表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モテ男は反省しない  作者: てん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/41

第1話 可愛いから、彼女にしたい

 大学に入学して最初の週末。

 新歓の喧騒はもう少し続くらしい。


 人が多いのは得意じゃないはずなのに、なぜか今日は居心地が悪くなかった。

 理由は単純で、視界の端に――彼女がいたからだ。


 美咲という名前を聞いたのは、ほんの数分前だったと思う。

 丸テーブルを囲んで自己紹介をしている時、彼女が少し緊張した声で名前を言った。その瞬間、俺の中で何かが決まった。


 ――可愛い。


 それだけだった。

 難しい理由も、深い意味もない。


 肩にかかるくらいの髪、少し伏せ目がちに笑う癖。

 派手じゃないのに、なぜか目が離れない。


「美咲ってさ」


 気づいたら、俺は声をかけていた。

 自分でも驚くくらい、自然だった。


「ほんと可愛いよね」


 一瞬、時間が止まったみたいに彼女は固まって、それから一気に顔が赤くなる。


「え、そ、そんな……」


 慌てて手を振るその仕草まで、全部可愛い。


 俺は思った。

 ああ、これだ。


 照れさせるつもりがあったわけじゃない。

 ただ、本当にそう思ったから口にしただけだ。


 彼女が恥ずかしそうに視線を落とすのを見て、胸の奥が少しだけ高鳴った。


 ――彼女にしたいな。


 それも、驚くほど素直な感情だった。


 頭のどこかで、そんな可愛い子が隣にいたら、ちょっと誇らしいだろうな、なんて考えも浮かぶ。でも、それは後付けだ。


 今はただ、もっと話したい。

 もっと笑う顔が見たい。


「さっきの話だけどさ」


 そうやって、会話は続いていく。


 この時の俺はまだ知らない。

 この“可愛い”という一言が、

 どれだけの感情を動かして、

 どれだけの修羅場を連れてくるのかを。


 ただ一つ確かなのは――


 この瞬間、俺は本気だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