第1話 自分で作ったVtuberに転生しちゃいました!?
アニメでよくある転生なんて現実じゃありえないと
当時の私は思っていたのだ。
でもまさかこんなことになるなんて思ってもみなかったのだ。
そう、あれはVtuber活動していた最後の日。
『みんな~~~~!今日もありがとおおおおおっ!』
パソコンの画面に映るアニメ調のキャラクターから、その声は発せられる。
そのキャラクターの横には大量の流れるコメントがあり、『可愛い!』や『今日もありがとう!』など
彼女を激励する言葉がたくさん記入されていた。
そう、いわゆるVtuberという存在だ。
二次元のキャラクターの中に現実の人間が声を当てることで、可愛らしいキャラになり切ったり、かっこいいキャラになったりできる人気のコンテンツの一つでもある。
今この時代でVtuberを訊いたことがないという人は少ないだろう。
西暦2010年代後半頃より、Vtuber業界は大きな衝撃を与えて、今では社会現象にまでなる人気Vtuberさんも存在している。
そして現在2035年になっても、Vtuberコンテンツが衰えることはなく、寧ろ人気を拡大している状態でもあったのだ。
国会議員や芸能人でもVtuberとして活動している人も出ていたり等、テレビをつければVtuberを見ないことなどないほど、人々の生活に浸透しきっていたのだった。
そして、そんなVtuber業界にもトップVtuberと呼ばれる人気者達が存在する。
スターナインと呼ばれるVtuber達の存在だ。
スターナインとは、無数にいるVtuberの中で特に人気のある9人のVtuberであり、全員が様々なコンテンツに精通している。
例えば、音楽や歌唱力でトップを取り続けているVtuber、企画やテレビなどに精通するVtuberなどなど、スポーツに精通するVtuberなどがいる。
そして今画面に映る女性の声の主はというと、
『みんなのお陰で、今日もドラグナー討伐1位になれたよー!応援してくれるみんながいるから私はもっともっと強くなろうって思えるんだよー!だからこれからも応援してね~!!!』
彼女のその一言でまたありえないレベルのコメントが流れ込む。
ここまでくれば立派な有名人クラスとでも表現するべきだろう。
『また、明日~会おうね~!おつかれさまーーー!』
そう言って配信終了のボタンを最後まで笑顔で手を振りながら押した。
確実に終了したことを確認した彼女は、ヘッドフォンを取り外して両手を上に背伸びした。
「んんん~~~~終わった~~~~~!やっぱりドラグナーRTAは本当にきつかったな~~」
そう。
私がさっきまでプレイしていたゲームである『ドラグーンハンター』の最強クラスのボス、『ドラグナー討滅戦』のタイムアタック大会に参加していたのである。
子供の頃からゲームが好きで、Vtuberの配信や動画を見て、自分もこんな風になりたいと思って個人でVtubrを始めてみたものの、最初は全然人も来てくれなかったけど、段々と自分の得意なゲームでテクニックを見せつけて、今ではプロ級とまで呼ばれるゲーム特化型Vtubrとして、スターナインの一人になることができたのだ。
私は赤石瑠璃。
都内に住む17歳のJKでもあるのだ。
両親は転勤が多い為、都内で一人暮らしをしていたりもする。
そんな私には裏の顔がある。
それこそ、先程まで配信を行っていたVtuberである、
「ルビーラピスラズリってなんでこんな安直な名前つけたんだろう・・・」
自分でつけておいて恥ずかしくなってしまう。
私がVtuber活動を始めたのは小学6年の夏休み、、、。
なんの気まぐれか、おじいちゃんがいらなくなったPCを持ってきたところから全てが始まったのだ。
昔からおじいちゃんは買い物するときは、高い物を買う癖があって、PCを買うなら一番いいのにしようと意気込んで買ったはいいけど、結局使わないで埃を被っていたらしい。
