こ、恋バナ…?
久しぶりに、お笑いで怒った。
なんなん、あの漫才っ!
田辺美来と住田香苗。夕陽しずかをいじめてる、最低な人間ども。
人をいじめて苦しめてるようなヤツが漫才なんかしても、何もおもろない。しかも、漫才の内容にまで人を侮辱するようなネタがくいこんできてる。お笑いをわかってない子は笑ってたけど、僕は一切笑わんかった。笑われへんかった。
たまたま隣に霧谷愛乃が座ってた。霧谷も、僕と同じくお笑いを愛する者として、拳を握りしめとった。夕陽の悪口が次々展開していく。霧谷は、壇上の田辺と住田を見つめた。
「そう、こんなヤツもおんねん、転校生で、バイオリンとかいう古くっさい楽器弾いてるお嬢様で、おしとやかぶってる!」
その瞬間、霧谷の表情ががらりと変わった。口元を両手で覆って、唖然としたように壇上を見上げる。
でも、次に沸き起こったんは怒りやな。霧谷は、勢いよく立ち上がった。
「今すぐ、壇上を降りて!」
静かやけどホールに響く、泣きそうやけど凛とした声。
辺りがざわついた。みんな、驚いた感じやった。けど、こんな声も聞こえた。
「よう言うた、霧谷」
「さすがやわ」
やっぱり、みんなもうすうす感づいてたみたいや。
霧谷の声は、舞台にも届いた。アホな田辺はきょとんとしてたけど、頭の回転が速い住田は、メガネの奥から霧谷をギロッと睨みつけた。
「はぁ?」
怖っ!でも霧谷はびくともせんかった。
「こんなの、お笑いじゃない!ただの悪口じゃない!聞いた人が、傷つくだけっ」
霧谷、かっけぇー!
結局、オンナの修羅場と化したホールを、レクの執行部であるタッキーがうまいことなだめて、一件落着したけど…
あれは許されへんなぁ。たかが女子の話でも。
「おい、ヤッキ。聞いてるー?」
目の前を、郁也の手が通り過ぎた。
「徹夜やでーー!もうボーッとしてどーすんねん!?」
タッキーが笑って言った。
そうや!今からお楽しみの「寝る前・トランプ・ゲーム」や!
あれ、徹夜って言ってた?
「あ、ちょっと待って。僕のトランプでいいでー!」
僕は急いでリュックからトランプを…
「おーい、ヤッキくーん?トランプ・ゲームなんてお子ちゃまのやることでっせー?」
ん?
杉原が、僕のパジャマの裾をぐいと掴んだ。
「あーれ、トランプじゃないん?」
ヤマが、ちっちっちと人差し指を揺らした。
「コ・イ・バ・ナ」
…は、はい?
「ウェッ!ヤマ、その言い方きっもー!」
郁也がゲラゲラ笑う。
あれ、コイバナって…何?
「じゃ、まだよくわかっとらんヤッキくんは後まわしで、先に杉原のコイバナからはじめよか。」
タッキーはそう言って、ペットボトルのお茶をくびくび飲み干した。
「おい、ヤッキ、わかってるやろうな…この話、絶対誰にも内緒やで?」
僕がちゃんとうなずいたのを見て、杉原は話し始めた。
「…俺のタイプは、カチューシャしてるヤツやねん。」
カチューシャ?カチューシャって何?
