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サラリーマンの不死戯なダンジョン  作者: 昼熊
第九ステージ

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76/111

最後の確認

 休憩所は相変わらず代わり映えのしない、同じ内装をしている。

 ガラス板三枚に水場。出口らしき扉。そして青い光を放つセーブポイント。それだけだ。

 まずは、定番、お決まり、マンネリのガラス板確認と洒落込むか。

 どうせ三回戦があるのだろうが、新たなルールでも提示されていないかとガラス板の一枚に手を触れた。


 ――二回戦突破したようだな。第九ステージはこれで終了だ。クリアーおめでとう――


 あれで終わりなのか……予想外だ。ここまで人の神経を逆なでして、精神を蝕む仕様を盛り込んできた製作者にしては、気持ち悪いぐらい素直な幕引きなだけに疑いが晴れない。

 何とか第九ステージを突破できたということか。実感が全くわかない。もう一試合はあると考えていただけに肩透かしをくらった気分だ。

 まあ、これで終わりなら文句は無いはずなのだが、正直もやっとする。頭を切り替えて、続きを読むか。


 ――お待ちかねのご褒美タイムの前に、最終ステージについて触れておく。次の第十ステージをクリアーしたら、キミはここから解放され、なんでも一つ願いを叶えられる。可能なものに限るが――


 じゃあ、何でもじゃないよな。と心の中で一応突っ込んでおく。


 ――第十ステージの概要なのだが、迷宮探索となっている。と言っても一層のみだ。上下に繋がる階段も存在しない。広大な迷宮の何処かに強力な魔物が存在しているので、そいつを倒せばクリアーとなる――


 ここに来て初めてファンタジーによくある展開になってきたぞ。迷宮探索か。ゲームや異世界転生系の小説でありがちなパターンだが、それって普通序盤に持ってくるよな。

 この展開だと、まるで今までがチュートリアルとでも言いたいのか。


 ――ここまで生き残ったプレイヤーたちが一斉に迷宮へ挑むこととなる。そのうちの誰がボスを殺してもクリアー条件が満たされるので、協力プレイを推奨しておこう。そうそう、何度も言うようだが、迷宮は広大だ。なので、エリアの至るところにセーブポイントを設置している。迷宮内で死んだ場合、記録したセーブポイントからの復活になるので活用してくれ――


 完全に迷宮探索型のロールプレイングゲームだな。

 他のプレイヤーとの協力プレイはありなのか。ここまで生き延びてきた連中なら味方にできれば頼もしい限りだが……俺と似たような経験をしてきたのなら、素直に信じて背を預けるには不安がある。

 ここまで生き延びてきたプレイヤーは、俺と同様に人を信じる心が残っているのだろうか。

 それに誰でもいいからクリアーすればいいというのは、ライフポイントが少ないプレイヤーを尻込みさせる仕様だな。自分は安全地帯で誰かが攻略してくれるのを待つ。このことにより有能なプレイヤーが役に立たなくなる可能性も考慮しないと。


 ――それ以上のことは、実際に体験しながら学んでくれ。では、お待ちかねの褒美を選ぶがいい。


 一つ、第九ステージ突破クエスト達成による経験値。

 一つ、第十ステージのマップ。

 一つ、武装の強化。

 石の棍 → 伸縮自在の棍

 コンパウンドボウ → コンパウンドボウ改


 次で最後となる。ここまで来たのであれば、私の期待を裏切らないでくれよ――

 

 勝手に期待をしていろ。またも悩ませてくれるラインナップだな。一つ目の経験値は除外するとして、マップと武装強化か。

 マップの精密さにもよるが、あると無いとではクリアーの難易度が変わってくる。出来れば欲しいが、誰か仲間を得た時、その人がマップを所有していた場合、一つが無駄になってしまうんだよな。