そんなPCをおじいちゃんから譲り受けた私は、動画や配信でVtuberの存在を知り、自分も真似したいと思い、自らに名前をつけたのだ。
それが『ルビーラピスラズリ』。
赤石からルビーを連想し、瑠璃という名前に至っては、瑠璃色を英語にしただけという至ってシンプルなネーミングであった。
「今から過去に戻って、名前変えられるならやり直したいよお~~~」
だが、時既に遅し。
ここまで人気が出てしまったのに今更変更なんて死んでも出来ない。
「落ち込んでもしょうがない!!すぐに明日のサムネ作りしたりしよう!ドラグナー討滅戦は1位取れたんだし。はい文句なし!!!」
プロゲーマー相手に臆する事なく立ち向かうVtuberとして人気が出たのか、今では私とプロゲーマーのガチ勝負を目当てに見に来てくれる視聴者さんがたくさんいてくれる。
「みんなの期待に応えてこそVtuberだよね!!よし集中して作業する為にも一回寝よう!!!」
すぐに椅子から立ち上がってパジャマへと着替えていく。
全身鏡で自分の姿を確認するが、まあ酷い物だった。
「流石に徹夜3日はきつかったかしら・・・」
少し顔が窶れていたし、顔色が悪い事にも気づいた。
私はなんというか幼児体系と言われるくらい小さいのだ。
身長は147㎝、体重も38キロしかない痩せ痩せ体系であり、胸は、、、最早語ると悲しくなるのでやめておこう。
黒髪をそのまま手入れも外に出るとき以外はしないので3日経った今はボサボサなストレートの髪が背中まで伸びている。
因みにVtuberのアバターは金髪碧眼の巨乳、、、ではなく貧乳の右でサイドテールに髪をまとめたロリキャラ(17歳設定)になっている。
自分で自分の胸を揉んでみるが、悲しいくらいなにもないのだ。
「なにやってるんだろう、私」
鏡に自分が自分の胸を触っているという意味のわからない構図に自分で自分にツッコミを入れてしまう。
そそくさと着替えた私は、すぐにベッドにダイブして目を閉じた。
「3時間・・・仮眠して、すぐにサム・・・つくら・・・・きゃ・・・」
そうして私は眠りに落ちていくのであった。
――――――――が
「んんん~~~~よく寝たのだ」
いつものように起き上がった私は目を擦りながら周りを見渡す。
すると、ありえない光景を目のあたりにする。
木だ。
正面も木があり、左を見ても木、右も後ろも木。
完全にどこかの森のど真ん中なのである。
「私も疲れてるのかな、流石にこれは夢って一発でわかっちゃうよー!」
ともう一度目を瞑るが、再び目を開けても光景が変わることはなかった。
完全に両目を見開き、頭の回転率を上げようとするも、寝起きの状態であオーバーヒートするだけであったのだ。
「・・・ここどこ・・・?」
とりあえず悪い夢なのは間違いないだろうが、状況を確認するためにも起き上がろうと思った私は身体お前屈みの姿勢にすると髪がふさっと自分の目に入り込んできた。
「・・・・・・・は?」
いやいや落ち着け私。私の髪は黒だよ黒!!!
と思いながらもう一度髪を見てみると、
「金髪になってるーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
どういうことなのだ!?
まったく状況が理解できない!!
これじゃまるで『ルビーラピスラズリ』じゃないかっ!!!
と自分で言っていてようやく脳が覚醒してきたのか、ある仮説が浮かんでしまった。
「ま、まさか!!!」
とあたりを見渡すと、水たまりを発見したので私は自分の顔が反射されると思い覗き込むと、
「ルビーになってるんですけど~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
見知らぬ森でただ私の絶叫が響き渡る。
これが始まりの物語。
お父さん、お母さん、そしてPCをくれたおじいちゃん。
どうやら私は自分のVtuberである『ルビーラピスラズリ』に転生しちゃったみたいです。




