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闇バイトでダンジョンコアを壊したらダンジョンマスターになりました ~ここはダンマスが狩られる世界です~  作者: 水城みつは
第二章『新宿迷宮特区』

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第21話 神核教5

「それじゃあ、改めて、私は九能くのうみこと役職ロールは【NINJA(忍者)】よ」

 乱れた長い金髪を後ろでゆるくまとめながら堂々とした態度で久能さんは自己紹介をした。

 役職ロールNINJA(忍者)】、忍者でなくNINJAだ。

 黒を基調とするものの真っ赤な襟に帯、ショートパンツタイプの忍者服は確かにNINJAと言えよう。


「あー、自己紹介しないと駄目? あ、はい、遊佐ゆさ秋都あきとです。役職ロールは〚商人マーチャント〛です。あ、食料とかおやつとかは持ってきてるんで言ってくれたら出します」

 できれば関わり合いは持ちたくなくて自己紹介なしにしようとしたら苦無くないを取り出しつつ睨まれた。


「はぁ?! あんた商人なの? 私、商人に隠形術がバレた上に戦闘も互角だったってわけぇ……」


「まあまあ、チョコ食べます? ほら、ここを出るまでの短い付き合いだし、細かいことは気にせずにいきましょう」

 恨みがましい目を向ける九能さんにチョコを渡すと躊躇なく包み紙を外して齧りついた。


「あら、中々良いチョコレートを用意してるじゃない、流石は商人ね」


 ところで、ここが地下四階の未踏破領域ということは分かったが脱出するにはどうするのが良いだろうか。

『現在マスターがいるのは地下四階、この領域は迷宮拡張中でありまだモンスターが配置されていません。一旦地下五階に降りてから新宿駅方向に移動することになります』


「じゃあ、一息ついたことだし進むか。階段はこっちかな」

 メルリンの指示する方向に歩き出す。


「ちょっと、ちょっと、ここって未踏破領域でしょ、なんで階段がある方向がわかるのよ」


「いい感じにナビゲーションしてくれるスキルなんだよ」

 スキルの情報は探索者シーカーの命綱でもあり、詳しく教えるわけにはいかない。また、同じスキルでも人によって微妙に効果が違ったりするのでなんとでも言いようがある。


「なによそのスキル、ちょー便利じゃない。あんた、秋都って言ったかしら、どう? ウチに就職しない、高待遇は保証するわよ。ほら、九能財団って知ってるでしょ、関連会社もよりどりみどりよ」


「俺はまだ高一だよ、それに自分の店を持つつもりなんだ。まあ、将来の取引先としては悪くないがな」

 九能財団はダンジョンが現れた初期から活躍した九能くのうはじめが設立した財団で政財界に大きな影響を持っている。

 そして、彼女、九能くのうみことは孫娘にあたる超お嬢様なのだ。


「え、秋都も高校一年生だったの、タメじゃん。てっきりもっと上かと思ってたわ。高校生の実力者はマークしてるつもりだったけど聞いたことないわね」


「そりゃ、つい先日特例的にEランクにあがったばかりのほぼ初心者だから聞いたことなくて当然だ。真神まがみ達や勇者みたいなのと一緒にしてもらっても困る」


「あー、あいつらはねぇって、あれ、もしかして秋都も夢高生だったりするの? それに特例ってやっぱり強いのね」


「あっ、まあ、今更隠しても調べられるか、そう夢高生だ。真神とはクラスメイトまである。だけど、特例は強いからじゃなくてP特の方だ」

 あんな化け物たちと強さを比べられては困る。俺は目立たず静かに暮らしたいんだ。


「P特、え、P特ってポーター特殊免許よね。そう言えばさっきのチョコも……ってどこから出した……? え、アイテムボックス展開してなかったはず……、うわっ、ねぇウチって運送業務もやってるんだけど、役員待遇でどう?」


「おっ、おう、まあ候補の一つには入れておくよ。ってかP特ってそんなに凄いのか?」

 更に圧を増す彼女の態度に若干引きながら問題の先送りを図った。


「アイテムボックス持ちでP特になる基準知ってる? 大きさや時間遅延とか『特』までつくアイテムボックス持ちは数える程しか居ないわよ。それに、P特は運送業許可証兼ねてるからそれだけでも貴重ね」


「へぇーっ、アイテムボックス持ちが全部P特だと思ってたよ」

 普通のアイテムボックス持ちはPだけで『特』はつかないんだそうだ。


「あっ、あれが下へ降りる階段? ホントにわかるんだ……」


 何箇所かあった分岐を間違わずにストレートに階段へと到達できた。


「地下五階はおそらくエリアボスがいるから、その時は任せたぞ」

 ほとんどの場合、未踏破領域になっているのには理由があり、道が発見されていない以外で多いのがエリアボスの存在だ。

 倒すことが出来ずに放置されることも多い。そもそも新宿駅迷宮はこっち側には伸びていなかったはずだ。


「ふふん、そうね今度こそ【NINJA(忍者)」の実力を見せてあげるわ。って秋都も戦えるでしょうに」


 折り返しつつ下へ伸びる階段を黙々と降りる。


「なんだか階段長くないか?」

『途中の階層がまだできあがっていないのでしょう』


「長いわね。この場合って地下五階というのかしら?」


 エリアボスの強さが深さに合わせてあがっていないことを祈るばかりだ。


 階段を降りきったところにはシャッターが閉まっているものの通用口の鍵は開いていた。


「それじゃあ、開けるぞ」


 ドアの左右に張り付き、そっとドアを押し開けた。


 広々としたフロアの中央にモンスターが見える。

 近づくまでは動かないタイプだろう。


 むしろ攻撃しても動かないかもしれない。


「……最悪ね。危険性は少ないけど倒さないと進めないエリアボス戦としては相性が悪すぎるわ」


―― ビッグキュアスライム


 キュアスライムはポーションの材料となるキュアゼリーを落とす最弱のモンスターの一種である。

 スライム系はその核を破壊することで子供でも簡単に倒すことができる。

 しかし、それらが集まって巨大化したと言われるビッグキュアスライムでは核まで到達する攻撃を行うこと自体が難しいのだ。

 更にはその異常とも言える回復力も相まってビッグキュアスライムを倒せる探索者シーカーは限られている。


 時折ポヨポヨと揺れる半透明の塊が今は大きくそびえ立つような壁となっていた。


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