マスターピース
暑い
暑いあついあついあういあういあいうううう
だるい
こう1人で歩いているといろんなことをつい考えてしまう癖がある。
適当に喫茶店に入って涼んでいたい、とか。
このまま家に帰ってしまおうか、とかとか。
とにかく今から行くとこには憂鬱になってしまう。
何が?と問われれば俺は「バイト」と答えている。
誰でもそうかは知らんがバイトに行く前にはたいてい億劫になるもんだ。
しかし俺のはバイトとは少し違うかもしれない。
なにせ強制なのだから。
つまりさぼれない。
この気だるさ日本代表みたいな高校生に強制的に仕事を任せるのはいかがなものかと思う。
いつもだったら家に帰って一休みしてるんだけどな・・・・・
とまぁそんなこと考えながら商店街のアーケードまで来たわけだ
ちなみに制服だ。やってられない
制服じゃナンパも出来ないじゃないか・・・・・
仕方なくポケットからタバコを出して吸おうとすると、後ろからガバッと抱きつかれた
「おっす♪おやおやいけないなぁ~ハイド君♪タバコなんか吸っちゃ~♪」
「うるせ!ビックリすんじゃねーか!普通にできねーのかてめぇわ!」
俺は驚かされたことやその他もろもろの鬱憤を雅にぶつけた
「てかなんで雅がここにいんだよ?仕事は俺1人だろ?冷やかしか?コノヤロウ」
「おほ♪よくお分かりで♪暇つぶしに来ちゃいました♪」
「帰れブス」
「コロスゾ♪」
「ごめんなさい」
あっさり気圧された俺だがこいつは確かに怖い
それこそホントに俺なんて簡単に殺せるだろう・・・・・
「てか雅いるなら雅でいいじゃねぇか・・・なぁ?
俺よか簡単にやってのけるだろうし。
なんたって協会のエース様だろ」
「いやいやハイド君♪私はこんなレベルの低い案件には関わらないのだよ♪
なんたってエース様だしね♪」
「自分で言うなブス」
「ホントニコロスゾ♪」
「ごめんなさい」
やれやれ
しかしこいつのいうことも的を得ている
こんな案件にこの協会が誇るエース様が出ることもないだろう
だからこそ俺が来たわけだ
このミニスカJK(女子高生)は一見ただのJKだがすごいJKなのだ
しかし仕事はレベルが低いからって簡単なわけじゃない
むしろよけいだるいことのが多い
「あぁああああああだるい。寝たい」
「お♪なら仕事終わったらアタシと寝る?」
「怖いから遠慮します」
「つれないねー♪」
「ケガとかしない奴だといいなー」
「んーどうだろ?多分大丈夫だと思うけどね♪このレベルだし。
それに私はけっこうハイドのこと評価してるし♪」
「それはドーモ。ならお偉いさんに俺の仕事減らすように言っとけ」
「君はやる気見せないからダメなんだとと思うけどなー♪」
痛いところをつかれたわ
まぁそのとーりなんだけどね
雅とグダグダ話しているうちに目的地に着いた。
どうやら今回は廃ビルの中のようだ
てゆか仕事ってたいていこんな場所だよな
病院とか学校とか墓地とか
その辺りがよく出来た物語ようでいやだねー
「ほほう♪ここが今回のサンクチュアリか♪ビルとは雰囲気ありますなぁ♪」
「ホントホント。ここならオマエ襲えるぜ」
「お♪いいねぇ♪ドーゾー♪」
「冗談だアホ。俺はまだ死にたくない」
「意気地なし~♪」
「何とでも言え」
そんな戯言を言い合いながら廃ビルの中に入った。
使われなくなってからけっこうな年月が経っているんだろうか
中は辺り一面物が乱雑しているがそこまで荒れていない
もっと荒れてるイメージがあったのだが
それにまぁサンクチュアリだと浮浪者とかも入らないみたいだし
曲がりなりにも一応「聖域」なんだな
俺と雅は中を軽く散策していると、見つけた
今回の「マスターピース」を
2階の奥の壁にあった
それは不自然に 壁に一つの「鍵穴」が
「あったねー♪やっぱソロの仕事みたいだ♪」
「そうみたいだな。やれやれ。やっぱり計算タイプかー。だっる」
「にゃははは♪ドンマイだねー♪しかもけっこうやっかいそう♪」
「言うなよそんなこと。やっぱ雅やってよ。代わりにさ」
「やーなこった♪それだとハイドの評価にならないしね♪ガンバッテ~♪」
チッと舌打ちしてから俺は鍵穴の前に向かった
ふむ。やはりこれは変だよな
普通に見たら壁になんで鍵穴があるんだよ
しかしそんな素朴な疑問すら今更起きない
手っ取り早く済ませて帰りたいしな
だがまぁ・・・・早く終わるといいな
ハイドは鍵穴に人差し指を突っ込んで目を閉じた
早く終わらせるしかない・・・
カチャン・・・・・
鍵が開くような音がして膨大な光が溢れ、ハイドを包み込んだ
マスターピース、起動
うーん
これはけっこうレベル高い仕事じゃないか?