 まあ、他のプレイヤーも同じことを考えて、結局誰もマップを選ばないというオチが待っていそうではある。


 もう一つの武装強化はゲームでありがちな設定なのでわかりやすい。

 所有している武器がワンランク上に進化する。伸縮自在の棍ってつまり、西遊記に出てくる如意棒だよな。使い勝手のいい便利な機能が増えることは確かだ。

 コンパウンドボウ改というのは、威力や精度に磨きがかかるということだろうか。ゲームで言うところの攻撃力、命中率のアップなら、第十ステージでの更なる活躍が期待できる。


「決めるのは、ステータスを確認してからだよな、やっぱ」


 第九ステージで俺はかなりレベルアップをしている。特殊能力も更に強化されているのは間違いない。自分が強くなっている確かな手応えを感じていた。

 褒美を表示しているガラス板から手を離し、次は真ん中のガラス板に触れる。


 山岸 網綱 レベル95

 体力  81→242 +4000

 精神力 77→253 +4000

 筋力  83→245 +75

 頑強  83→251 +75

 器用  77→272 +75

 素早さ 73→237 +75


 特殊能力 『不屈』2→4『熱遮断』6『石技』7→10『気配察知』7→10『暗視』5→8『棍技(我流)』7→10『体幹』7→15『咆哮』6→8『野生』6→8『危機察知』7→10『火操作』5→10『発火』5→10『麻痺耐性』4『幻覚耐性』4『毒耐性』4『回復力』2→5『木工』3→5

 new『射撃』5『隠蔽』5


 ライフポイント 31/105

 持ち物 特製石棍(不壊) バックパック(サバイバル用品一式) 純白のロングコート(不壊) 純白のロングブーツ(不壊) 大工道具一式(不壊) コンパウンドボウ(不壊)


「おっ、これは……」


 自分が強くなっている自覚はあったが、まさかここまで伸びているとは。

 レベルは30から一気に95まで上がっている。第七ステージで織子たちのステータスを見たのだが、彼らがあれから褒美で、レベルアップを選んでいたとしても、レベルは最高40止まり。レベルだけでも倍以上の開きがある。

 あの時の数値を参考にして考えるなら、身体能力だけでも三倍は差が生まれている。そりゃ、四人相手に立ち回れるわけだ。


 特殊能力も耐性を除いて軒並み上昇している。10に達して進化を待つ能力も幾つかあるな。進化は今のところ全て能力が強化されている。進化を選んで問題は無いと思うが、気を付けるに越したことはない。

 まずは『石技』に触れてみた。


 ――石技を石の匠に進化させますか? はい いいえ――


 石の匠って何だ……。石に対して詳しくなりそうだよな。あー、まあ、大丈夫だろう。

 はいを選ぶと『石技』10が『石の匠』1に変更された。体の変化は全く感じないし、身体能力にも変化が無い。実証は後に回そう。

 次は『気配察知』か。この能力にはかなりお世話になった。いやがうえにも期待は高まる。


 ――『気配察知』を『気配操作』に進化させますか? はい いいえ――


 ん? 少し予想外の進化経路だな。気配を操作するというのは理解できる。たぶん、気配を殺したり、別の気配を纏ったりできるのだろう。新たに習得した『隠蔽』と合わせて使用すると凶悪な力を発揮しそうだ。

