第39話 夢ノ宮公会堂リザルト
「さて、ダンジョンコアは俺が『倉庫』に収納してしまったわけだが、現状此処はダンジョンなのか?」
迷宮核なしでダンジョンが成り立ってしまうとダンジョンを潰すことができなくなってしまわないだろうか?
『……ダンジョンのままですね。しかも、マスターの管理下に入っております』
「え、マスターって秋都さんの事ですよね、それに、私の役職【迷宮管理者】が副役職【迷宮副管理者】になって……もしかして、秋都さんが【迷宮管理者】になっちゃいました?」
メルリンの言葉に鈴音が泣きそうな顔になる。
【迷宮管理者】の制約『迷宮核が破壊されると死亡します』のことを考えたのだろう。
「ああ、そんな顔をしないでくれ。内緒だけど、俺は元々【迷宮管理者】だ。迷宮討伐のバイトで迷宮核を破壊した時に【迷宮管理者】になった」
「えぇっ! そんなことって、あるんですか?」
「あるんだな、それが。鈴音も聞いたことあるだろう、迷宮討伐、つまり迷宮核を破壊したパーティが解散するって噂」
「ええ、都市伝説というより割と事実なやつですよね。えーと、それが何か?」
「迷宮核を破壊すると高確率で【迷宮管理者】、ダンマスになるんだ。そうなるとダンマスとなってしまったメンバーは再びそのダンジョンのコアを壊されると死んでしまう。つまり、そのパーティがダンジョンに潜るのを邪魔する側に回ることになる」
「ああ、背に腹は代えられないですしね。それに、 制約でダンマスのことはパーティメンバーにも話せない……あれ? 今、普通に話せてますね?」
『恐らくは鈴音がマスターの眷属になっている効果だと思われます』
「喋れる分には問題ないか。それで、問題はこの後をどう収拾するかなんだよなぁ」
幸いダンジョン内に居たメンバーは無事に抜け出したようだ。この事態を引き起こした連中に関しては……多分既にこの世にいない。
会場が迷宮化してしまった『ナンバーワン地下アイドル決定戦』は残念ながら中止だろう。
そして、問題はこのダンジョンと俺達だ。
ダンジョンに関しては再構築から再開までは一週間程ある。どのように運営するかは先延ばしでも良くはないけど、まあ、良いことにする。
「で、俺達がどう脱出した事にするかだよな……」
「そのまま出るわけにはいかないんですか?」
「迷宮発生からの生還率は限りなく低い。で、発生後に閉じたダンジョンからの生還例はまだないな」
ダンマスになった後に迷宮発生や再構築については色々調べた。
巻き込まれた場合の死因の一番は魔力の過剰供給。魔力耐性のない役職持ち以外には致命傷だ。
今回は幸いほぼ全員が役職、または、魔力耐性持ちだったのが幸いした。
次にポップしたモンスターに殺られるパターン。今回のようにフロアボスやイレギュラーのモンスターが色々と出るようだ。
そして、閉じた後に内部がどうなっているかは生還者がいないため不明である。が、階層の変更や改変に巻き込まれたらまず死ぬだろう。
そんな世界初の生還者になると色々とうるさそうだ。
「じゃあ、一週間程此処で暮らします? わ、私は構いませんけど……」
「そうだなぁ、『倉庫』内には十分暮らせるだけの物資はあるし、最悪、家まで戻って……あぁっ!」
「うわっ、秋都さん、大声をあげて何か思いついたんですか?」
「まあ、一応な。どっちにしろ騒がしいことになるのは避けられないが……」
どうせ騒動になるのならこのタイミングで色々ぶち込んでどれも有耶無耶にしてしまおうか。
『マスター、とっても悪い顔をしてますよ?』
幸か不幸か鈴音達が迷宮発生に巻き込まれたことで問題の一つに解決の目処が立ったかもしれない。




