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闇バイトでダンジョンコアを壊したらダンジョンマスターになりました ~ここはダンマスが狩られる世界です~  作者: 水城みつは
第三章『夢ノ宮公会堂』

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第40話 夢ノ宮公会堂迷宮

「……3、2、1、ナンバーワン地下アイドル決定戦、はっじまるよ~!!」


 スポットライトと共に総勢二十名近い地下アイドルが次々と現れて歌い踊る。


 空中を飛び回るドローン達が彼女たちを順にクローズアップしていく。


「すっずりーん!」「チ~シャちゃ~ん!」

「ルナさまー!!」


 二千席はある客席は全て埋まり、色とりどりのペンライトが振られていた。


「まさか本当に開催できるとは思わなかったよ。遊佐ゆさ君、九能くのうさん、夢校商業科を代表してお礼を言わせてくれ」


 俺達はステージを見下ろす正面四階のロイヤルボックス席からイベントを見守っていた。


「やだなぁ、紫苑しおん先輩、俺も来年は商業科ですよ。それに、ほら、九能くのう財閥がスポンサーになってくれたおかげですよ」

「九能財閥がスポンサーになったというより、秋都のおかげでスポンサーになれたっていうのが正確なところじゃない」


 みことは少し不満げな顔を見せる。


 約一ヶ月前となる夢ノ宮公会堂での迷宮ダンジョン発生スポーン災害。

 公式には死者ゼロの奇跡的な結果となり、連日新聞やテレビを賑わせることとなった。

 そして、迷宮ダンジョン発生スポーンを引き起こした三人組と迷宮種ダンジョンシードについては箝口令が敷かれた。


「しかし、ダンジョンに取り残された筈の遊佐君と 紅条くじょうさんがマンホールからひょっこり現れたときにはびっくりしたよ」


「俺としても脱出経路を探してダンジョンを壊してたら別なダンジョンに繫がってびっくりでした。まさか再構築りびるどされた下水道迷宮と繋がるなんて思っても見ませんでした」


「結局、その元下水道迷宮は夢ノ宮公会堂地下迷宮が正式名となったみたいだぞ。ここの地下一階からも入れるそうだ」


―― 夢ノ宮公会堂迷宮、通称、夢宮堂迷宮コンサートホール


 ダンジョンとして生まれ変わった夢ノ宮公会堂は二千席規模のコンサートホールとなった。


 迷宮管理局の調査の結果、四階席まであるコンサートホール部分は安全地帯セーフティエリアだと判明した。

 そこで、このコンサートホール部分は今まで通りに各種公演に使用されることとなり、そのこけら落とし公演として『ナンバーワン地下アイドル決定戦』が選ばれたのである。


「海外にも劇場や映画館が迷宮化した例はあるけど、営業可能な安全地帯セーフティエリアになっているのは恐らく世界初よ。まあ、それだけならそこそこ珍しいだけで済んだんだけどねぇ……」


「L.O.V.E、すっずりーん!!」

「すっずりーん!」「すっずりーん!」


 ちょうど鈴音すずねのパートが始まり、スポットライトを装備した配信ドローンが飛び回る。

 そう、この公演は配信も行っており、開始前から百万人超えの待機者が居たと聞いている。


「……まさかダンジョン内で撮影可能な配信ドローンがドロップするなんてね。秋都、貴方何かした?」


 ビクンと心臓が跳ねる。

「いや、何かって何だよ。何かしたっていうなら鈴音の影響と言われたほうがすっきりするぞ」

「ああ、鈴音の役職ロールは【配信者ライバー】だったわね。迷宮ダンジョン発生スポーンは発生時の環境に影響されると考えれば、鈴音というよりこのイベントのリハーサル中だった影響も大きいか。とは言っても、現状、配信ドローンを持ってるのが秋都達だけなのも問題よね」


 ダンジョンにおいて電子機器は動作しない。

 そのため、ダンジョン内の映像が世に出ることはなかった。それが今までの常識である。

 そして、ダンジョン産の配信ドローンが出てきたことにより、この公演以降、その常識は変わるのだ。


『まさかマスターの与太話がこんなにすんなに受け入れられることになろうとは……』

 迷宮ダンジョン発生スポーンから生還した俺達は地竜のドロップアイテムとして魔導具化した配信ドローン『KJ-DR2053-SR』、通称すずりんモデルを報告した。

 そう、報告したのは秋葉原で購入した配信ドローンをダンマス、というか、ダンジョンとメルリンの力で魔導具化したものだ。

 最新の配信ドローンがアイテムドロップするという信じられない話に関しても鈴音が配信ドローンと一緒に迷宮ダンジョン発生スポーンに巻き込まれていたことから違和感なく受け入れられた。

 新規に迷宮ダンジョン発生スポーンした場合は周囲の環境に関連するドロップアイテムが出やすい傾向があるらしい。


 なお、迷宮ダンジョン再構築リビルド期間中にちゃんとドロップアイテムとして配信ドローンがドロップするようには 【迷宮管理者ダンジョンマスター】として調整した。


「ところで、配信ドローンがドロップするのは五階のフロアボスだったか?」


「そうですね。それ以外の二階から四階のモンスターでもカメラとか落としますよ。ただ、現在はギルドが入場規制をかけてるので入れる探索者シーカーは限られてます」


「しかし、フロアボスはあの、遊佐君が倒して一緒に地下に落ちていった地竜だろう? 国内で倒せるパーティは限られてるんじゃないか?」


「ええ、SとかAランクなら問題ないと思いますけど、今のところ何故か俺達が倒して予約販売で供給することになっています」


 迷宮ダンジョン再構築リビルド後の調査で発見された五階フロアボスの地竜。倒したは良いが配信ドローンは落とさなかったのだ。

 その後、元々配信ドローンをドロップアイテムとして報告していた俺と鈴音でリポップした地竜を討伐、配信ドローンのドロップがあったことから条件が判明するか供給が安定するまでフロアボス狩りの業務が増えた。

 これに関しては特にドロップ率とかに調整はかけていないのだが、役職ロールによる隠しボーナスとかがあるのかも知れない。


「その配信ドローン関連に九能財閥の関連企業が噛んでるので今回のスポンサーにもなってるのよねぇ。いや、九能としては喜ばしいんだけど、そのせいでねぇ……」

 みことは白いフォーマルなワンピースを少し摘んで肩を竦めた。下ろした金髪にネックレスが映えて似合っているのだが、本人は堅苦しい服や場所が苦手らしく、スポンサーとしてあちこちに顔を出さざるを得ない役割に辟易しているらしい。


「アンコール!」「アンコール!」


「……公演も無事に終了ね。このダンジョン内公演と配信の影響は大きいわよ。ま、色々は明日以降にして、鈴音と合流したら家に帰って一月前にできなかった打ち上げをしましょう」


 夢ノ宮公会堂迷宮化、および、配信ドローンドロップの影響。

 俺の日常は更に大きく変わってきていた……。


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