「おおおおぅっ!」
ヤマがポテチを頬張りながら雄叫びを上げた。タッキーが、「しっ!」ってヤマの背中を思いっきり叩いた。
「カチューシャって…誰がつけてたっけ?」
郁也が言った。
「あれやん、杉のぞみとか…」
杉原の顔が真っ赤になる。
ああ、分かった。『コイバナ』は、『恋話』や。つまり、自分の好きな女子のタイプとか好きな女子の話とかってことか。
「ええ!?杉原、杉のこと好きなん!?」
タッキーも大声を上げかけた。
「4年の時に初めて同じクラスになってんけど、ホラ、『杉』と『杉原』やから出席番号隣やん。そん時に初めて喋ってんけど、大人しくて目もクリクリしてるし。」
杉原、ようそんなこと堂々と言えんな…
「まぁ、高木グループの女子っていいヤツ多いもんな。」
郁也が言った。ソレ、郁也のフィアンセが高木グループやからやろーが。
「そーいや郁也、栄田とは進展してんの?」
郁也の恋話に移った。郁也は、小6に上がってから栄田蘭と付き合ってるらしい。
「まー、いい子やわ。栄田は私服が可愛い。」
郁也は、頭をぽりぽりかいた。
「ラブラブやな、リア充。あ、そーいやお前、栄田のことなんて呼んでるん?」
タッキーが訊いた。隣でヤマが、「らーちゃんとか?」って言いながらまたポテチの袋に手を突っ込む。
「普通に栄田やし。なんや、その「らーちゃん」て。」
「えーーー!栄田、かわいそっ!下の名前でくらい読んだりーや」
杉原が悲痛な声を上げる。
「蘭なんて名前可愛すぎて呼ばれへん」
爆弾…
「リア充爆発しろ!」
僕が恋話中での記念すべき第一声を発した。手をピストルの形にして、郁也を撃つ。
「なんやねんー、リア充ちょームカつく!」
あれ、さっきから思ってたけど、「リア充」ってなに?野獣の仲間?
恋話もそうやったけど、みんな「リア充」とか「カチューシャ」とかなんで知ってんねんやろ。あ、さっきの僕の「リア充爆発しろ!」はただ聞いたことがあるから言ってみただけで…
「郁也、栄田と付き合ってんのって親知ってるん?」
ヤマが訊いた。
「そんなん、言うわけないやん。そんなん知ったら大騒ぎやん。」
そら、そうやんな。けど…
「デートとか行くときどーするん?大抵休みの日やろ?」
訊いてみた。
「テキトーに友達と出かけてくるって言う。そしたらお小遣いの何千円かは貰えるし。」
はぁぁぁぁっ?
「お前な、誰と一緒に行くんとか訊かれへんの?どこ行くんとか。どれぐらいお金いるんとか。」
考えられへん。うちでは、「遊びに行く」って言ったら、「誰と?」、「どこで?」、「何時まで?」、「お金はいくらいる?」、「何をする?」、「どうやって行く?」、「そこは安全か?」とか…。質問攻めに遭う。郁也んちも僕んちと同じようなもんやろうから、いっぱい訊かれるんとちゃうんかな?
「はぁ?そんなん訊かれんの過保護のヤッキんちくらいやろ。」
杉原が言った。か、過保護っ!
「俺なんか遊びに行くーってだけ言って行くで。小遣いはテキトーに金庫からパチってく。」
ヤマが笑った。あかんやん、パチったら…
「まぁ、俺らみたいな野放しよりよくね?まだ俺ら小学生やで?ちょっとは大事にしてほしーわ。」
郁也が意味わからん、という風に眉を下げた。なんかムカつく。同じおぼっちゃま育ちのくせに。
でも、杉原の言う通り、僕のお母さんは重度な過保護障害や。なにかと僕をかばって、温めて、撫でまわす。でも、ほんまにやりすぎやと思う。みんなはもう自分で外で買い食いできて、世間のこともよう知ってて、語彙力も豊富やのに。僕は何もできひん。「泰紀はまだ子供でしょ」って言って、世間のことをなんも教えてもくれへん。
教育熱心で、でも優しくていいお母さんざますね、とか言われてるけど、いや、確かにそうやけど、ほんまに僕のお母さんはいい母親なんかな?子供を自立させることのできない、あかんたれの母親なんとちゃうんかな?
ああ、もっと自由になりたい。自分で、自分を管理して、いろいろ決めたい。
もっと、もっと…
うるさいな…なんか鳴ってる。
あ、目覚ましか。郁也のスマホか。今、何時やろ?僕の時計、時計…
7…7時15分か。…ん?
「おきろぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー!」
やばいーーーーーーーー!
「んー?ヤッキ、うるさいな…いまいいとこやったのによ…」
「起きろっ、起きろっ!やばいぞ、7時15分や!」
起床は6時半。ホテルレストラン集合が、7時15分!ヤバし!