レベル的にいうとミリオンくらいか♪
ま、多分「アイツ」がわざと間違えて仕事送ったんだろうなー♪
ホント、食えない奴♪
でもハイドならやってのけちゃうんだろーなー♪
ハイドも割りと、食えない奴だからね♪
雅は暢気にそんなことを考えていた
(けっこうきついな・・・・)
今回のマスターピースは計算タイプ
めんどくさいタイプだ!!!
膨大な光とともに頭の中に計算式が取り込まれた
おぉ・・・
光量子における特殊相対性理論及びマトリックス理論を使った確立問題か・・・
なんて量の計算式だ
常人なら1秒で発狂するレベルだな
おっと。軽く発狂しない俺がすごいアピールをしてしまった
失礼失礼
はぁ・・・それにしてもめんどい
単純に考えて実に3676542通りの中から1つの答えを導き出さなきゃいけないのか
やれやれ
やりますかね・・・
俺は計算式の海潜りこんだ
「ハイドはホントに勿体ない奴だ♪あいつはやれば出来る奴なのに♪
ていうか、やれ過ぎるくらいだし♪
なんか知らないけどあいつは実力を隠すんだよな~♪
私はけっこう認めてるんだけど♪
・・・・・・・。
ていうかこの計算式ってやばくないか?(汗
普通に難しいと思うんだけど♪
アイツ大丈夫かなぁ?」
膨大な計算式に若干そわそわし始めた雅であった
と、その特・・・・
「ぷっはぁ!!」
ハイドは急に目を開けた
はぁはぁはぁはぁ・・・・・
「あっれ~?ハイドどうした?
早くない?
難しすぎて途中で諦めたのかにゃ?」
ハイドを茶化しつつ次の準備をしようとする雅
「バカ言え。そんなわけねぇだろが・・・・
ちゃんと終わらせてきましたよ。ったく・・・・
めちゃんこ疲れたわ・・・・。」
やれやれとタバコに手をかけるハイド
(やっぱこいつ只者じゃないな・・・・。
あれだけの計算式に飛び込んでおきながら、ものの数分で終わらせるなんて・・・。
いくら私たちが訓練されたって言っても早すぎる。
不思議なやつだ・・・・)
そんなことを考えつつ、雅は計算しおえたハイドに近づいていった
「まぁとにかくお疲れさん♪」
「あぁ?ったく・・・たくクソ疲れたわ。なんか飯食いに行きてー」
「そだね♪この後ご飯でも食べに行こう♪と、その前に早くマスターピースは?」
「ん?あぁ・・・そうだった・・・。ええっと」
そういいながら手のひらを開けた
「ほほう・・・案外レアなピースだね♪100番台かな?」
「そうだな。苦労した甲斐があったってもんよ」
ハイドの手のひらには四角いクリスタルみたいなものがあった
それは透明で 鮮やかで 荘厳で
思わず目を奪われてしまうような輝きをもっていた
「とりあえず飯に行こう。俺はもう腹減った。耐えられん」
「いやいや子供じゃないんだから♪どこに行く?」
「そりゃもちろんミーちゃんのレストランに決まってんだろが」
「なんで決まってんだよ・・・」
「今日たしかミーちゃんお店にいるはずだし☆くぅ~たまんね」
「う、うわぁ・・・」
ハイドのテンションの上がりように若干引いた雅であった
そのとき
「もうマスターピースの回収は終わったんかな?」
急に後ろから声をかけられた
「おわぁ!!びっくりしたぁああ!カイトてめぇいきなり表われるんじゃねぇよ!」
「ほほう心外だな~。けっこう前からいたのに~」
「相変わらず気配のない奴だね♪カイトは♪」
「ないっていうかもはや死んでんじゃねーか?」
「ハイド君ひどいなぁ~。友人に向かって死んでるだなんて~
それにこれでも一応君らの上司なのだよ?」
「「それこそ信じられん」」
二人は息が合った
