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闇バイトでダンジョンコアを壊したらダンジョンマスターになりました ~ここはダンマスが狩られる世界です~  作者: 水城みつは
第三章『夢ノ宮公会堂』

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第38話 夢ノ宮公会堂7

鈴音すずね? 鈴音さん? えーと、大丈夫?」


『マスター、鈴音の意識はないようですが?』


「へっ、意識がない?」

 確かに目の焦点が合っていないように見える。


「おーい、鈴音、鈴音さん?」


 鈴音の顔の前にヒラヒラと手を振りつつ近づく。


―― ヒュンッ!


『マスター!!』


 予備動作もなく鋭い軌跡で双剣の片方が振られた。


「おわっと。危ない。えぇっ、意識ないのに迎撃する感じ? ん、あれは?」


 鈴音が隠すように位置取っている後ろに黒い球体が見えた。


迷宮核ダンジョンコア……』


―― キンッ! カンッ!


「どうやらコアを守っているので間違いないみたいだな」


 鈴音の双剣を取り出した木刀で受け流すも思ったより鈴音の力が強い。


「どうやったら鈴音を正気に戻す、いや、意識を戻せる?」


『現在の状況ですが、鈴音は迷宮核ダンジョンコアに操られていると推測されます。つまり、マスターと同じく【迷宮管理者ダンジョンマスター】となっている可能性があります』


「となるとコアを破壊するとまずそうだな。あれ? え、操られてるの? もしかして俺もコアに操られる?」

『操られているは言いすぎでした。【迷宮管理者ダンジョンマスター】の制約ルールによる迷宮核ダンジョンコアを守るための本能的な行動だと推測します』


―― カンッ!


 こちらが一定以上コアに近づくと攻撃がくる。しかし、視線で動きが読めない上に攻撃の予備動作もなく捌きづらい。

 鈴音自体はレベルアップもしてないだろうがダンマスの力でステータスが大幅にアップしているのか無傷で制圧出来るほど力に差があるわけではない。


「何か手は……あれはいけるか? 『排出イジェクト』!」

 鈴音に左手を向け『倉庫バックヤード』に大量に確保してあったキュアゼリーを放出した。


 全身ベトベトになった鈴音の動きが止まった。


「うぇーーっ、ちょっ、何これぇぇっ。え、嘘、秋都あきとさん?!」

 鈴音の目に光が戻る。どうやらキュアゼリーには効果があったようだ。


「良かった、意識が戻ったか。鈴音、何があったか覚えてる?」


「あ、はい、あぁっ、秋都さんごめんなさい。意識がなかったかと言われると微かには覚えてまして……けど、このキュアゼリーまみれはちょっと……」

 頭の上から足の先までヌルヌルとしたキュアゼリーまみれになった鈴音の目のハイライトが再び消えかえる。


『……マスター、女性にこの仕打ちはどうかと思います』


「いや、非常事態だったもので、いや、すみませんでした!」

 経緯はどうあれ潔く謝っておく。


「それで、何が起きて現在どうなっているか分かる範囲で教えてくれるかな」


 座り込んだ鈴音に『倉庫バックヤード』からバスタオルを取り出して渡すと、鈴音は少しづつ話し始めた。


「――大きな揺れの後、突如この台座とダンジョンコアが現れたんです、すると……、……え、あれ?」

 鈴音が口をパクパクとさせるが声が伝わってこない。


『【迷宮管理者ダンジョンマスター】の制約ルールによる制限がかかりましたか』


「鈴音、喋らなくていいが、このコアを壊すのは駄目なんだな」


「あ、はい、壊さないでください」


「オーケー、つまり鈴音の職業は変わってしまっていると」


「え、どうして……、……」

 鈴音の口がパクパクと動くが、またもや声が出ていない。


「となると問題はコイツをどうするかだが――」


―― 管理者による迷宮核ダンジョンコアへの接触を確認。

   支配下におきますか?


「――はぁっ?! どういうことだ」

 ポンポンとコアに手を当てた途端、天の声が聞こえた。


『――え、あぁ、マスター、新しい情報が開示されました。【迷宮管理者ダンジョンマスター】が他の迷宮核ダンジョンコアへ接触、つまりは迷宮内に侵入、踏破した場合はその迷宮核ダンジョンコアを自分の配下として支配することができるようです』

「支配した場合どうなる?」

『ここの迷宮核ダンジョンコアがマスターに隷属状態となります。また、制約ルールの対象がマスターおよびマスターの迷宮核ダンジョンコアに拡張されます。つまり、鈴音はマスターに関わる不利益な行動がとれなくなります』


「……微妙な縛りだな。しかし、隷属って……。それ以外は何かあるのか? ダンジョンの管理方法とか、このコアの設置条件とか」


『――……特にこれと言った変更はないようです』


「実に微妙……せめてウチにコアを移動させられれば破壊による死亡条件も緩和できるんだが……ん、んんー、『収納ストア』!」


『マスター?!』

「秋都さん?! コアは……え、何?」


「お、入ったな。鈴音は……死んでないよな?」


『ちょっとマスター、何を勝手に収納してるんですか、そもそも迷宮核ダンジョンコアを収納なんて……出来たんですか?』

「そうですよ、秋都さん。勝手に収納ってびっくりするじゃ……え、誰?」


『え、鈴音はもしかして私の声が聞こえたりしてます?』


「ええ、聞こえますけどどちら様でしょうか? あ、秋都さんも聞こえてます?」


「……何がなんだか。とりあえず、聞こえてるんならメルリン、自己紹介をお願い」


『わかりました。私はマスターの固有ユニークスキル『ナビゲーション』ことメルリンです。鈴音、よろしくお願いします』


「はい、よろしくお願いします。って、秋都さんのスキルなんですか? 秋都さんが腹話術とかでからかってるわけじゃないですよね」


「からかってるわけではないな。しかし、どうしてこんな事に……いや、俺がコアを格納したからだろうけど、鈴音のステータスに何か変化はあるか?」


 鈴音は慌ててステータスパネルを開いて確認した。


「あれ? 役職ロールが元の【配信者ライバー】に戻ってますね。あ、副役職サブロールが増えて、え、【迷宮管理者ダンジョンマスター】が【迷宮副管理者ダンジョンサブマスター】が変わってますね。それに、称号が……『遊佐ゆさ秋都あきとの眷属』が付いてます」


 鈴音が顔を赤らめて告げた。

 眷属……隷属よりはマシだが女子高生を眷属だなんてバレたら通報案件じゃないか!!


『マスター……通報しておきますか?』

 いや、やめてください……。



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