「えっ、うそっ」
「はよせな!」
タッキーが最初に起きた。急いで着替えて、とりあえず布団を端っこによける。
布団を動かし始めたら、杉原と郁也がやっと起きた。寝起きやから、動作がノロい。
「おい、ヤマ!」
ヤマは、ステーキを食べる夢をみていたんか、口の周りがヨダレで白く固まってる。汚い…
「はよしろーーー!」
タッキーは、強引な方法に出た。ヤマの腕を掴んで、畳の上を引きずり回す!
「なんやねん!言われんでも起きるわ!」
起きひんかったくせに…。寝起きのヤマは、ちょー機嫌悪い。
「よし、とりあえず行こか。」
杉原は、目をショボショボさせながらドアを開けようとした。
「おい、杉原、ズボン逆!しかもパンツ見えてる!」
僕が指摘してあげた。
「うわっ!」
杉原が畳部屋に戻ろうとして、焦って、バタン。
「最悪ーー、寝ぐせなおらんー(泣)って、杉原のパンツ、クマちゃん柄!ウワハハハハ」
と、郁也。
「何、熊肉食べれるって!?」
と、Tシャツからちょっとお腹の出たヤマ。
「あ、あそこに怒った太田先生が…」
と、幻覚に襲われたタッキー。もう、間に合わんやろう。誰もが確信していた。
「さ、行くで!」
1番しっかりしてんの、僕やん!僕は、よたよたの4人を引き連れてホテルレストランの集合場所に、10分遅れの7時25分に到着した。
「遅いぞ、お前ら!何しててん!!!」
あぁ、太田先生…。
ううっ、僕たちの朝食は、まだまだ程遠い感じやな…
ーーー約10分間のお説教ーーー
僕らに与えられた朝食タイムは、たったの20分間やった。でも、結構人が少ないから席が空いてて、バイキングもしやすかった。怪我の功名ってやつ?
「んー、うっめー!」
ヤマが口にウインナーとスクランブルエッグを放り込みながら、大声でうなった。お下品なヤマくん。
「俺、食欲ない…」
郁也は、太田先生に怒られてる時に運悪く吉本新喜劇のすちこさんのことを思い出してしまって爆笑したから、郁也だけ3分間お説教延長。お気の毒に。
「早よ食べろ!説明会始まんぞ!」
食事中も怒鳴られ…。僕まで食欲なくなってきた。
「ごちそーさまっ!」
1位抜け、ヤマ!皿を無造作に片付けて、服の袖で口を拭きながら、部屋に戻ってった。
「ごちそうさまでしたっ」
杉原も食べ終わって、その次にタッキーと僕が同時に抜けた。
郁也が泣きそう。でもすまん、先行く!
「垣本!早よ食えぇっ!」
太田先生の怒声が聞こえる。ごめんよ、郁也ーー!
このあと、7時55分から飯盒炊爨体験のための説明会があるんや。遅れたらまた太田先生に大目玉くらうから、急がな。
布団をちゃんとたたんで(三つ折りの存在を知らんくて、四苦八苦…)、歯磨いて(洗面所使う順番の取り合い)、メモと鉛筆用意して…。
「急げー、お前らー!」
幸い太田先生が不在!優しい優しいニッセンが大広間の前に立ってた。
「班ごとに座って!」
えっと、暁月と霧谷と夕陽…まぁ、タッキーについていけばいっか。
「よお、おはよう」
「おはよう!」
相変わらず女子団は元気そうや。…って、夕陽、昨日のレクでなんも思えへんかったんかな!?
「えー、今から飯盒炊爨の説明をします。前のスクリーンと、今からお配りするプリントを照らし合わせて内容を理解してください。あ、質問等あればその場で手を挙げてください。では…」
喜島記念ホテルのスタッフらしい若い女の人が、説明を始めた。まず、野菜を切るグループと、釜の準備をするグループに分かれて…ふんふん。
カレーのルーは多めに入れるだの、お肉は食中毒にならないようによく火通すだの…、メモることが結構あって必死やった。
そして、説明会は終了、各自部屋に戻って荷作りする。これからは野外合宿で、次寝るところはテントやからもうホテルとはおさらばや。
「よし、荷物まとめれたな。」
杉原がふぅ、と息をついた。
「うん、できたけど、なんか忘れてる気ぃする。」
ヤマが首をひねる。あー、確かに。なんか忘れてるよな……、郁也!!
