃあ、何であの時攻撃してきたんだよ!」
「えぇ?・・・ちょっと遊びたかったから?」
ワイトさんの胸倉をフォカさんが掴む。
・・・え?またですかwww
「遊びだぁ?カロル死にかけただろうが!」
「や、やりすぎたと思ったから、薬草置いておいたでしょ!?」
「そういう問題じゃねぇ!」
あーあ、また喧嘩が・・・。
「・・・二人とも・・・。」
二人の動きが止まる。
あ。ノアルさんおこだ。
「あんまり騒がないで。こっちは『色髪』五人いるの。ばれたら大惨事でしょ?というか、デスラ君フードかぶって、これから表通り出るから。あっ、ルメス君もね。」
「「ハーイ。」」
保護者だ・・・。
・・・?待てよ。
「・・・『色髪』が五人?」
「あぁ・・・君になら見せてもいいか。」
ノアルさんが少しだけ、自分のフードを上げる。
「・・・銀髪?」
「そう。もう見たと思うけど、デスラ君、あとはワイト、それにルメス君、私・・・そして、君、ラティ君ってわけ。」
・・・色髪って珍しいんだよね?
というか・・・
「何で僕が『色髪』だって分かったんですか?」
僕は一度も彼の前でフードを取っていない。
なのになぜ、分かったのか。気になった。
そういうと、ノアルさんはうーんと考えながら、
「君の『兄弟』から聞いた。と言えばいいのかな?」
と言った。
兄弟から!?
ほかにも兄弟と知り合いなのか。
・・・まだまだ聞きたいことがあったが、
ノアルさんはいまだ止まらないフォカさんとワイトさんの喧嘩を止めに行ってしまったので、
後で聞こうと思った。
「・・・ところでルメス、どこへ向かってるんですか?」
歩き始めてから、ずいぶんと時間が経つ。
にぎやかだった街中とは一変、静かな平原を歩いている。
「それはね・・・?」
ルメスが、くるりとこちらを振り返った。
男の子とは思えない長くて綺麗な翡翠色の髪。
アメジストのような、紫色の瞳。
何より、家族の癒しと言われていた満面の笑みを僕に向けている。
・・・変わってないんだね。僕の記憶の中の君と。
そんなことを思っていると、教えてほしくないの?という目で見てきたので、ごめんね。ちょっと懐かしくてっと返しておいた。
「・・・今から行くのは、僕らの家。・・・家族の家だよ、姉さん。」
僕らの・・・家?
「・・・そこに行けば、『家族』に会えるの?」
僕の記憶が正しければ、あと「7人」家族がいるはず!
やっと、みんなに会える!
・・・でも、僕がそう言った瞬間、ルメスの顔が曇った。
「・・・行けば分かります。」
立った一言だけ言って、ルメスは先に行ってしまった。
「・・・ルメス・・・。」
・・・あなたは、何を隠しているんですか?
・・・僕のいない間に、何があったんですか?
なくした記憶と、何か関係があるんですか?
「・・・ここですよ。」
たどり着いたのは小さな教会。
こんな町外れのところに、教会があったんだ。
「・・・姉さん。」
うつむいた表情で問いかけるルメス。
「・・・何を聞いても驚きませんよ?だから、話してくれませんか?」
やっぱり、何か隠してるんだね?
大丈夫、覚悟はできてるよ。
教えて、僕の記憶にないところで、何があったの?
「・・・驚かないでね?」
「うん。」
ルメスはすっと深呼吸をし、静かに言った。
「・・・今、ここには僕を含め、家族は『3人』しか残ってないんだ。」
「・・・え?」
僕の記憶にある家族は彼を含め「8人」。
つまり、「5人」いないってこと?
「じ、じゃあ、残りの『5人』はどこに行ったんですか!?」
攻めるような言い方をしてごめんね。
でも、知りたいんだ、真実を。
「・・・生きてるんだよね?」
うつむくルメス・・・嘘でしょ・・・。
「5人」は・・・もう・・・。
「はいはーい!そこまで、続きは中でしようか?」
突然、見知らぬ声が聞こえた。
声の主は教会の入り口に立っていた。
黒フード・・・だけど、悪いやつではない気がした。
「こんなところで話して万が一『あいつら』に聞かれてたらどうするの?」
あいつら・・・「黒い集団」のことだろうか?
「まず中に入って・・・おっと、その前に。」
彼は後ろを向き、おいでおいでと手招きした。
「・・・ラティお姉さん?」
「・・・ラティ姉さん?」
彼の後ろから、二つの人影が出てきた。
フードをかぶって、顔はよく見えないが僕には分かった。
「この子達は「待ってください!」・・・わかった。」
・・・あの子達も、僕の「兄弟」だ!
思い出して・・・大切な「家族」の名前。
・・・そっか。僕は3人も「色髪」の弟がいたのか。
『ラティお姉さんの歌、大好きなんです。』
誰よりも頑張り屋で、優しい。ラベンダー色の弟。
あなたのほうが、歌がうまいのにね。
「・・・『ダルフ』?」
ゆっくりと指を差しながら言う。
間違ってたらごめんね。ダメなお姉ちゃんでごめんね。
・・・僕はお姉ちゃん失格だね。
「・・・そうだよ。ラティお姉さん。」
そして、もう一人は・・・。
『ラティ姉さん、これ、姉さんのために作ったんです。』
最年少なのに賢くて、ものづくりが得意な黄金色の弟。
なんとなく手放せなかった、小さな双銃、あなたが作ったんだよね。
「・・・『リエル』?」
今度はもう片方の彼を指差す。
「・・・そうですよ。ラティ姉さん。」
・・・やっと。やっと会えたんだ!
