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モテ男は反省しない  作者: てん


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第41話 重なる予定

 予定が、重なり始めた。


 今までは、なんとなく回っていた。

 仕事、千夏、そして玲奈。


 それぞれの時間が、うまく噛み合っていた――はずだった。


 スマホを見る。


『今日、会えますか?』

 千夏からのメッセージ。


 少し間を置いて、別の通知。


『打ち合わせ、予定より長引きそうです』

 仕事の連絡。


 さらに、その数分後。


『今日、少しだけ話せたら』

 玲奈からのメッセージ。


 画面を見つめて、息をつく。


 ――重なってきたな。


 でも、焦りはなかった。


 全部、別々の用事だ。

 全部、理由がある。


 だから、調整すればいい。


 そう思って、順番に返す。


『今日は少し遅くなりそう』

 千夏には、そう送る。


『了解です。待ってます』

 すぐに返ってくる。


 次に、仕事の連絡に対応する。

 これは外せない。


 最後に、玲奈。


『今日は厳しいかも』

 正直に送る。


『そうですか。また今度』

 あっさりした返事。


 ――助かる。


 そう思った自分を、否定しなかった。


 仕事は、結局予定よりさらに延びた。

 打ち合わせが終わった時には、外はすっかり暗い。


 千夏に連絡を入れる。


『今、終わった』


『お疲れさまです。無理しないでくださいね』


 その一文に、少しだけ胸が軽くなる。


 駅へ向かう途中、ふと思う。


 前なら、こんな時、

 誰かが怒ったり、泣いたりしていた。


 でも、今は違う。


 千夏は待つ。

 玲奈は引く。

 仕事は進む。


 ――ちゃんと回ってる。


 そう結論づける。


 千夏の部屋に着いたのは、かなり遅い時間だった。


「遅くなってごめん」


「いえ。大丈夫です」


 笑顔で迎えられる。


 それが、当たり前になっている。


 食事をして、少し話して、

 静かな夜を過ごす。


 その間にも、

 玲奈からは何も来ない。


 仕事のチャットは、落ち着いている。


 すべてが、ちょうどいい距離に収まっている。


 ベッドに入って、天井を見る。


 ――調整できてる。


 誰かを切らなくても、

 誰かを傷つけなくても、

 うまくやれている。


 そう、思っていた。


 ただ一つ、気づいていなかったことがある。


 予定が重なるということは、

 どこかに必ず「無理」が生まれているということだ。


 その無理は、

 今は音を立てていない。


 でも、

 確実に、溜まっている。


 それが、

 誰の中で、

 どんな形で噴き出すのか。


 この時の俺には、

 まだ見えていなかった。


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