「郁也どこ行ったん!?」
僕と同時にタッキーも叫んだ。
「あいつ、飯盒炊爨の時はおったで。ちょっと遅れてきたけど。」
ヤマが言った。杉原もうなずく。
「ごはんのとき先行ったことは謝っといて、郁也も別に気にしてない感じやったけど」
「やばいやん、また遅れて太田先生に怒られるんちゃうんあいつ!?」
いつもはちょっとムカつくけど、心配っ!
「でももう時間やしな。行こか。」
部屋長の杉原が申し訳なさそうに言って、郁也の荷物も一緒に僕らは部屋を出た。ちょうど、隣の部屋とかも戸締りするとこやった。
「あ、郁也やん!」
タッキーが、廊下の向こうから走ってくる郁也を見つけた。なんか、顔が真っ赤や。
「郁也!どーしたん?」
僕が訊いた。郁也は、まだ顔が真っ赤で、かすれた声で「ありがとう」て言いながらヤマから荷物を受け取った。
「まぁ…後でしゃべるわ…」
ちょっと落ち込んでるみたいやな。
9時45分、ホテル正面玄関に集合して僕たち篠原小学校はお礼の挨拶&閉舎式を行って、大っきい荷物をトラックに積んで、合宿所へ出発!楽しみやな、テント張るんとかレクとか。ちなみに、野外合宿のレクには僕も出演するからお楽しみにね!
「あっちぃー!まだなん?」
「もう疲れたー!」
「死ぬ死ぬー」
もう10月やのに9月の中旬並みの暑さで、ホテルから20分もかかる合宿所までは、ほんまに地獄。
でも。僕は郁也のワケあり話の想像をしてたから、暑さはそんなに気にならんかった。
なんやろ?また太田先生に怒られたとか、3組の楠正大(ドラえもんでいうジャイアン的な存在。逆らうと暴力に走ってくるので恐い)に逆らってもうてボコボコにされたとか…。後で訊こう。
「なんか、蘭ちゃん、垣本のことフッてんて!」
「ええー!そうなん?まぁ、垣本ってキザやし、結構弱いもんなぁ?」
ん?栄田が郁也をフった?喋ってんのは1組の江川と宮古やな。じゃあ同じクラスなったこともあるし、詳しいこと聞いてみよ。
「えっ、江川、栄田が郁也んことフッたん?」
江川はまず、僕に喋りかけられたことに驚いた。同じクラスやったんは1年の時だけやからな…
「うん。噂やけど。でも、垣本が顔真っ赤にして走ってんのん見たから、それらしい感じはする。」
江川が言った。
「あんなに仲良かったのになぁ、蘭ちゃんと垣本。」
宮古が首をかしげる。
「うーん…、でも蘭ちゃんがもう垣本のこと好きじゃないっていう噂は前からあったからなぁ」
え?そーなん?郁也、知らんかったんかな?
「峰は垣本からなんか聞いてた?蘭ちゃんのこと。」
昨日の夜恋話したけど…喋らんって約束やから、封印!
「別に何も聞いてない。付き合いだした頃は結構栄田のこと話に持ち出してたけど。だからもう郁也も冷めてたんかな。」
『冷めてる』とかありえへんな。ごめんよ、江川と宮古。
「そうか…リア充が別れんのって、面白くないよなー」
「わかるー!話のネタがなくなるやんなぁ。」
「早く誰か付き合えへんかなー」
これ以上女子トークに釘を刺すのはかわいそうやったからこれくらいにしといた。
でも郁也、お気の毒になぁ…あっ、着いた!
