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【第一章】─邂逅─ (3)



「は……?」


 それまで飄々としていた少年の表情が、そこで初めて崩れた。ぽかんと口を開き、不思議なものを見る目を少女に向ける。


 そう、その身を終わらせる事こそ少女の目的であり、願いだった。14歳の少女の、たった一つの望み。


「報酬なら払うわ。このペンダント、きっと売ったらそれなりの高値になると思う」


 少女はボロボロのワンピースのポケットに手を突っ込み、そこに入っているものを掴んで差し出した。その金色の地金のペンダントには、一粒の大きく美しいダイヤモンドが嵌め込まれている。わずかばかりの月の光をも取り込んで輝くそれは、一見しただけで高価だと分かる代物だった。


 しかし少年はそのペンダントを見て眉をひそませた。


「ずいぶん良い物みたいだけど、まさか盗品じゃないだろうね」


 少女の姿を下から上まで順に捉える。確かに、少女の纏っているボロ切れのような衣服を見れば、困窮者がどこぞから盗んで来たのだと思われても仕方がないだろう。店から盗んだ物ならまだマシだが、貴族の屋敷から盗んだとなれば最悪だ。それを売って足が付けば、打首にもなりかねない。少年が訝しむのはもっともだった。


「安心して。これはお父様が私の誕生日にくれたものよ。これくらいしかお金になりそうなものは持ってないけれど」

「ふーん。よく分からないけど、訳ありって感じ?」


 少年は再び少女をじっと見つめる。殺してくれなどと絶望に溢れた事を言うのに、少女の印象的な金色の瞳は暗闇の中でも宝石のように煌めいていた。そして少年は思う。この少女なら、或いはと――。


「殺してくれ、ね。考えてあげても良いよ」


 その言葉に、少女はぱっと表情を明るくする。しかし、その次に待っていた少年の言葉は思いもよらないものだった。


「とりあえずさ、一回誘拐されてみる?」





「1回誘拐されてみる?」

「(・∀・)イイヨ!」

って返されたら逆に怖いです。

次回で第一章完結です!

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