 しかし、相手の気配を読むという能力は残されるのだろうか。それによって、進化するかどうか、大きく変わってくる。


「取り敢えず、保留かな」


 今度のはどうなるのか予想もつかないが。


 ――棍技(我流)を棍技(網綱流)に進化させますか? はい いいえ――


 これは、流派を名乗れるぐらいに棍裁きが様になったということなのだろうか。これなら劣化することはないだろう。『棍技(網綱流)』1に進化をさせておいた。

 『体幹』は15まで上がっているが進化はしないようだ。

 次は結構期待している。第九ステージで何度も助けてもらった『危機察知』だが、何に進化するのか、楽しみだな。


 ――危機察知を未来予知に進化させますか? はい いいえ――


 未来予知ときたか。これは凄くないか? どれだけ先の未来が見えるのかは知れないが、かなり使い勝手がいい筈だ。これも進化させよう。

 『危機察知』10が『未来予知』1となった。

 あと進化できるのは『発火』と『火操作』か。さて、どんな能力になることやら。


 ――発火と火操作を融合させ炎使いに進化させますか? はい いいえ――


「融合?」


 思いもしなかった進化方法に間の抜けた声を漏らしてしまった。

 融合か……そんなパターンもあるのか。炎使いの能力はおおよそだが、想像はつく。

 そのまま、二つの特殊能力をまとめて扱いしやすくした感じだろう。

 これは、デメリットもない筈だから『炎使い』に進化しておく。

 あとは保留しておいた『気配操作』をどうするか。今のところ進化させて後悔したことはない。上位互換になるよな、きっと、たぶん。

 今よりも上を目指さなければ生き残れないステージばかりだった。留まることは死を意味する。罠だったとしても、俺は進化を選ぶべきだ。

 『気配察知』10が『気配操作』1変化した。これで進化終了となる。


 仕事もそうだが煮詰めると、見落としやミスが発生する何て良くある話だ。ちょっと休憩しようか。

 湧き出ている水を汲み、杉矢がポイントを消費して得てくれた食料の一部を取り出して、食事にした。食料はまだ結構残っているので、俺一人だけなら後三週間ぐらいは余裕で暮らせそうだ。

 少し休憩したら、本命の褒美選びをしないとな。もう一度じっくり考えるか。

経験値は敵を倒したら貰えるので今更必要ない。マップはあれば楽になるのは確実なのだが、他の人とダブる可能性と、もう一つの褒美が魅力的過ぎて選ぶのは勿体ない気がする。


 武装の強化が一番目に見えて効果が理解しやすい。選ぶとするなら、棍とコンパウンドボウのどちらを強化するのか。

 攻撃力が増すことが安易に想像できるのはコンパウンドボウだが、自在に縮小できる棍というのは利便性が高い。悩みどころだ。


「あー、でもなー、うーん、ああ、どうかな……」


 今までなら悩んでいると黒虎が気遣って、相槌を打ってくれるのだが、一人だと虚しいだけだな。次は迷宮だということも考慮して決めないと。

 幾つものパターンを脳内でシミュレーションをして導き出した答えは――伸縮自在の棍だった。

 コンパウンドボウは現時点でかなり役立ってくれている。強化しなくても、今後も主戦力として活躍してくれるだろう。

 最後にもう一度、ステータスを確認しておく。


 山岸 網綱 レベル95

 体力  242 +4000

 精神力 253 +4000

 筋力  245 +75

 頑強  251 +75

 器用  272 +75

 素早さ 237 +75


 特殊能力 『不屈』4『熱遮断』6『石の匠』1『気配操作』1『暗視』8『棍技(網綱流)』1『体幹』15『咆哮』8『野生』8『未来予知』1『炎使い』1『麻痺耐性』4『幻覚耐性』4『毒耐性』4『回復力』5『木工』5『射撃』5『隠蔽』5


 ライフポイント 31/105

 持ち物 伸縮自在の棍(不壊) バックパック(サバイバル用品一式) 純白のロングコート(不壊) 純白のロングブーツ(不壊) 大工道具一式(不壊) コンパウンドボウ(不壊)


 たぶん、これが自分の能力を確認する最後になるだろう。

 泣いても笑っても最後のステージ。第十ステージを超えた先に何があるのか。製作者の約束が守られる保証など何処にもないが、どのような状況であっても対応できるように自らを鍛えておくしかない。


「生き延びるぞ……黒虎」


 胸に手を当て、消えた黒虎に声を掛ける。

 この休憩所も見納めになるのか。このふざけた世界で唯一の憩いの場所だった。ここも製作者の造った物なのだろうが、休憩所だけは評価してもいい。

 扉を開け放ち、最終ステージに進む前に休憩所へ振り返り、その目に焼き付けておいた。


第九ステージはこれで終了となります。

残すは第十ステージ。あと一息頑張らないといけません。



追記

日間ランキングを順調に駆け上がっていき、現在23位になりました。これも皆様のおかげです。

今後とも宜しくお願いします。

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