「まず、班ごとに整列して集合!テント配ります!」
うぉーっと誰かの雄叫びが上がる。
「はい、全員いるね。じゃあ、1組の1班から来なさい!待ってる人は、静かに座ってなさい。」
1組の担任、河ちゃんこと河村先生が指示した。まだ大学出たばっかりの女の先生や。美人でニッセンとか太田先生に比べたら優しいから愛称で呼ばれてて、生徒からのウケもいい。そしてなぜかいやらしい男子が1組に多いんや…。
僕らのテントは、タッキーと僕の2人やから、広々使えるな。
まず、地面に釘を刺して、そこに紐を通して、テント張って…、しんどい仕事やけど、タッキーの筋肉(?)と僕の脳(?)ですぐに張れた。
「あーん、難しいー」
霧谷が発するとは思えない霧谷の声が聞こえてきた。僕とタッキーは顔を見合わせた。
「手伝ったろか」
「そうやな。」
霧谷は、がんばって張ろうとしてんねんけど、ガタッ…力がないねんな。
「ああ!救世主!大樹くんとヤッキくん!」
なぜに「ヤッキくん」?
「ありがとう、タッキー。ヤッキも。」
暁月が言った。夕陽も横でうなずいてる。
「えっと、霧谷、そこを押さえて…」
今度こそ完成!
「ありがとう!助かったー」
霧谷が手を合わせる。
「どーもどーも!救世主ヤッキくんとタッキーちゃんです!」
ちょっと照れる。
「おっ、ヤッキ、タッキー。カッコいーことしてるやん」
隣にテントを張った杉原、ヤマ、郁也がつるみに来た。
「いーやろ、かっこいいやろー!」
とことん自慢してやった。
「杉原も手伝ったったらいいやん。えー、誰やっけ、同じ班の女子。」
タッキーが訊いた。
「高木と青葉。あいつら力あるから手伝わんでも良さげな感じやし。」
高木有希乃と青葉さなやな。ああ、力ありそう。こっちは力ないヤツで良かったな。霧谷と暁月と夕陽。
「テント張れた班から炊爨場所に集合!早よしやな昼メシ遅れるぞー!」
太田先生っ!早よいこ。
炊爨場所は、思ってたより随分と広かった。一班に一台ずつ机と釜と水道があって、お皿と野菜や肉が大量に置いてある作業机、ホワイトボード、これまた大量の薪置き場…。
とりあえず指定された席について、机拭いたりまな板持ってきたり仕事は山ほどあった。
けど、料理に詳しい暁月が上手くまとめ!さすが、家庭的女子!暁月モテるんちゃうか?
「全員準備できたな。よし、じゃあ始め!」
ニッセンの合図で、学年112人が一斉に動き出した。まずは、野菜を洗って切る!
「私とアイちゃんとしずかちゃんで野菜切るから、タッキーとヤッキは野菜洗ってくれる?」
りょーかーい!
「ほい、にんじん!」
「次は…、ジャガイモ!」
次々と野菜を洗って、女子陣に渡す。暁月らは、ピーラーでにんじんとジャガイモの皮を剥いでた。なんか、難しそうやなー
「もう終わったけど…」
野菜洗い、すぐ終わる…
「じゃあ、ピーラー手伝って!」
女子陣は大変ならしい。でも、さすが暁月、テキパキこなすな。
でも、夕陽も負けてない。無表情の夕陽も、女子力はあるんやな。…ん?
その隣で、明らかに動きがおかしいヤツがおった。2人より力入れてる感じやけど、ピーラーの刃の間に皮が挟まってとれず。しかも手に刃が当たりそうで、危なっかしい…。
それが、あの超・美人転校生、霧谷愛乃やったんや!
「あれー、ユメちゃん、全然いかない…」
よそ見してるから、ますます危ない。ああっ!
「ふー。間一髪。」
僕は目をそらしてもうたけど、タッキーが霧谷の手首を掴んで助けてくれた。ううっ、霧谷が真っ赤に…。そらモテるわ、タッキー。
「あ、ありがとうございますぅ…」
霧谷は、恥ずかしそうにピーラーを置いた。
「霧谷、お前女子力ないなぁ?」
「そ、そんなことない!」
タッキーと霧谷のやりとりがほのぼのしてて、なんか僕には面白く感じた。
ふっと暁月の方を見たら、暁月もクスッと笑ってた。
「さ、お肉お肉!」
夕陽が、みんなを我に返らせた。でも、夕陽も必死で笑いをこらえてた。
カレー早よ食べたいっ!