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闇バイトでダンジョンコアを壊したらダンジョンマスターになりました ~ここはダンマスが狩られる世界です~  作者: 水城みつは
間章『秋葉原 is 秋葉原』

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第25話 偶像 is 配信者

「おお、ここが秋葉原あきばはらかぁ、初めて来たよ」


秋都あきとってば完全にお上りさんね。そこらの観光客と同じリアクションしてるわよ」


 リムジンから降りて九能くのうさんと二人で目的地へ向かう。いや、目的地がどこかは聞いていないんだが。

 前世でも数回しか来ていない秋葉原は想像以上に混沌としてる。


「なあ、ここって異世界か何かな? 道行く人が鎧姿で大剣を背負ってるとかまでは探索者シーカーかもって思うんだが、角や羽を生やしてる人も多いんだが?」

 猫耳猫尻尾な獣人も歩いている。また、カラフルな装備の探索者シーカーも多い印象だ。


「獣人は獣化のスキル持ちかもしれないけど、角や羽は……コスプレね。秋都も着けたいなら観光客向けのレンタルショップもあったはずよ」


「いや、コスプレはしなくていい。ん、獣化のスキルってここはダンジョンなのか?」

『マスター、周囲に複数のダンジョンは確認できますが、ここは魔素エーテルが濃いだけのようです』


「ダンジョンではないわよ。秋葉原はまだ迷宮特区にはなっていないけど指定地候補ね。ただし、秋葉原文化保護区に指定されていて獣化等の姿が変化するスキルに関しては許可が出ているわ。アイテムボックスのスキルは……探索者シーカーライセンスを見せての使用は許可されるはず、だけどマジックバッグを偽装するバッグを持ってたほうが良いわね」


 そもそもスキルはダンジョン外での使用はできないが、ここのように魔力が多い場所だとある程度使用可能なこともある。

 が、基本的にダンジョン外でのスキル使用自体が禁じられており、場合によって非殺傷スキルについては許可が出ていることがある。

 しかし、アイテムボックス系は場合によっては盗難等に使用できてしまうため特に探索者シーカーライセンスへの記載と制限がかけられているのだ。


 なお、マジックバッグは普通のカバンと同じ扱いとして規制はかかっていない。


「ああ、そっか。昔配達に使用してたでっかいリュックがあるからそれを取り出しとくよ」


「でっかいリュックって、あの、フードデリバリーな人が持ってるようなやつ? あのサイズのマジックバッグだと数千万円するけど、まあ、普通はマジックバッグと思わないから問題ないか」


 普通のバッグの範囲内で使用して見せるように念を押された。解せぬ。


『マスターは入るサイズは注意してもホイホイと大量に詰め込みそうですからね』


「ところでこれはどこに向かってるんだ? もしかして初っ端から非合法な売り場?」

 古びたデパート、いや、百貨店としておきたいビルの階段しかない上階へと向かっている。


「屋上よ、屋上。そこで待ち合わせてる娘がバイトをしてるの。そろそろ終わる頃だし迎えにいくのよ」


 階段を登りきり、少し錆びた扉を開けると、こじんまりとした庭園に小さな舞台と客席が設置されていた。


 舞台上ではドローンからのライトに照らされた少女が歌い踊っていた。


「「すっずりーん!」」

 少女の決めポーズに合わせて閑散とした客席から野太い声援が上がる。

 数人のグループが彼女目当てで来てはいるようだ。


 それ以外は各々でお弁当を広げたり、談笑している。


「彼女が待ち合わせてる人物で、紅条くじょう鈴音すずね。地下アイドル? あ、屋上アイドルかも。一応本人は配信者ライバーを名乗ってるわね」


「屋上アイドルって……地下アイドルの地下は別に地下で活動しているわけじゃないぞ。配信者で言うところの個人勢みたいに企業とか大きいとこに属して無いアイドルだなって、お前のとこに関連企業とかないの?」


「あるわよ、むしろ、彼女の親が芸能系の関連会社よ。まあ、その関係で昔から知ってる幼馴染ってやつなんだけど」


 自分の力を試したいってことで芸能会社には入らずに個人で活動しているらしい。


「おぉーっ」「すっずりーん!」


 アンコールと思しき曲が終わり手を振りながら舞台を降り……あ、コケた。


「……ん、っん、それじゃあ、みんなーまったねぇ!」


 何事もなかったように舞台裏へと引っ込んでいった。


「鈴音は相変わらずね。あの娘は昔っからドジっ娘なところがあるのよ。まあ、それが受けてるらしいけど、さて、私達も裏へ行きましょうか」


 舞台裏の方には従業員の控室側に降りる階段があった。

 従業員用の更衣室を利用して舞台衣装を着替えているらしく、俺達はそのまま従業員用の休憩室へと入った。


「お待たせ、みこと! 久し振りじゃない? 元気してた?」


 待つこと十分あまり、ステージ衣装からセーラー服に着替えた紅条くじょうさんが元気よく入ってきて九能さんに飛びついた。


「はいはい、わかったから鈴音もちょっと落ち着いて。今日はお客さんもいるのよ」


「あ、そう言ってたっけ、改めまして、命ちゃんの幼馴染で紅条くじょう鈴音すずねです。鈴音として配信してるんでチャンネル登録お願いしますね。あ、呼び方は鈴音でお願い」


 すすっと近づいてきてアドレスの書かれたカードを渡される。


「あ、はい、鈴音さん、ご丁寧にどうも。九能さんの、あれ、知人? 知り合い? の遊佐ゆさ秋都あきとです。なんだか今日は買い物を手伝って貰えるとかで、よろしくお願いします」


 突然の接近に挙動不審になる。前世で名刺交換の経験は……貰ったことはあるが名刺を作ったことはないな。多分、大学の頃に亡くなっている。


「ちょっと、秋都! なんで私の知人なの? あんなに熱く将来を語り合った仲じゃない。せめて親友とか、友人枠には入れなさいよ」


 確かに就職の斡旋を受けた意味では熱く将来を語り合ったと言えなくはないが、言い方ぁっ!


「ふーん、命ちゃんが珍しくヘルプを頼んでくると思ったら、ふーん。男の子を連れてくるとは思ってなかったよ。ふむ、これは中々……」

 ニヤニヤ笑いを隠しもしない鈴音さんがじっとこっちを見てくる。


「秋都とは前に夢ノ宮に行ったときに会ったことがあって、今日偶然再会したのよ。ほら、配信用のドローンを買いたいって言うから専門家に意見を聞きたいと思っただけなのよ」

 九能さんはクルクルと金髪をいじりながら明後日の方向を見ながら早口で俺との捏造された出会いを説明した。


「ふーん、まあ、その辺りは後で聞くとして、配信用ドローンね。まあ、大船に乗ったつもりで私に任せなさい。パパの関連企業でその辺りの専門の店舗があるから早速行きましょうか」


 上機嫌に駆け出す勢いで歩き出した鈴音さんを慌てて追いかけた。


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