第10話 璃瑠神迷宮3
「転移トラップかぁ、まさか五層からそんな罠を設置してあるとは思わなかったよ。確か結構なコストがかかったよね」
気が付くと先ほどの広い一本道ではなく分かれ道が多そうな場所に移動していた。壁の雰囲気からして別の階層へと転移させられたと思われる。
『転移トラップは上層に設置しようとするほどDPを消費します。また、転移先や転移人数の指定によっても消費量が変わります。今回、転移先はランダムで二人ずつでの転送となっているようです』
「なるほど、ここのダンマスは中々殺意が高いらしいな。それで、二人ずつの転移ってもう一人は?」
「転移時の転移陣を見た限りでは麻桜彩花が同じ階層に転移していると思われます。なお、ここは十五階層、この璃瑠神迷宮最下層となっています」
「麻桜さんか合流できれば心強いな。どっちに居るかは……って、あれ? なんでここが十五階層というか最下層ってわかるの?」
この璃瑠神迷宮は元々は十階層という話だった。十五階層というのであれば新しいダンマスが五階層も増やしたことになる。
よっぽどコアを壊されるのが怖かったのだろう。まあ、わからんでもないが元々の構成から減らすならともかく増やすにはDPの消費が足りるとは思えない。
『恐らく罠にDPを集中しているのでしょう。その証拠にこの階層、罠は多いですがモンスターはそれほど多くありません。ちなみに、私は『ナビゲーター』ですのでダンジョンの階数からモンスターの位置まですべてナビゲーション可能です』
「おおぅっ、思った以上に優秀ってかチートじゃね?」
『はい、惜しむらくは戦闘能力が一切ないことです。ところでマスター、麻桜彩花から逃げ出したモンスターが一体こちらに向かっています。戦闘準備をお願いします』
接敵まで約三十秒、曲がり角に剣を構えて待機する。十五階層のモンスターに正攻法で挑んでも勝ち目がある気はしない。
一撃で葬るか、ひたすら逃げ続けるて麻桜さんに合流するかの二択だ。
『マスター、来ます。3、2、1』
「はぁっ!」
―― ザシュッ!
曲がり角から飛び出してきたホーンドウルフの首にジャストタイミングで振り下ろした剣が食い込む。
しばらくしてホーンドウルフはドロップアイテムの角を残して光の粒となって消えた。
「ふぅ、首を落としきれなかったけど倒せて良かったよ」
『お見事ですマスター、麻桜彩花もこちらに向かってるようです。合流しましょう』
今回は上手くいったが次も大丈夫な保証はない。
注意を払いつつメルリンの指示する方向へと向かった。
「あぁーっ、秋都くんだー。良かった、一番弱そうだから心配してたんだよ」
大剣を片手で持った麻桜さんがこちらに気付いて駆け寄ってくる。
「麻桜さん! 合流できて良かったです。真神と西戸は一緒じゃないんですか?」
合流してないことは分かっているが、あまりこちらの情報を出したくはない。なにせ彼女らは俺を狩ろうとする側なのだ。
「白くんは別な階層に飛ばされたみたい。伽羅くんは……あぁ、たぶん白くんと同じ階層だとは思うけどまだ合流できてない?」
「何故に疑問形ってか、わかるんですか?」
俺はメルリンのお陰でここがどの階層かとかは分かっているが、流石に他のみんながどこに居るかまではわからない……よね?
もしかしてダンマスのスキルとかでは他の階層までわかったりする?
『いいえ、【迷宮管理者】は自分の管理するダンジョンであればわかりますが、それ以外のダンジョンではそのような能力はありません』
「ん、白くんと連絡とったから間違いないよ」
「連絡?! 連絡手段あるんですか? そもそもダンジョン内って通信機器は全部駄目だったと思いますけど」
「そうそう、デバイスも使えないの不便だよね、ダンジョン内で使えるデバイスとかあればバカ売れだと思うのに。あ、そうそう、私ね白くん限定で『念話』スキルが使えるんだ」
「『念話』! 念話ってあの天の声みたいに頭の中に響くやつですよね」
「それそれ、ただ誰とでもってわけではないし、今みたいに階層までまたいでると上手く繋がらなかったりもするんだけどね。あっ、ちょうど念話来た……」
しばし、何か集中してやり取りをしている風に見える。
「あ……、うん……、じゃぁそうする。というわけで秋都くん、ボスを倒しに行こうか!」
何がというわけかわからなないままに麻桜さんとボスを倒しに行くことになってしまった。




