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闇バイトでダンジョンコアを壊したらダンジョンマスターになりました ~ここはダンマスが狩られる世界です~  作者: 水城みつは
第二章『新宿迷宮特区』

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第17話 神核教

「管理局から少し離れたとこですね、恐らくは管理局前駅で何かありましたか、ハイ。事故か事件かはわかりませんが管理局の方へ移動しましょう、ハイ」


 小太りな外見にそぐわない軽快さで黒煙の上がっている方向へと向かう課長さん――藤本ふじもとさんと言うらしい――を皆で追いかける。


「課長はこう見えてBランクの探索者シーカーなのよ。管理局の上層にも挑んでる猛者の一人ね」


「いえいえ、私は探索者シーカーとしては凡庸でついていけずにギルド職員になった口ですから、ハイ」

「ついていけないって、比較相手が局長や【全知の魔女】な時点で間違ってますって」


 職員さんによると課長さんは【全知の魔女】の弟子とか言われることもある魔法使いなんだそうだ。

 つまり、とっても強い部類の人だ。


「どうやら、『神核教』系統の過激派によるテロみたいです、ハイ。一旦ギルドに戻りますです、ハイ」

 ゴツい携帯電話デバイスに耳を当てた課長さんが進路を少し変えた。


「あれは新宿迷宮特区専用の通信機器なんですよ」

 課長さんのゴツい携帯電話デバイスが珍しく思って見つめていたら職員さんが教えてくれた。


 ダンジョンの中では携帯電話等、電子機器は使用することができない。これは魔力が電気に干渉するのではと推測されている。

 つまり、地上も迷宮化している新宿迷宮特区においては地上でも携帯電話が使用できない……というまでではなく、電波が届かないところが多いというような感じであちこち使用できないところがある程度ですんではいるらしい。

 とはいえ、そのような場所へと行くことが多い職員については魔力遮断的な特殊加工を行ったゴツい携帯電話を持っているらしい。

 なお、このゴツい携帯電話に限らずダンジョン内で動作する電子機器はまだないとのことだ。また、この世界というか、この時代ではいわゆる携帯とかスマホは汎用化が更に進みデバイスと呼ばれている。


藤本ふじもとさん、こっちです。あ、 遊佐ゆささん達も一緒にお願いします」


 サイレンが鳴り響き、慌ただしく人が出入りするギルドの入り口には連絡を受けていたと思しき職員が待ち構えていた。


 職員さんに連れられて庁舎の地下へと降りる。


「地下ですか? 地下に何かあるんです?」


「今回の『神核教』系過激派によるテロは管理局前駅に繋がる通路という通路を爆破して駅を孤立、中に居た人々を人質ににとるという自爆テロに近いものです。塞がれた通路の中で一番侵入できて虚を突けそうなのがここの地下通路だと特別顧問がおっしゃいまして……」


 迷宮管理局特別顧問、つまりは【全知の魔女】の作戦らしい。

 しかし、俺が呼ばれる要素はない気がするんだが……疑問に思いつつ、後をついていった先には見事な程に瓦礫に埋まった連絡通路と、およそ場違いに見えなくもない赤いドレスの似合う女性が腕を組んで仁王立ちしていた。


「げっ……」

 課長さんの方から何か声がして足が鈍くなる。


「ちっ、遅い、コショウのくせにあたしを待たせるとはいい度胸だね! いつからそんなに偉くなったんだい? あぁん、やっぱ部長にしてこき使わないと駄目だな」


「何で咲夜さくやパイセンがいるんすかぁ、パイセンがいるなら俺なんて必要ないじゃないっすかぁ、帰って良いですよね、ハイ」

 課長さんが露骨に嫌そうな顔をして帰りたさそうにしている。


「あ、えーと、もしかしてあの人が……?」

「ハイ、迷宮管理局特別顧問、通称【全知の魔女】こと咲夜さくやさんです、ハイ」


 やっぱりガラの悪いヤンキーではなく、ここで一番偉い人で間違いなかったらしい。


「……ちなみに元ヤンです、ハイ」

 俺にしか聞こえない小さな声で課長さんが囁いた。


「コショウ! いくら小さな声でも聞こえてるからね、って、君が遊佐君ね、このコショウは私が高校の時からの後輩なのよ」


 するりと近づいてきた咲夜さんはさっきまでのガラの悪さが嘘のように引っ込み柔和な顔で微笑んだ。


「あ、はい、夢ノ宮探索者(シーカー)育成高等学校一年、遊佐ゆさ秋都あきと役職ロールは〚商人マーチャント〛です!」

 思わず直立不動になって答えた。


「ふふっ、そんなに緊張しなくてもいいわよ。あら、そう言えば君も夢高生なのね。真神まがみ君や勇者も夢高よね、実に多才な子達が揃っているわねぇ。まあ、彼らと違って君はこっちがわっぽいから仲良くなれそう」

 いや、どこに仲良くなれる要素があるのかよくわからない。あ、そう言えば『ダンマスゲーム』においては真神が、魔女に避けられてる、というようなことを言っている箇所があった。


『マスター、ロックオンされてますね、御愁傷様です』


「それで特別顧問、我々、特に遊佐君まで此処に呼んでどうするおつもりですか、ハイ」


「あー、ここからコショウに突入してもらって、一網打尽にしてもらうのが一番早いかなって。一応表の方には手の空いているシーカーを陽動がてらに回してるわ。ほら、ここは天井も落ちて完全に封鎖されてれ侵入されるとは思ってなさそうだしね」


 確かに瓦礫でガッツリ埋まった通路は通り抜け以前にどかすこともできそうにない。


「いや、どうして私が突入することになるんですか? Sランク探索者シーカーのパイセンが行けばいいじゃないですか、いくら迷宮外といってもテロリストの十人や百人ぐらい大したことないでしょうに、ハイ」


 テロリスト十人でも大概だが、百人は十分大したことあると思う。

 Sランクだと大丈夫なのか? いや、管理局前駅はダンジョンの外だ。探索者がステータスの影響を受けて強いのはダンジョンの中だけである。


「そもそも、私は魔女と呼ばれてはいるけど、役職ロールは魔女じゃなくて、〚自宅警備員ひきこもり〛なの。ここまでは自宅だから良いけど、此処から先は外、私の管轄外なんです」


「何を言ってるんですか、管理局前駅はダンジョンの外とは言え迷宮特区の中、つまりは自宅の庭みたいなもんです。警備員と言うからにはちゃんと警備してください、ハイ」


「くっ、コショウのくせに偉そうなことを……わかったわよ、あたしも行くわよ。ってわけで、遊佐君、お願いね」


「はい……はいっ?! えーと何をお願いされれば良いので?」



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