たかが、婚約破棄で・・
「たかが婚約破棄だ。放っておけ」
「しかし・・・罰を与えないなんて・・」
「友好家門だ。つまらぬ事で諍いを起したくない」
私は侯爵家の当主タビンだ。
娘が婚約破棄をされたと報告を受けた。
「グスン、グスン、お父様、私は淑女教育を受けたつまらない女と言われましたわ。私付のメイドの方が良いって、グスン」
「エミリア、自分を責めてはいけない。淑女教育を命じたのは父である私だよ。父が悪かったのだ」
「グスン・・・」
「新たな婚約者を探そう。それまで旅行でもしていなさい」
「はい・・・」
伴を大勢つけて旅行に行かした。
妻は不満だ。
「あんな男と別れても良かったわ。でも、あなた、相手は伯爵家ですわ。しかも、エミリア付のメイドに・・・屈辱ですわ」
「まあ、政略だ。仕方ない。結婚がなくても続けばいいのだ」
子供達たちも不満顔だ。
「父上、婚約破棄されたのなら、どうしてプロディ殿を屋敷に置いておくのですか?」
「政略だからだよ」
「「「ヒドい!」」」
子供達から総スカンだ。
プロディ君は婚約者として屋敷に逗留してもらっていた。
私は今回の事を謝罪した。
「娘に至らぬ面があった。当主として謝罪する」
「侯爵、メロディと一緒に暮らしたいのですが?いいでしょう」
「ああ、もちろんだ」
「屋敷を用意して、後適当な役職もね」
「ああ、分かった、さすがに同じ屋敷では娘もつらかろう」
領都に屋敷を与えた。
そこに伯爵家から使用人たちをつれて来た。
「侯爵、使用人たちの給与も頼むよ」
「分かった。貴族らしい生活を送るべきだ」
「キャア、侯爵、有難う。お花も欲しいのだけども」
あれは元エミリア付のメイド、メロディだ。
「ああ、分かった花を用意させよう」
メイドから貴族の嫁か。出世したな。
それからも毎日どんちゃん騒ぎだ。
「侯爵、借金をした。用意してくれた財産管理補佐人の給与少ないのが原因だ。ツケを払ってよ」
「ああ、分かった」
・・・・・・・
こんなことが続いた。やれ、豪華な馬車が欲しいだの。メロディのドレスが欲しいだの。いろいろ要求された。
全て叶えてやった。
そんなとき。プロディ君の実家から使いが来た。
「ほお、ゲール侯爵家につく?」
「はい、あちらは王宮での役職を用意してくれるそうです」
「ふむ。そうか」
「侯爵閣下には今までお世話になったと旦那様が申しております」
「ではプロディ君は?」
「はい、侯爵閣下がお気に入りなのでそのまま逗留させても結構ですとの事です」
「うむ。おい、マッケンよ。こやつを斬れ!」
「畏まりました」
「は、ちょと、こちらにはゲール侯爵家が・・・うわ!」
プロディ君の伯爵家は我が家門から離脱するとの通告が来たので使者を殺した。
また、プロディ君が来た。
「侯爵、伯爵家に戻っても僕は四男だ。ここで暮らしたい」
「うむ・・・それは良かろう」
「本当?」
「ああ、本当さ。この地に永遠に眠るがよかろう・・」
「えっ」
「騎士よ。剣を貸せ」
「はい」
「せめてワシが斬ってやろう」
「何を言っているの?侯爵?」
思いっきり横殴りで胴体を斬った。最後まで信じられなかったようだ。
返り血を浴びたな。
「旦那様!」
「奴は人質だったのだ。思えば可哀想だな・・・出陣だ。騎士を集めろ」
その日のうちに、屋敷を包囲した。カゲの報告ならメロディもいるそうだ。
「あれ、プロディ様は?」
「領地に帰れるのですか?」
「屋敷を封鎖だ」
「「「了解」」」
使用人達を整列させたが、呆れたものだ。男娼、娼婦がいた。
「お前らは金で雇われたのだな。すぐに屋敷を出て行け」
「ヒィ、はい」
「分かりましたわ」
後は名簿で選別させて・・・自領の者は家に帰らせた。
屋敷に閉じ込めて火を放った。
「旦那様、エミリア様のメイドに戻りたいですわ。反省しています。プロディ様にせまられて仕方なく・・・キャアアアアーー、熱い!熱い!」
皆殺しにした。
「プロディ君の遺体を伯爵家に送りつけよ」
「「「畏まりました」」」
「遺体、到着と同時に即開戦だ」
「「「畏まりました」」」
「王国に私戦届だ」
「はい。既に作成済です」
だが、折角、久しぶりの戦と思ったが。
伯爵は平伏して降伏をした。
「ヒィ、お許しを・・・家門に留まらせて下さい」
「何故、戦わぬ。ほら、ゲール侯爵家に援軍を頼め」
「それが、戦線を拡大したくないからと・・・」
「良い。戦いの丁度良い頃合いに王家から仲裁が入る」
「か、勘弁をして下さいませ・・・」
「うむ。なら、家門に残るのなら毎月金貨百枚を上納せよ。娘への慰謝料だ」
「ヒィ、ご勘弁を・・・そんな金は・・・」
「うむ。なら、この屋敷をもらおうか?」
「グスン、そんな」
「よし。屋敷に火を放て」
「「「畏まりました」」」
「ま、待って下さい。払います。払います!」
「分かった。今までのは娘に対する慰謝料だ。次は当家への慰謝料の話をしようか?」
「ヒィ、そ、そんな」
「なら、皆殺しだな」
・・・・・・・・・
娘が旅行から帰ってきた。
「あら、お父さま、この金貨は?」
「うむ。プロディ君の伯爵家からの慰謝料だ。受け取りなさい」
「はい?でも、慰謝料としては少ないですわね」
「いいや、毎月エミリアに一生払う約束だ。陛下も了承した」
「ヒィ、こんなに・・・」
「それに地図を見ろ。侯爵家への慰謝料として伯爵領の半分をもらった」
「ヒィ、主要な街と穀倉地帯が入っているではないですか?残りは山と荒れ地ですわ」
「うむ。エミリア、婿を取ったら、子爵家の株がある。婿殿と子爵家を継ぐのも良いぞ」
「そ、そんな。領地の主要部分だわ。たかが婚約破棄で?!」
「そうさ。たかが婚約破棄だが向こうの誠意をくみ取るべきだ」
プロディ君は人質だったのだ。人質は甘やかして増長させるに限る。
殺すときに躊躇しなくてすむ。
日本の戦国時代、人質が簡単に殺された話が多くある。
殺すとき、人質の面倒を見ていた家臣は助命を懇願していたそうだ。
侯爵は家臣の心を守ろうとしたのかもしれないと皆は噂をしあった。
最後までお読み頂き有難うございました。




