表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サラリーマンの不死戯なダンジョン  作者: 昼熊
理不尽なゲーム開始

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/111

五回目

 死んだ、また死んだ。

 今度は楽に死ねた。それだけだ。

 前の死に方に比べたら楽なもんだ。だけど、それだけだ。

 

 抵抗しなければまた食われる。

 そして蘇る。

 また食われる。

 蘇る。

 食われる。


 これが永遠に続く。

 終わらない、何も終わらない。

 だったらどうすればいい。あの痛みを味わってまで生き延びないといけないのか?

 死ぬことに対する恐怖はかなり薄れてきたと思う。繰り返すことにより恐怖に対する抵抗力がついたのかもしれない。

 だったら、痛みも慣れるのか? 慣れるまで俺は食われ続けるのか?

 このまま抵抗もせずに毎回食われ続けたら俺はどうなるのだろう。

 ただ、座り食べられて時間が巻き戻る。


「何だそれ……」


 食われる為だけに時間を逆行するだけの存在。

 何回繰り返したら、俺は何も感じなくなるのだろうか。

 嫌だ、嫌だ。死ぬのには慣れてきた。でも、嫌だ。

 こんな理不尽な状況を決して受け入れたくない。死ねないんだ、なら生きなければならない。

 そうだ、足掻かないと。死ねないなら生きる。単純じゃないか。

 俺はもう、五回死んだ。つまり、五回生まれ変わったようなものだ。生まれ変わるたびに速攻で虎の餌になるだけの人生。


「そんなの、人間じゃないだろっ」


 俺は前を見据える。

 何度も何度も俺を殺してくれた黒虎がそこにいた。

 右手を胸ポケットに突っ込み、ボールペンを掴み取ると握りしめる。こんなものが通用するとは思えないが、無いよりましだ。

 左手にはスマホを。


「グルウッ!」


 見るからに弱そうな俺が怯えることなく、自分を見ていることに警戒しているのか。一定距離から歩み寄ってこない。

 なら、俺から行くだけだ。

 一歩、また一歩、前へと踏み出す。


 俺の存在が不気味なのだろう。黒虎はじっと見据えているだけで、いつものように飛びかかってこない。

 あと数歩で、俺の攻撃が当たる距離だ。

 一気に走り込むと、俺はボールペンを掲げて突っ込んでいく。


 このまま、右手を相手の何処でもいいから振り下ろして突き立て――

 ぐしゅりという何かが砕かれた耳障りな音と共に、右腕の肘に以前味わった激痛があああああっ!


「い、痛えええな、糞があああっ!」


 食われた、俺の腕が食われたっ!

 くそ、くそ、心が挫ける。諦めろと誘惑してくる。

 嫌だ、嫌だ、もう嫌だ。だけど、だけど、ここで折れたら、また繰り返しだ!

 少しでも、前より少しでもっ!


「足掻いてみせるっ!」


 根性を、根性を見せてやる。おらっ、至近距離でこれをくらえっ!

 残った左手を相手の顔に向け、スマホで黒虎の顔を激写した――フラッシュ機能をオンにして!


「ギャンッ!」


 どうだっ、躾がなっていない糞猫がっ!


「ざまあみやがれっ!」


 よっし、今の、今の内に……。


「あれっ、歩かないと、逃げないと」


 心が逸るばかりで足が進もうとしてくれない。歩いてはいるけど、真っ直ぐに進めない。

 体が冷たい、震えるぐらい寒い。


 右腕から何か大切なモノが抜け出ていくような……。

 何か頭がぼーっとするな、右腕? あ、そうか、俺は右腕食われたのか。

 だから血がこんなにも……そうか。またか。

 でも今度は無駄死にじゃない。根性見せてやった……ぜ。



 『根性』1を取得。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] スキル根性、いいね まともな精神してたらこんなの耐えれるわけないだろ!って作品よくあるけどこのスキルで整合性取れるようになる 設定に違和感が無くなるから好きや
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