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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

命短し殺人者

作者: ふぁご
掲載日:2026/04/27

ご覧いただきありがとうございます。

殺人を起こすということ、それは正義ですか?悪者ですか?

男は何を思い最期を迎えたのか、考察しながら読んでいただけると嬉しいです。


「君は死ななきゃね。」

高身長で黒づくめの男が悪魔の様に彼女の耳元でささやく。

「やめてください。謝りますから!!」

彼女は男の袖にしがみついた。

うぜーな、と思いながら男は彼女の手を振り払う。

そして男は口元を緩ませ

「さよーなら。またいつか。」

と言って心臓を“ブスっ”と突き刺した。

血しぶきと一緒に彼女はのけぞりながら後ろに倒れる。

この出血量なら即死しただろう、いつもの様に男は立ち上がりその場を後にした。

その後、足早に監視カメラを避けながら、人気のない港に立ち寄る。

そこには一人の女が待っていた。

男はその女のもとへ行き

「はい。今日の報酬。」素っ気なくそう言って女は立ち去った。

男は封筒に入っている五十万を確認した。

「今日はごちそうだ。」そう言ってにっこりと笑った。


男の家は駅から離れたぼろいアパートだった。

部屋に入ると「おにい!」と男の子が駆け寄ってくる。

「ごめんな!今日も遅くなって。今、晩御飯作るから。」

男は男の子の頭をなで、笑顔を見せた。

「ねえ。今日は何?」

「ん?タクが好きなステーキだ。」

「やった!!」男の子はキリンのぬいぐるみをぶんぶん振り回して喜んだ。

男は静かにほほ笑む。そして「よっしゃ!ゴホ!」勢い余ってむせてしまう。

男は手のひらを見る。「どうしたの?」男の子がフリーズしている男に問いかけた。「アブね。」そうつぶやいて「いや。仕事で使ったペンキがついてたみたい。」男は素早く手を洗って調理をした。


翌朝。朝食中なんとなくテレビをつける。

「昨夜、二十代の女性が何者かに刺され殺害されているのが見つかりました。警視庁によると死因は出血しとされ、港市で起こった殺人事件と関連があるとして捜査しています。」

死んだんだ。男はそっと安心する。

「おにい。怖いね。」

「そうだな。」男はこうやって自分が起こした殺人をニュースで眺めるのは朝飯前。

幼い男の子に何て嘘をつくのももう慣れた。

「今日は何時に帰ってくるの?」男の子が聞いた。

「今日も夕飯前には帰れると思う。」「そっか。」

殺人者が住んでいるこの家に小さな子供一人で過ごさせるなど良くないことは分かっている。もう男は何人も人を殺した。それと同じように何人もの人に恨みを買っていることは確か。現日本の裏の世界では身内に何が起こるか分からない、危険と隣り合わせである。

「一人で外は出るなよ。」

「うん。今日はキリンさんと一緒に家で探検ごっこする約束してるから!」

「お!きりん、良かったな!」男の子はいつも持ち歩いているキリンを見せてきた。もうこのキリンもボロボロである。綿も少しでてきているから新しいものを買ってあげなければなと考えていた。“今日は仕事の帰りに上野で買ってきてやるか”と思う。

「じゃ、行ってくるわ。」

「行ってらっしゃい」行ってらっしゃい、そんなことを言ってくれるのは男の子だけだった。この毎日のやり取りが男の心をほっこりとさせていた。


今日は、昨日の女のもとで打ち合わせがある。女は男の依頼者であり、同級生でもある。男たちはある目的をもって人を殺している。会う時は、大抵は港の人気のない倉庫でやり取りをする。

男は時間通りについた。しかし、今日は少し騒がしい。

男は注意深くコンテナの裏側で身構える。

「大蔵咲子だな!抵抗するな!」

女の周りには銃を構えている警官がいる。

「お前を殺人未遂で逮捕する。」警官はその言葉を合図に女に手錠をかけた。

女は抵抗せずパトカーに乗せられた。

“アイツが逮捕された・・。男は真っ先にタクのことが脳裏に浮かぶ。

あの女が口を割れば確実に自分の罪が明るみに出る。逮捕されるのも時間の問題だ。

男は警察から逃げるようにここを後にした。


男は夢中で走った。タクまで失ったら、男は生きる希望を見失ってしまう。

タクだけは、タクだけは失いたくない。

ゲホゲホっ。男は手のひらを見る。

吐血が止まらない。自分はもうだめだ。そんなの分かっている。分かっているのに・・。


余命三カ月です。

医者から余命宣告されたころ、男はタクと出会った。

小遣い稼ぎに空き巣に入った時、細々として体中あざだらけのタクを見つけた。

「助けて。」

ふしぎな子だと思った。空き巣に入った男に助けてなんて。

でも男は気づいたら金目のものを投げ捨て、タクだけを誘拐した。

別になんの目的もない、だけれども昔の自分と重ねてしまい、誘拐した。

でも助けられたのはタクではなく、この男だ。

家族、友達、親戚もいない男は、タクと話す時間、遊んでいる時間、いってきます、ただいまができることただそれだけが男の楽しみになった。

「助けられたのは、俺の方だ。」

男は夢中で走ってアパートまで行った。


アパートにはパトカーが止まっている。男はお構いなしに自分の部屋へ向かう。

「止まりなさい!」警官に取り押さえられる。

「タク!」そう男は叫んだ。するとタクが家から警官に連れられて出てきた。

「おにい!」タクは男をみて警官を払いのけて男の元へ駆け寄った。

「ごめんな。ごめん。」男は泣きじゃくる。

「おにいは悪くない。僕のヒーローはおにい!」

タクは男に抱き着く。男も涙が止まらない。

「離れて。」女性警官が男からタクを離した。

「やだ!やめて!」タクは抵抗するが子供の力では抵抗できるはずがなくすぐに取り押さえられた。

男は取り押さえている警官に「最後に一言だけ、いいですか。」と言う。

「その場で言いなさい。」「はい。」

「タク、ありがとな。おにいって呼んでくれて、話し相手になってくれて、ただいまっていったらおかえりって言ってくれて。」

「うん。」

「タク、さようなら。またいつか。」

「うん」


その後、男は取り押さえられ手錠をかけられた。そして静かにパトカーに乗せられた。


タクには未来がある、でも男には命のタイムリミットがある殺人者。


男は殺人と誘拐で逮捕された。

タクの行方は教えてもらえなかった。きっと児童養護施設とかにに入ったのだろうが。

男は死ぬ前に取り調べでこう述べた。

「咲子は高校時代いじめられていました。俺もそうだった。俺が

余命宣告をされて、咲子と手を組んでいじめっこを片っ端から殺す決意をした。

だから、俺は人を殺しました。」

と。


男は取り調べ中に亡くなった。

ニュースでそのことを取り上げられ、その後寿命が短い男の最後の抗いだったとネットで一時期話題になったらしい。


十年後

教室にぽつんと一人、座っている男子学生がいた。

「おい、アイツ児童養護施設からきてるらしいぜ?」

「え?親殺人者ってこと?」

「えー怖―い、近づかない方がいいよ。」

「まじそれ!いつも無口で何考えてるか分からないしヤバいやつだよ。」

まわりの学生たちがこそこそ話している。

「殺人者、ね?」

男子学生はそうつぶやきにやりと笑う。その笑顔は本当に不気味で気持ち悪い笑顔だった。


読んでいただきありがとうございました。


さようなら。またいつか。

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