僕の大切な「弟」たち!
自然と涙がこぼれてくる。
無意識に両手を広げる。
・・・きっと、いつもやっていたのだろうか?
「・・・おいで、僕の『弟』たち。」
「「「っ!姉さん!」」」
一番最初にダルフ、それを追うようにリエル・・・いつの間にか後ろからルメスが僕を抱きしめていた。
悔しいな。僕のほうが年上なはずなのに・・・。
「・・・見ない間に大きくなったね。」
みんな、僕の背丈を越してしまったんだね。
あっ、僕が小さいままなのかwww
「ごめんね・・・何も覚えてなくて・・・ごめんね。」
僕も抱きしめ返してあげる。
「いいんです。僕らの名前を思い出してくれただけで・・・それだけで十分です!」
可愛い可愛い僕の弟たち。
それぞれの頭をなでながら思う。
・・・これが「感動の再会」と言うやつだろうか。
・・・でも本当は、もっといるはずなんだ。
・・・ほかの子達は、どこに行ってしまったの?
「・・・さてさて、感動の再会も終わったって事で話を進めていいかな?」
先ほどの黒フードの人が近づいてくる。
何か小さく、ぼそり。と言った気がするが気にしないでおこう。
「・・・とりあえず、中入ろうか。」
そこ、喧嘩してないで入るよ。と遠くに語りかける黒フードの人。
よく見ると、ノアルさんでも止められなかったのかさっきまで喧嘩していたのであろうボロボロのフォカさんとワイトさん、おどおどしてるカロルさんとデスラさん、そして巻き添えを食らったのであろうノエルさんがいた。
「・・・とりあえず、中は入りましょうか?」
こうして、みんなで教会の中へ入っていった。
案内されたのは教会内にある談話室。
みんなが座っても余裕があるくらい広い。
こんなところあるのか、我が家には!
「さてさて・・・まず何から話そうか・・・。」
「・・・とりあえず、あんた、フード取れば?」
先ほど、まとめて治療されたフォカさんが不機嫌そうに言う。
まだ根に持ってるのねwww
「あっそっか!わっちのこと覚えてないんだもんね!ごめんごめん!」
「・・・は?」
「・・・え?」
「・・・どういう・・・ことですか?」
そっかそっかと言いながら、自身のフードをはずす黒フードの人。
「!?・・・嘘・・・だろ?」
「あなた・・・は。」
驚くのも無理はない。
フードを取った先にあったのは「赤色」
『俺らのリーダーも、「色髪」だったはずなんだ。』
「カロルさんと、フォカさんの『お仲間』さん?」
「あぁ・・・まぁ、そんなとこかな?」
一瞬、顔が曇った。この人も何か隠しているのだろうか?
「・・・二人とも、わっちの顔、忘れたとは言わせないよ?」
二人の顔を覗き込む赤・・・いや、「真紅色」の人。
「「・・・『ウリエ』さん・・・。」」
「ふふwwwさすが!息ぴったり!」
・・・二人も会えたんだね。大切な仲間に。
二人とも涙目になってる・・・。
「思い出さなかったらどうしようかと思ったwww・・・よく帰ってきてくれたね。」
二人の頭をなでるウリエさん。
心なしか、二人が笑ってるように見えた。
・・・感動の再会だ・・・。
・・・撫で返したりとかはしないのかな?
そういうタイプじゃないかwww(会って数日しか一緒にいないけどwww)
「・・・さてと、とりあえず、今の状況を説明しようか。」
二人を撫で回して満足したのか、ウリエさんが話し出す。
「・・・おそらく、ラティさんが知りたいのは『残りの家族の居場所』だね?」
「!!・・・はい!」
お願い!どうか、無事でいて!
「・・・。」
ウリエさんは一息ついてこう言った。
「残りの家族・・・そして、わっちの残りの仲間たちは」
「『王都』にいる。」
Chapter 3 END
長らくお待たせいたしました。作者です。
今回は舞台は変わり、「アスタリア」へ!
ここが、第二幕の舞台になります。
そして、続々と登場した新キャラたち。
複線だった蛇使いの「黒フード」さんの正体も出てきました。
しかも、全員「色髪」。なんということでしょうwww
彼らはなぜ「黒い集団」に紛れ込んでいたのでしょうか?
そして、ついに登場したラティの『家族』。
驚きの『色髪』率でしたねwww
しかも「少女」ではなく「少年」でしたwww
ちょっと遊びました。ごめんなさいwww
しかし、全員いないのはなぜでしょう?
何か、訳があるようですが・・・?
そして、フォカ、カロルのリーダー、ウリエも登場。
彼は何かを知っている様子でしたが果たして・・・!?
・・・そして、冒頭のフォカの夢。
彼らは一度会っているようです。
神様の『生贄』とは一体・・・。
そして、この二人にも、何か秘密がありそうです。
・・・新キャラも続々登場で物語は急展開へ!
次回はついに!真相が暴かれる!?
なぜ、残りの人たちは『王都』にいるのか。
そして、フォカの夢の正体が明らかに!?
・・・次回も少し更新が遅れるかもしれませんが、気長に待ってくれるとうれしいです。
後、質問、意見、リクエストなども受け付けようと思っています。
質問→物語の中で疑問に思うこと、できる限り答えます。
意見→ここをこうした方がいいなどのアドバイスいただけたらなぁと思ってます。
リクエスト→現在出ているキャラのこういう感じのを見てみたいななどあれば。
番外編にして出すかもです。
それでは、今日はこの辺で!次回またお会いしましょう!
バイバイ!