この背が低くコートと帽子を被ったやつはカイト
協会の連絡係などをしている
とにかく気配のないやつでいつのまにか後ろにいたりするろくでもない奴だ
今回は恐らく回収に来たんだろう
それもこいつの役目なのだ
「ったくほんとわけ分からん奴だ・・・。とりあえずホラ。
今回のマスターピースだ」
「お~お疲れさん。なかなかのものだね」
そういって受け取ったピースを懐にしまった
あのコートのどこにしまうところがあるんだろうか・・・
「これから君らはどうするんだい?」
「ん?あぁ・・・飯食いに行くぜ?ミーちゃんの店で」
「ほほう・・・それはいいな~」
「だろ?カイトも行くか?」
「う~ん行きたいけど回収したの協会にもっていかなきゃいけないからね~」
「そっか。そいつぁ残念。ミーちゃんの店なのに」
「確かに」
「こいつらはほんとに・・・・」
そういってカイトは帰っていった
「やれやれ、今日のお仕事も終わりましたな」
「そうだねー♪なかなかこれまたけっこう見事だったよ♪」
「そうか?まぁエース様に言われてもあれだけどな」
「そんなことないよ♪ほんとだよ♪」
「そりゃどーも」
そうして二人は廃ビルを後にした
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「っと、これが今回の報告なのです」
「そうか・・・ご苦労・・・下がっていい」
「失礼します」
カイトは部屋をあとにした
ボクはこういった案件の報告もやってるんですよ
彼らに気づかれないように尾行するのも苦労します
もっとボクのことを讃えても良いと思うよ
まったく・・・
でもまぁ・・・ビックリする顔は嫌いじゃない
ふふふ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今日はなにたべようかな♪」
「またいつもみたいにパフェ食うんだろ?」
「失礼な。あれは「特製☆スーパーグレートフルーツパフェ」という名前があるのだよ♪」
「あれみるたびに気持ち悪くなるんだよな・・・」
「あれを考えたやつは天才だ♪」
雅は食べる気マンマンであった
話しているとレストランが見えてきた
レストラン「キューテンワンワン」
名前が気になるところである
ここに二人の目当てがそろっているのである
カランカラン・・・
「いらっしゃいませー♪あ、ハイド君に雅ちゃん!」
「やっほ~♪おじゃまするよー♪」
「いつもありがとねー!」
この清楚で可愛らしいウエイトレス、いや天使がミーちゃんなのだ
ホント。ここに暮らしたいくらいだぜ
「いやー、まぁお腹空いちゃってねー。あ、でもミーちゃん見たら満たされちゃった」
「なら1人で帰れハイド」
「うっせーブス」
「コロスゾ」
「ごめんなさい」
クスクス
あぁ・・・笑った君は聖母マリアみたいに俺を癒してくれる
「ところでみなさん一緒じゃなかったんですね?」
ミーちゃんはそんなことを言いだした
「ん?なにが?」
「いや、ほら・・・」
そういってミーちゃんは奥の席を指差した
そこには大量の皿が重ねられ、なおムシャムシャ食べているカイトの姿があった
今回はSFみたいなものを書いてみました。といっても飛びぬけてずれたSFではなくてほんの少しだけずれた世界にしました。どこにでもあるごく日常の世界を覗いてみたら、こんな一面があった!みたいなね?
こんなつたない文章ですが、読んでくれた方々ありがとうございます。
よければ感想などがあれば今後の励みになりますのでよろしくお願いします。
ありがとうございました♪ 拝島ハイジ